053「ケチャップの完成&貴族用ポテトフライ試食会」
「みんなぁ、おまたせー!」
ケチャップが完成し、ポテトフライもちょうど揚げ終わったところで皿に盛って食堂へ持っていくアナスタシア、ヴィラ、シエラ、ファラの調理班。
「「「「「わああぁ⋯⋯!」」」」」
ポテトフライを目にした子供達が目をキラキラ、ヨダレじゅるじゅるしている。しかし今回の試食会、ポテトフライがメインではなくケチャップがメイン。
よって皆には是非ともケチャップの美味しさを存分に味わって欲しいのだが、
「トマトだっけ? 本当に真っ赤だね」
「あ、赤い悪魔⋯⋯」
「こ、怖いぃ」
子供たちの多くが『じゃがいも』と同様これまでの常識に囚われ誰も口にしようとしない。
(やっぱ固定観念はなかなか拭えないよね⋯⋯)
前回は孤児院長が最初に手に取ってくれたので今回は自分が先に口にしようと思った⋯⋯その時、
「うまぁぁぁ!!!! なにこれぇぇぇ!!!!」
「美味しいぃぃ!!!! 赤い悪魔とポテトフライ相性良過ぎぃぃぃ!!!!!」
と大声を上げて絶賛したのはまさかの双子のセーラとアイラ。
「ア、アイラ! 赤い悪魔じゃなくてトマト! それとこれはケチャップぅ!」
俺は二人の行為に驚きつつもありがたく思ったのだがしかしそのまま褒めるのがなんか照れ臭かったので注意するような言い方になってしまった。しかし、
「よ、よし! 私も食べるぅ!」
「お、俺も!」
「ぼ、僕もぉ⋯⋯!」
セーラとアイラのおかげで他の子達も次々と口にしていくと、
「う、うめぇぇぇ!!!! ケチャップって甘いんだな?!」
「ほ、本当だー! 甘くてトロトロぉ〜!」
「ポ、ポテトフライとめっちゃ合う! ていうか最強じゃね?!」
「うましっ!!」
全員が大絶賛。
そんな子供達が無我夢中でケチャップにポテトフライをつけて食べている横では、孤児院長やマイルス、その他2人の世話人と大人テーブルで各々が感想を述べている。
「あ、赤い悪魔が⋯⋯こんな美味しいだなんて⋯⋯」
「あ、甘い?! しかもちょっと酸味も効いてて、ポテトフライとすごく合います!」
2人の世話人もケチャップの美味しさに驚きを隠せない。
「こ、こりゃ⋯⋯すげえな」
「う、うむ。ただでさえ美味しいポテトフライがケチャップをつけるとまた一段とうまみが増すとは⋯⋯信じられん」
そして、マイルスも孤児院長もまたケチャップの美味しさに舌を巻く。
「万能調味料⋯⋯か。どうやらアナスタシアの言っていることは間違っていないようだ」
その後、皆で目一杯ケチャップを添えた貴族用ポテトフライを堪能。試食会は大成功に終わった。
その後子供達は「あ〜お腹いっぱい。幸せ〜」などと言いながら各々が大広間の寝床に行って昼寝を敢行。
俺もお腹いっぱいの幸せを堪能しながら夢の世界へと旅立とうと思ったのだが、
「何? 昼寝? バカも休み休み言いなさい。このあとすぐに私の部屋で貴族用ポテトフライの販売に向けた話し合いだ。今日中に終わらせて明日すぐに領主邸へ向かうぞ」
「いやあああああああああ!」
ということで、めでたく孤児院長に捕まりドナドナされました。
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「アナスタシア、このケチャップは他にはどんな食材に合うのだ?」
孤児院長室に入るなり、すぐにそんなことを聞き出す孤児院長。どうやらケチャップの汎用性に驚いている様子。だよねぇ〜。
「そうですねぇ、焼いた豚肉や鶏肉にも合いますし、今日食べたポテトフライでわかるように揚げ物にも合います。ただし魚類はちょっと合わないかも⋯⋯ですね」
俺はざっくりと孤児院長に説明。すると、
「なるほどな〜。たしかにこの甘酸っぱい感じは魚は難しいかもな」
と俺の言葉を聞いて納得するマイルスさん。
「あ、でも『難しい』ってだけでそれように合う食べ方もあります。例えばケチャップに『酢』を入れればこの甘酸っぱさがマイルドになって揚げた魚に合いますよ」
いわゆる『魚のケチャップ甘酢あんかけ』だ。
そのままの甘酢あんかけも好きだけど俺的にはケチャップ入りがマスト。ちなみに酢豚にもケチャップが入っているのが好き。異論は認める。
ここではまだ魚は食べことないけどあるのかな〜⋯⋯などと一人うっとり妄想していると、
「え? アナスタシア魚なんて食べたことあるのか?」
「え?」
「あ、いや、ここ領都ではあまり売っていないからさ」
「⋯⋯」
あ、やべー! やっちゃったぁぁぁ!!!!
などと思っていたら、
「そんなことはどうでもいい。それよりもアナスタシア、ケチャップはどれくらい作れそうだ?」
ここでまさかの孤児院長のファインセーブが入る。
ナイス、孤児院長!
「え? あ、えーと⋯⋯そうですね。まだ森にいっぱいあったので30人分くらいは作れるかと⋯⋯」
「そうか。ならばまずは今日中にケチャップを10人分用意しなさい。明日領主邸へ持っていきテスト販売をしてもらう」
「えっ?! あ、明日ですか! それだともう一度森に行ってトマトを採ってこないと⋯⋯」
「うむ、頼んだぞ?(ニコリ)」
孤児院長の爽やかな笑顔が光る。
まるで「さっき助けたことわかるな?」とでも言っているかのよう。
「⋯⋯は、はひ」
「よろしい!」
このあとマイルスさんも道連れにトマトを再度採集しに森へ。「なんか俺までとばっちりを受けたみたいだ⋯⋯」などとブツブツ言っていたがそれは仕方ないと思う。だって俺一人では森へは行けないのだから。
「ていうか、孤児院長のあの無茶ぶりどうにかなりませんか?」
「はん! どうにかなるならここまで苦労してねーよ!」
なんか俺が思っている以上にマイルスさんは孤児院長にいろいろと無理難題を押し付けられたりワガママを言われているようだ。
うん、よくわからないけどこればかりはどうしようもないね。
マイルスさん、強く生きて!




