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転生少女は、未来からの手紙をもらう  作者: あどん


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13/33

(10)転生少女は、やりすぎたと反省している(たぶん)

「ふぅ……何とか終わった〜」

「おつかれさまでした」


私は大きく伸びをして、安堵の溜息をついた。

試験終了まで待っていてくれたセシアが、いつものように穏やかな微笑みを向けてくる。


「いやー、校舎の壁に穴を開けちゃってさぁ……」

「どうしたら、そのような事態になるのですか?」

「ちょっとやりすぎちゃった。てへ」

「『てへ』で済む話ではないと思いますが」

「うぅ……弁償しなきゃだよね」

「試験中の事故であれば、学院側が対応するでしょう。仮に必要があれば、公爵家が支払うことになるかと」

「また迷惑かけちゃった……」

「迷惑だなどと、思われてはいないでしょう。どうしても気に病まれるのでしたら、フィオナお嬢様とご一緒にお風呂にでも入られては?」

「そんなんでいいの!?」


うーん……まあ、考えても仕方ないか。

そんな話をしながら校門をくぐり、表通りへ出ると、カイルくんとアリサさんが待っていてくれた。互いの健闘を称え合う。


「クロエ様の魔法、すごかったです!! 合格間違いなしですわよね。ね? カイル!」

「クロエ嬢は推薦枠だから、どのみち合格だよ。まあ、あれなら推薦枠じゃなくても通ったと思うけどね」

「いえ……私の場合、筆記の方が怪しかったので、推薦枠で良かったです……」

「僕は実技の方が怪しかったから、推薦枠で助かったよ。でも、これからが大変だなぁ……」


ん?

大変? 入学が決まっているのに?


「え? どういうこと?」

「入学してからの話だよ。実力をつけないと進級もできないし、最悪、退学になることもあるんだ」


げっ!?

そうなんだ……。禁書閲覧許可を得るためにも、魔法学院の卒業は必須なのに。入学前から不安しかない。


「そういうアリサは、試験大丈夫だったの?」

「もちろんですわ! ご覧になっていなかったの? ウィッチであることを示しましたもの。問題ありません」

「そっちの心配じゃないよ。僕が言ってるのは筆記の方」

「も、もちろん大丈夫ですわよ! カイルが教えてくださったのですもの」

「ホントに?」

「ホントですわよ!」


胸を張るアリサさんだが、どこか視線が泳いでいる。

……もしかして、勉強が苦手なタイプ?

カイルくんは「はあ……」と深く溜息をついた。


「魔法学院は実技重視だけど、筆記も無視できないからね……」

「……」

「アリサ?」

「は、はい?」

「不合格だったら、また来年だよ」

「うう……」


アリサさんは見る見るうちに顔色を失った。

この二人、案外いいコンビなのかもしれない。


そんなやり取りをしていると、ギルバート・ドンケルハイマー男爵が目の前を通り過ぎた。

こちらに気づいた瞬間、ギョッと目を見開き、まるで化け物を見るような視線を向けてくる。そして顔をしかめると、足早に立ち去っていった。


……ほっ。

妙に絡まれるよりは、無視してくれた方がありがたい。

ただ、その後ろにいた取り巻きの人たちから、恨みがましい視線を感じたけれど……気にしない、気にしない。


「僕たちは一度、領地へ戻ります。クロエ嬢とは、一か月後にまたお会いすることになるでしょう」

「私も、きっと合格していますわ! 一か月後、お会いしましょう!」

「こちらこそ、よろしくお願いします」


二人と別れを告げ、私は馬車に乗り込んだ。

帰ったらフィオナお姉ちゃんに結果を報告しなきゃ。きっと喜んでくれるはず。


……でも、今日はさすがに疲れた。

馬車の揺れが心地よく、頭の中がゆっくりと揺さぶられる。眠気に抗いながら、必死に瞼を持ち上げていたが――。


一か月後は入学式。

そして、寮生活の始まりだ。


そう思ったところで、限界が来た。

私はセシアの方へ体重を預けるように、ゆっくりと崩れ落ちる。柔らかなローブに顔を埋めると、安心感に包まれた。ほのかに甘酸っぱい香りが鼻腔をくすぐる。


「おやすみなさいませ」


耳元で囁かれる声。

――ああ……フィオナお姉様に、報告するの忘れちゃうかも……。


そんなことを考えながら、私の意識は静かに、深い闇へと沈んでいった。

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