049「赤い悪魔」
明けましておめでとうございます。
2026年もよろしくお願いいたします。
mitsuzo
次の日の早朝——早速俺はリッツと一緒に『南門の森』へ行くためマイルスさんに許可を貰いに行った。
「孤児院長から聞いたよ。それなら私も一緒に行こう」
「え? いいのですか?!」
「?」
マイルスさんが俺の変に高いテンションにきょとんとしている様子。
「あ、実はトマトを孤児院にいっぱい持って帰りたかったので人手が欲しいなと思っていたらマイルスさんが一緒に行くっていったものだから、嬉しくてつい⋯⋯」
俺が少し照れながらそんなことを話すと、
「あはは、そうだったんだね。よし、それならあと2人くらいに声をかけようか」
とさらに嬉しいことを言ってくれた。
ただ、マイルスさんが言うには今日が『安息日』で1日休みの日とはいえ午前中の孤児院の掃除やご飯の支度はやらないといけないため「森に手伝いに行かせられるのはあと2人までが限界」とのことだった。
「十分です、ありがとうございます!」
ということで⋯⋯、
「いいぜー! 俺、森大好きだからな!」
「ふん、仕方ないから私が行ってあげるわ」
ラッセルとヴィラが南門の森へ一緒に行ってくれることになりました。
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いつも通り、南門を抜けて森へとやってきた。
「マイルスさん、この森でトマトって見たことありますか?」
「うーん⋯⋯私は無いな〜」
「あ、俺知ってるぞ」
「え? リッツ知ってるの?」
「ああ、ここより少し奥に行ったところで見たことあるぞ。すげえいっぱい成っていたから怖かったよ」
「えっ!? トマト! トマトって『赤い悪魔』て言われてるやつよね? すごい毒があるって⋯⋯」
ヴィラが俺たちのやり取りを聞いて顔を青くながら尋ねてくる。
「ううん、大丈夫。じゃがいもと一緒でトマトにも毒は無いし美味しいんだよ!」
「え? 美味し⋯⋯い⋯⋯?」
ヴィラが俺の「美味しい」という言葉に揺れる。
「ふ、ふん、わかったわよ! 今回はあんたに従うわ」
「やったー、ありがとうヴィラ!」
そう言って、俺はヴィラに抱きついた。
え? 何で抱きついたかったのかって?
そりゃ、ヴィラと仲良くしたいし、俺いま『女の子』だし!
つまり役得⋯⋯そういうことだ(キリッ)。
「ちょっ?! や、やめてよ、アナ⋯⋯!」
俺の突然のハグに顔を赤くさせあたふたと狼狽するヴィラ。そんな二人でじゃれあっている横でマイルスさんがリッツに声を掛ける。
「リッツはトマトがある場所を知っているのかい?」
「うーん、だいぶ前だからはっきりとは覚えていないけど⋯⋯でも、俺鼻が利くからすぐに見つけられると思う」
「リッツは狼種だからトマトなんてすぐに見つけられるぜ!」
と勢いよく声を上げたのはリッツ⋯⋯⋯⋯ではなく、元気印の脳筋ラッセル。
「え? リッツわかるの? トマトが成っている場所⋯⋯?」
「ああ、まかせとけ!」
その後、リッツが鼻を利かせながら先頭を歩きしばらくすると、
「あった! ほらあれだ、アナ!」
「おおっ!!!!」
リッツが指差した先に真っ赤に熟したいっぱいのトマトが群生していた。
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「すごーい! トマトがこんなにいっぱい⋯⋯!」
俺はトマトが本当にこの世界にあることを知ってテンションが爆上がりした。⋯⋯が、逆に他の皆は、
「「「「「あ、赤い⋯⋯悪魔が⋯⋯こんなに⋯⋯」」」」」
数十の熟したトマトの群生を目の当たりにただ恐怖していた。
「あれ? ミニトマト? あ、そっか! たしか野生のトマトって全部ミニトマトで普段よく見る『大玉トマト』は品種改良したやつだって言ってたな」
ミニトマトなら100個くらいは持って帰れそうかな、と考えていると横で皆が固まっていたのでもう一度毒がないことを説明して安心させた後、トマトの実の採り方を説明する。
「えっとこうやって⋯⋯ヘタが付いたままでいいので採ってください」
俺が説明しながらポンポンとトマトを採っていくのを見て、皆が恐る恐るという感じでトマトに触れゆっくり採っていった。
最初こそ怖がりながらで遅かったが、どんどんトマトを採っていくと恐怖心が無くなったのか、または作業自体に慣れてきたのか、あるいは両方か⋯⋯とにかく皆の作業スピードが一気に上がった。
それから1時間ほどすると目標だった100個ほどのトマトをてに入れることができた。
「やったー! みんなありがとう!!」
俺が3人にお礼をすると、
「ふん! 最初は怖かったけど、でも別にどうってことないわね」
ヴィラがきれいな赤髪のツインテールをファサっとかきあげドヤ顔でそう言った。
こうして俺たちは無事『赤い悪魔トマト』をゲットするとすぐに孤児院へと戻った。




