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占わなかった水曜日

作者: 空詩
掲載日:2026/01/06

私は「本日休業」の札を扉に掛けた。理由はない。

ただ今日は占いをしたくなかった。


公園のベンチに座る。私の左手にはアイスコーヒーを持っている。

今日は凄くいい天気。平日の昼間私と同じような人がポツポツ公園内にいる。

隣に座ってきた老人が鳩に餌をやりながら私に話しかけてきた。


「気持ちがいい日ですね」


私は急に話しかけられ驚きがあったが「そうですね。」と一言交わした。


スマホには3件の予約メッセージが届いていた。

今日は誰にも返事をしたくなかった。


老人が続けて言った。

「わしはね、天気がいい日いつも来るんだ。何もしないためにね。」


「何もしないためにですか!?」


「そうそう。何もしないためになんだよ。

何もしない日があるから何かをする日がとても輝くんだよ」


私は笑った。占い師の私よりも占い師みたいなことを言う。

明日になったらまた誰かを占う。

そして「大丈夫」と誰かの背中を押しているだろう。


老人が立ち上がった。

「明日も晴れるといいなあ。また明日ね。」


「あっ、はい…。また明日」


ふと空を見上げると雲ひとつない快晴だ。

占いをしない今日が明日をまた照らしてくれる。

老人に言われた言葉を胸に噛み締めながら私も立ち上がった。


何もしない今日も大切な時間。

今日は、何もしなくてよかった。

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