(21)転生少女は、一人じゃないと知る
午前の授業が終わり、昼休みになった。
一斉に立ち上がる生徒たちのざわめきが教室に広がる。食堂へ向かう生徒も多いが、私は弁当を持参している。
セシアが作ってくれたのだ。
私のためにわざわざ早起きして用意してくれたらしい。今日のメニューは鶏肉のソテーにサラダ、パン、フルーツジュース。さらにデザートのクッキーまでついている。
彩りもよく、蓋越しでも香ばしい匂いが伝わってくる。
冷めても美味しくなるように工夫されているのが、なんとなく分かる。……こういう気遣い、前世ではほとんど縁がなかった。
全部おいしそう!
さっそく食べようと蓋を開けかけた、その瞬間――肩を軽く叩かれた。
「一緒にお食事しませんか? クロエ様!」
振り返ると、にこにこと笑うアリサさんが立っていた。
その隣には数人の女の子たち。年上の子もいて、きっと彼女のお友達なのだろう。
断る理由なんて、もちろんない。
「いいですよ」
「本当ですか!? 嬉しいです!」
満面の笑顔につられて、私も思わず頬が緩む。
席を移動し、みんなで机を囲むと、昼休み特有のざわざわとした空気が心地よく感じられた。
昼食を囲みながら、自然と世間話に花が咲く女子グループ。
授業の感想、寮の話、好きなお菓子の話――話題が途切れることがない。
……すごい。なんというコミュニケーション能力。
相槌を打ちながら聞いているだけで精一杯なのに、それでも輪の中に入れてもらえているのが不思議だった。
「クロエ様、そのクッキー美味しそうですね!」
「セシアが作ってくれたんです」
「まぁ! 素敵ですね!」
みんな「クロエ様!」「クロエ様!」と、まるで年下の子供のように私の世話を焼いてくれる。
……あ。
私、子供だったわ。
八歳だもんな。
そりゃ子供扱いされても仕方ない。前世の感覚が抜けきっていないだけで、今の私は守られる側なのだ。
うん、むしろ頼るべきかもしれない。
身寄りのない私にとって、こうして気にかけてくれる人がいるのは、ありがたいことだ。
午後には実技の授業が待っている。
少し不安はあるけれど――今は、この穏やかな時間を大切にしよう。
そう自分に言い聞かせながら、楽しい昼食の時間は、あっという間に過ぎていった。




