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久しぶりの買い物


「━━━━━…っ! ハァ ハァ。またあの夢かよ」


あの事故の後、ゆっちゃんと俺は病院に担ぎ込まれ治療を受けた。だが次に目を覚ました時、ゆっちゃんが死んだ事を聞かされた。その時の衝撃は今でも覚えている。後悔と浅はかさは忘れた事はない。


「………ハァ」


俺はダルい体を起こしリビングへ向かう。リビングへ入ると母さんと父さんがいる。今日は土日という訳ではない、俺は不登校だ。別に学校が嫌な訳じゃないがゆっちゃんが死んで、俺たちだけが成長して学校に行くのはあまりに可哀想だ。と俺の勝手な言い分でただ単に行く気がしないだけだ。


「あら、陽太ひなた!今日は早いのね」


母さんはハッキリ言って甘い。俺が休んでいるというのに何も言わないし怒りもしない。思えばゆっちゃんが死んでから引きこもるようになった俺を影で支えていた優しい人だ。だが、


「陽太 お前が佐伯さんの娘さんの事で悲しんでいるのは知っているがな、もう高校生なんだぞ?いつまで引きこもるつもりだ」


「まぁ!あなたったら、そんな言い方」


父さんは厳しい人で俺が学校を休む度にお説教をするのがいつもの日常だ。だが慣れすぎて母さんと父さんが言い争う中、俺は朝食を摂る。朝食を済ませたら素早く自分の部屋に戻り鍵を締めるのが基本。そのままベッドにダイブする。


ベッドに横になったまま机の上の写真たてを見る。そこには幼い頃の俺と幼馴染み達が笑顔で写っていた。


「………あの頃は楽しかったな」


ゆっちゃんが死んでからバラバラになってしまった。今どうしているか分からない。あの頃に戻れるならどんなに幸せな事か。



トン、トン



ノックの音がして俺はドアを開ける。立っていたのは母さんだった。


「ねぇ、陽太?ずっと家の中にいるのはつまらないんじゃないかしら そこで提案なんだけど、買い物に行ってくれないかしら」


母さんは俺の両手を握り締めて俺を逃げられなくしてから瞳をキラキラさせて聞いてきた。これは提案じゃなく脅迫だ。断れば母さんの機嫌が損なわれる それは危険過ぎる。


「………はい、分かりましたよ」


こうして俺は久しぶりに外に出た。今の季節は夏で夏休み真っ最中。そんな時期に知り合いにでも見付かるのが嫌で嫌でしょうがない というのが外に出たくなかった理由の一つでもある。


家を出てしばらく歩いた所に商店街がある。この商店街には知り合いが沢山いるが皆、母さんと同じで責めたり説教したりはしない。


「…あーー…暑い まずは玉ねぎ、人参なら八百屋だな」


汗がまとわりついて気持ち悪いが我慢して八百屋へ向かった。ここの店には沢山の思い出があり昔皆でよく買いに行ったものだった。


「へい、らっしゃい…………っ! もしかして陽太君かい?」


その反応に俺もビックリした。まさか覚えてるとは思わなかったからだ。あれこれもう五年は顔を見せていなかったな。


「はい…おやっさんも変わってないっスね」


「あはははは!よく言うぜ。でも随分とデカくなったなぁ これが成長期ってか?」


おやっさんは随分と変わった。五年前は白髪が生えてなく髭もなかったが今は少し白髪が生え、髭も生やしている。それに痩せた気がした。


「ありがとうございます」


「おぅ、またな陽太君」


思い出話しに花を咲かせたかったがお使い中という事を思い出して諦めた。次買うのは米だ。


「米と言えば……丸井精米店だな。 ん?」


次の行き先が決定し移動しようとした時、ある人溜まりが気になった。


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