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TS転生者の生存戦略〜Transsexual Reincarnation's Survival Strategy〜  作者: mitsuzo
第一章「孤児院の少女編」

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044「答え合わせのカミングアウト」



 オ、オーケー⋯⋯一旦落ち着こうか。


「え、えーと、孤児院長もう一度確認なのですが、つまりは孤児院長はカイゼル様の息子で、フィアライト侯爵家次期当主であると、そういう認識で合ってますか?」

「⋯⋯ああ、問題ない」


 ぽかーん。空いた口が塞がらないとはまさにこのこと。


 つまり、孤児院長の正体は『クロフォード・フィアライト』というフィアライト侯爵家カイゼル・フィアライトさんの一人息子で次期当主だったと。


「は、はは、孤児院長が⋯⋯フィアライト侯爵家⋯⋯次期当主⋯⋯」


 なるほど、道理で侯爵家当主に対してあんな不遜な態度が取れたわけだ。しかし、


「ていうか孤児院長! それだったらなんで最初から教えてくれなかったんですかっ!?」

「フン、父上がどうしても君を驚かせたいと言うから付き合ったまでだ。私とて本来ならこんな茶番なんぞに付き合ってられるか!」

「お、おい、クロ! その言い方はないだろう! まるで私だけが悪者みたいじゃないか?!」

「実質そうなのでは?」

「お、お前⋯⋯」

「うふふ⋯⋯これはカイゼルの負けですわね。降参なさいませ」

「セ、セリーナ⋯⋯お前まで」


 最後は奥さんのセリーナさんがカイゼルさんに止めを刺したところで『茶番』は終了となった。


「アナスタシアちゃん、ごめんね、付き合わせてしまって」

「い、いえ。あは、あはははは⋯⋯」


 疲れた。ただただ疲れた。



********************



「では、ここらで本題に入るとしよう」


 ここでフィアライト侯爵家次期当主クロフォード・フィアライト⋯⋯またの名を『孤児院長』が仕切り始めた。


「私は⋯⋯まーすでに知ってのとおりフィアライト侯爵家の者だ。君の今後の事業展開の話を聞いて私の父を紹介することにしたのだがここまではいいな?」

「⋯⋯はい」


 まったく納得いってはいないですけどね!


「よろしい。それで肝心の話だが今回私がパトロンとして父を紹介したのには《《明確な理由》》がある」

「明確な⋯⋯理由?」

「それは君の身柄を守るためだ」

「え? 私の身柄を⋯⋯守る?」


 はて? どゆこと?


「はっきり言おう。君の持つ知識はあまりにも《《異常》》であり、この世界でとてつもない価値を秘めている」

「い、異常?!」

「それ自体は素晴らしいことだが、しかし同時にそのような知識を持つ者は得てして命を狙われる」

「え? い、命っ!?」

「そこで私は考えた結果がフィアライト侯爵家で君を守るということだった」

「っ?!」


 そうだったんだ。孤児院長は私を守るために⋯⋯。


「孤児院⋯⋯あ、いえ、クロフォード様⋯⋯」

「『孤児院長』でよい」


 ひぇ! めっちゃ睨まれた。


「⋯⋯こ、孤児院長」

「なんだね?」

「私の知識ってそんなに異常だったんですか?」

「ああ、異常だな。正直じゃがいもの話《《だけでも》》相当異常だ」

「ええぇ⋯⋯」


 そ、そっからだったのぉぉぉ!!!!


「あまりに無防備過ぎる君を見たからこそ今があるといっても過言ではない」

「⋯⋯」


 いやそれ全然褒めてないよねぇぇ!?


「つ、つまり、あまりに無防備な私を憐れんで動いてくれたと?」

「いや、君のその無防備さはいずれ私にとっても孤児院にとってもろくなことにならないと思ったからだ」

「⋯⋯」


 いやただの『トラブルメーカー』扱いだったぁぁ!!!!


「え、えーと、つまり⋯⋯⋯⋯『身から出た錆』?」

「さもありなん」


 がっくし!



********************



「さて、それで今後のことだが改めてアナスタシア、君の希望は『貴族用ポテトフライをフィアライト商会で売って欲しい』でいいな?」

「はい」

「ふむ。ということなんですが父上、いかがですか?」

「問題ない。そして利益配分は孤児院が『7』だ。これは譲れん」

「はぁ⋯⋯わかりました。ありがとうございます。正直孤児院としては助かります」

「うむ!」

「二人とも頑固だからどうなるかと思ったけどよかったわ〜」


 孤児院長が折れた。ただそれは何だかフィアライト家の家族愛が垣間見えた瞬間でもあった。まーそんなこと言ったら『ツンデレ孤児院長』が激おこされそうなので口が裂けても言えないのだけれど。


「アナスタシアちゃん」

「は、はい!」

「貴族用ポテトフライには『けちゃっぷ』というのを付けると言っていたけど、あれは『赤い悪魔』と言われる『トマト』で作るんだよね?」

「あ、そうです! で、そのことなんですが南門にある森の中に群生しているって聞いたんで、そこで採ってきて孤児院の畑にでも植えてみようと思うのですがいいですか?」

「はっはっは、全然いいよ。ていうか本当にその『赤い悪魔』が食べられる⋯⋯しかも美味しくて色々な料理に使える『万能食材』と聞いたら早くそれを食べてみたいよ! ぜひ頑張ってくれ!!」

「は、はい⋯⋯」


 何だか急にカイゼルさんが《《饒舌》》になった。あ、これはもしかして⋯⋯、


「父上の趣味は『美味しいものに出会うこと』だからな」

「あ、なーる」


 納得。


「クロの言う通りだ。そもそも私はポテトフライを食べた瞬間からクロ抜きでもアナスタシアちゃんに協力したいと思っていたくらいだからな!」


 そういってカイゼルさんは俺の肩を掴むと顔をズイっと寄せると熱量マシマシな言葉をかけた。あ、圧が⋯⋯。


「は、はひ、ありがとう⋯⋯ございます」


 その言葉はとてもありがたいが熱量が凄すぎて終始引き気味な俺。まーでもカイゼルさんが『美味しいもの好き』というのはかなりのプラス材料だ。


 俺が独立するためには一刻も早く孤児院を豊かにしなきゃいけない。だから悪いけどこっからは『領主コネ』を使いまくるぜ!


 そんなことを考えているとふと視線を感じたので意識をそこに向けた。孤児院長がジト目で俺を見ていた。


「⋯⋯アナスタシア」

「は、はひ!」

「何かするときは《《必ず》》私を通すように。私の言葉の意味⋯⋯わかるな?」

「は、はいぃぃ!!!!」


 どうやら俺の(よこしま)な決意は孤児院長にはお見通しだったようで早速釘を刺された。


 このエスパーツンデレ孤児院長めっ!


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