とび蹴り、坦々麺、討伐
何ぞこれ!?
っていうあほな仕上がり。おすすめです!!www
坦々麺は激怒した。
私の名の「坦」の字は、本来は「担」という字なのだと激怒した。
タンタンメンとは、そもそもスープのない麺で、行商が「担いで」売って回った麺なのだ。だから、タンタンメンとは「担ぐ」麺なのだ!!
坦坦麺は世の無道なる「坦」という字を用いているラーメン屋を討伐するべく旅に出ようとした…が、残念ながらタンタンメンには足がなかった。
そこで、人を雇うことにした。タンタンメンは偶然坦々麺を食べに来ていた、仮面ライダーに言いました。
「ライダーさん。仮面ライダーさん。あなたの必殺のとび蹴り、『ライダーキック』で、世にはびこる坦の字を使うラーメン屋を滅ぼしてください!!」
するとライダーさんは、無表情にこういいました。
「いいえ、タンタンメンさん。私がキックできるのはショッカーと怪人だけなのです。ラーメン屋さんをキックすることはできません」
「そこをなんとかお願いします!」
タンタンメンは必死に頼みましたが、ライダーさんは首を横に振ります。
「いいえ。私にはできません。それに…何よりあなたは大事なことを忘れている!!」
「大事なこと?」
ライダーさんは無表情に、しかし熱い言葉で言いました。
「大切なのは、名前を正すことではないと思いませんか?私の使命は悪の秘密結社を滅ぼすことであり、ラーメン屋さんを闇討ちすることではありません。同じように、あなたの使命は、名前を間違うラーメン屋を恨むことではなく、みなさんにおいしく食べてもらうことではありませんか?」
ズバーンと稲妻が走ったような衝撃を受けたタンタンメン。そんなタンタンメンに備え付けられた蓮華を、ライダーは手に取り、そっとスープを飲みました。
「ほら、あなたはこんなにもおいしいではありませんか。名前を間違えられるのは嫌かもしれません。悲しいかもしれません。しかし、名前を間違えられようが、あなたは自分の使命を果たしている。あなたは間違われた名前までひっくるめて誇っていいほど素晴らしく使命を果たしているのです」
「ライダーさん」
タンタンメンは涙目になりながら、ライダーを見上げた。
「おいしかったです。ごちそうさま」
仮面ライダーはそう言って勘定を払うと、颯爽と店をあとにしました。
坦々麺はその背中をいつまでも見送っていました。
(…変な客だったな)
ラーメン屋の店主はおかしな客が去って行ったあと思い浮かべました。
(あのお面付けてどうやって食ってたんだろう?)
店主の疑問はいつまでたっても解決されませんでした。