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TS転生者の生存戦略〜Transsexual Reincarnation's Survival Strategy〜  作者: mitsuzo
第一章「孤児院の少女編」

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042「領主のフィアライト侯爵家に行ってみた(2)」



「⋯⋯はぁ、カイゼル様。とりあえずここで話されても仕方ないので場所を変えませんか?」


 その一言で俺は一瞬「いや、領主夫妻にそんな言葉遣い失礼じゃね?!」とヒヤヒヤしたが、当主のカイセルさんも特に気にしていないようで、


「ああ、そうだな。話は私の書斎で伺おう。⋯⋯モーガン」

「はっ! 書斎の方の準備はすでに整っております」

「ありがとう。あと、アナスタシアちゃんへのお菓子も頼む」

「かしこまりました」

「じゃあ、行こうか。アナスタシアちゃん」

「さあ、行きましょう。アナスタシアちゃん」

「は、はい⋯⋯!」


 そういうと、領主夫妻のカイゼルさんとセリーナさんが俺をエスコートするように書斎へ案内してくれた。いや、孤児の俺を茶目っ気とはいえ侯爵家当主で領主というめっちゃ上の身分の二人にやられると何とも恐怖でしかない。


 ただ、二人はとても楽しんでいる様子なので、こうなるとこちらとしてはただただ二人の機嫌を損ねないようスマイルと肯定の返事で乗り切るという選択肢しかない。


 うわぁぁ、初っ端から俺の精神がゴリゴリ削られていくぅぅ!!!!



********************



「さあ、二人ともそこのソファに座ってくれ」


 ということで、俺と孤児院長はカイゼルさんの書斎室へと案内されると、それからすぐに執事のモーガンさんが紅茶とお菓子を持ってきてくれた。仕事が早い。


 そうして、皆がお菓子と紅茶に手を出し一旦落ち着いたタイミングで、


「さて、それでは早速お話を伺おうかな?」


 と、カイゼルさんが軽くグッと身を乗り出してきた。表情は笑顔だが⋯⋯しかし、しっかりと俺の品定めをしている視線であることはすぐにわかった。柔和な表情ながらも眼光は鋭い。


(ふぅ⋯⋯)


 俺は心の中で一つ息を吐いたあと、早速プレゼンを始めた。


 カイゼルさんには、昨日孤児院長に話した『貴族用ポテトフライの話』と『ケチャップの話』をした。ただ「この世界から貧困を無くしたい」という話は恥ずかしかったし、ここでは別に必要ないものだと思ったのでそれは話さなかった。


 さて、この2つの話をすると特に『ケチャップ』に関して領主夫妻がすごく興味を示し、それからは『ケチャップ』に関する質問がどんどん出てきた。


「けちゃっぷ⋯⋯というものの原料がまさかあの『赤い悪魔』のことだとは⋯⋯。そもそも『赤い悪魔』は人間には毒だと聞いていたのだが⋯⋯」

「トマトは食べられます。ただ熟していない『青いトマト』は食中毒を起こすことがあるのでそれは食べてはいけませんが、赤いトマトはちゃんと食べられますし、ポテトフライ以外の料理にも利用できる万能食材なんですよ!」

「「ええっ!? 万能食材⋯⋯!」」

「はい。しかも『ケチャップ』に関してはトマトを潰して砂糖を入れて混ぜるだけなので簡単ですし、トマトもじゃがいも同様、単純な調理法にも関わらず美味しさと汎用性を兼ね備えた食材なんです!」


 俺の説明に二人が唖然としている。まーじゃがいももトマトもこれまで『人間に毒のあるもの』という認識だったから軽くカルチャーショックを受けているのだろう。


「ただ、トマトに関してはまだ実物を確認できていないので、まずは実際に森にトマトがあるかの確認と、あればそれを使って『ケチャップ』が作れるかどうかの確認が先なのでまずはそれを行い、商品として使えそうと判断したのち、改めてこちらの領主邸にお持ちし当主様にご確認いただくよう考えております」

「そうか。それは楽しみだ。楽しみだがケチャップの最終確認だけではなく、アナスタシアちゃんには商品や事業の進捗報告として『10日に1回』、クロフォードと一緒にこの屋敷に来て欲しい」

「クロフォード?」

「私のことだ、バカ者」


 コツンと孤児院長がいつものように軽いゲンコツを入れる。


「痛っ!」

「孤児院長の名前を忘れたか?」

「え? あ、いえ、そんなことは⋯⋯。『孤児院長』と呼ぶことがほとんどなのでつい⋯⋯オホホホ」

「はぁ、まったく君って奴は⋯⋯」


 俺はうまく誤魔化せたつもりでいたが、どうやら孤児院長には通用していない様子。いやだって『クロフォード』なんてほとんど使ったことないもの。しょうがないじゃん。




「ふむ。それではまずはその『ケチャップ』を実際に作ってもらい、その上で使えそうであればポテトフライにケチャップも加えて『貴族用ポテトフライ』として売り出す⋯⋯そして、その『貴族用ポテトフライ』はうちのフィアライト商会で販売する⋯⋯こういうことでいいかな?」

「はい。庶民用と貴族様用で分けて販売しないと混乱を招くのでそれをお願いしたいです」

「うむ、いいだろう」

「ありがとうございます!」


 なんと『貴族用ポテトフライ』の件はあっさりと認めてもらった。


「貴族用ポテトフライの売り上げの何%を孤児院に渡すのかはクロフォードと話せばいいのかな?」

「は、はい。こういった話は孤児院長にお願いしておりますのでそれで問題ありません」

「わかった。ではクロフォード⋯⋯」

「はい」

「孤児院には売り上げの何割を入れて欲しいのだ?」

「はい。売り上げの《《半分》》をいただきたいです」

「何?」

「ええっ!?」


 ちょっ、孤児院長! それはさすがに吹っかけ過ぎでしょ?!


「おい、クロフォード⋯⋯」


 やばっ!? カイゼルさんがすごい剣幕で孤児院長の名前を呼んだよ。やばいやばいやばい⋯⋯。


「売り上げの半分だと? ふざけるな! それでは《《あまりに少な過ぎ》》だろうがっ!!」

「そうですよ、孤児院長! それではあまりに吹っかけ過⋯⋯⋯⋯は?」


 ん? 今何つった?


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