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TS転生者の生存戦略〜Transsexual Reincarnation's Survival Strategy〜  作者: mitsuzo
第一章「孤児院の少女編」

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034「ポテトフライ販売開始!(2)」



——2日目


 バタバタバタバタ⋯⋯!


 開店前、シエラが門扉を開けに行こうとしたら血相変えて俺のところへやってきた。


「シエラ?」

「い、入口に、すごい人だかりが⋯⋯!」


 話を聞くと、昨日よりも人が並んでいるみたいなことを言ってきた。他にもヴィラやリッツやラッセルなど外の子達も見に来ると、


「す、すごい。めっちゃ並んでる⋯⋯!」

「え? え? 人がいっぱいっ?!」


 と、外の様子に興奮していた。そんな中シエラとヴィラが、


「こ、これ、昨日セーラが言っていたよりも早く完売するんじゃ⋯⋯」

「う、うん。セーラは明後日って言ってたけど⋯⋯この数だと下手したら今日中に完売するかも⋯⋯」


 と、不安げな表情でそんなことを言ってきた。


 まったく⋯⋯これだからど素人は。


「ハッハッハ。そんなわけないじゃない。まだ2日目だよ? 世の中そんなに甘くないって」

「「で、でもぉ〜⋯⋯」」


 シエラとミネアがそれでも不安そうな顔で俺を覗く。


「大丈夫大丈夫。一見お客さんが多く見えるけど実際は昨日よりは少ないって。だって昨日あれだけ売れたんだよ? きっと昨日でほとんどの人に行き渡っているから今日はそうでもないって⋯⋯!」

「「そ、そうかな〜」」


 二人とも不安症だな〜。ま、開店すればお客さんが昨日ほどいないことがわかるだろう。


「さ、みんな開店するわよ!」


 俺は二人の素人意見プークスクスを横目に皆に号令を元気良く号令をかけた。


 2日目のスタートである。



********************



「見通し甘くてすんませんっしたぁぁ!!!!」


 俺は目の前で仁王立ちしているシエラとヴィラに対して全力土下座を敢行している。


「言ったよね? 開店前、私たち今日中に完売するかもって言ったよね?」

「アナ? あんた私たちのこと『何もわかってないな〜』風に上から目線で大丈夫とか言ってたわよねぇ? ねぇ?!」


 シエラとヴィラの目が笑っていない。これガチのやつや。


「あ、え〜と、いや、まさかここまで売れるとは思ってなくてぇ〜⋯⋯テヘペロ」

「「テヘペロじゃない!」」

「あぅ、すみませんっ!」


 これはもうどうしようもない。二人の怒りが収まるまでひたすら謝罪しかない。


 ああ⋯⋯周囲の子供達や世話人の視線が痛い。


 あ、マイルスさんが手で口元押さえてプークスクスしてやがる。マイルスさんめっ!


 さて、今がどういう状況か説明すると「ポテトフライ完売御礼」ということである(QED証明終了)。


 いや、実際は『9袋』は残っているんだけどね。


 ただ正直、9袋しかないので明日開店すれば午前中には無くなるだろう。いや、今日の勢いを考えたらそれこそ開店して一瞬で売り切れるまである。


「ま、まずい⋯⋯非常にまずい」


 俺がつい本音を漏らすと、


「どうすんのよ、アナスタシア!」

「あんたが大丈夫って言ったんでしょ! どうすんのよ!」

「わーいアナスタシアが怒られてるー!」

「怒られてるー!」


 シエラとヴィラからさらなるツッコミを受ける。あと、セーラとアイラがうるさい。


 しかし、このままだと明日で完売は必至。いやむしろ開店してすぐに完売する可能性さえ高い。


 うわーん。孤児院長に昨日で相談しときゃよかったよほほほほぉぉん!


 まさに絶体絶命(主に自分が招いたやつ)!⋯⋯⋯⋯そんな時だった。


「皆、ちょっといいか」

「孤児院長っ?!」


 突然、孤児院長が現れた。



********************



「世話人頭のマイルスから話は聞いた。ポテトフライがもうすぐ完売しそうだって?」

「は、はい」

「聞くところによると、残り9袋しかないから明日開店したらすぐにでも無くなると⋯⋯?」

「は、はい」

「なるほど。ところで私がこの話を聞いたのは今日の朝なのだが⋯⋯⋯⋯なぜ君は昨日の時点で私に報告しなかった?」

「ひぇっ?!」


 孤児院長が凍てつくような声色で俺の連絡不備のミスを指摘する。周囲の子供達だけでなく世話人の大人たちさえも孤児院長の声色に血の気が引いていた。


「あ、いや、そのぅ〜⋯⋯1日目で街の人にだいぶ行き渡ったから大丈夫かな〜なんて思ったので⋯⋯テヘペロ」


 俺は超絶美少女アナスタシアの最大火力である『テヘペロ』攻撃を仕掛けた。いくら孤児院長でも可愛いアナスタシアのテヘペロにはさすがに⋯⋯、


「テヘペロ? 何だそれは? 馬鹿にしているのか、君は?」


 さっきの凍てつくような声色にさらに深みが増したそれはもはや命の危険を感じた。


「っ!? い、いえ⋯⋯!」


 涙目⋯⋯もはや涙目である。


「はぁぁぁぁ⋯⋯まったく君は」

「す、すみません⋯⋯」

「こういうのは少しでも不安に感じたらすぐに私に相談しろとあれほど⋯⋯」

「ず、ずびばぜ〜〜んっっ!!!!」


 深いため息のあと、孤児院長から『残念な子』を見るような視線で説教される。


 俺は謝る。ただ謝る。ひたすら謝る。そして俺の涙腺はすでに決壊していた。


 そんな孤児院長のありがたい説教がしばらく続いた後、


「⋯⋯まぁ、こんなこともあろうかと私の方でじゃがいもと紙袋をすでに発注しておいた」

「ず、ずびば⋯⋯⋯⋯え?」

「じゃがいも20キロ、それと紙袋も200袋用意した。すでに倉庫に置いてある」

「え? えええええっ!?」


 い、いつの間に!


「じゃがいもはもっと発注しようと思えばできるが、しかし今倉庫にある分が完売したら販売は一旦止めるように」

「え? もう追加発注はしないんですか?」

「うむ。少し考えがあってな」

「わ、わかりました⋯⋯」


 ということでなんだかんだと危機的状況だったが、事前に状況を察し動いてくれた孤児院長のファインプレーのおかげで明日もポテトフライを販売することができた。


 ありがとうございますぅぅ孤児院長ぉぉ〜っ!!!!


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