027「アナスタシア式学習塾(2)」
ということで、きっちりざまぁしたヴィラには『掛け算九九』の暗記をやってもらう。あと、ヴィラには、
「掛け算九九は『1桁に1から9までの数字をかけた倍数』になっている⋯⋯」
と説明。すると「あ、本当だ!」とヴィラがすぐに理解すると積極的に『掛け算九九』の暗記に取り組み出した。そんなヴィラを見て「この子、本当に地頭良いんだなぁ」と感心するとともに俺の中でヴィラのイメージが上方修正される。
「おーい、アナ。俺たちは何すればいいんだ?」
「アナスタシア《《先生》》です! え〜それでは残りのみんなにはこれをやってもらいます」
と言って私は皆に《《あるもの》》を配った。
「何これ?」
「数字がいっぱ〜い」
皆が縦横に数字が羅列されている用紙を見て「なんだなんだ」と興味深そうに眺めている。
「みんなにはこの『100マス計算』をやってもらいます」
「「「「「100マス計算?」」」」」
そうして、皆にやり方を教えていく。
「あ〜こういうことか」
「面白〜い」
「む、難しいし、いっぱいあるぅ〜」
最初は一人一人を周りながら説明をしていったが、しばらくすると一通りやり方を覚えたようでそこからは皆無言で黙々とやり始めた。
今回子供達にさせているのは『1桁の100マス計算』。1桁なので1問1問自体は簡単だからどんどん進めていけるのは楽しいしやりがいがあると思う。少なくとも自分はそうだったし、子供達の表情を見ても自分と同じように楽しんでいるように感じる。
あと、解くスピードに個人差はあるが、それがまた競争意識を芽生えさせるのでプラスに働くだろう。
これからみんながどう変わっていくのか楽しみだ(ルン)。
こうして『アナスタシア式学習塾』が幕を開けたのであった。
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——1週間後
1時間目の『文字の読み書きの授業』では全員が文字を全部覚えることに成功していた。やはり『音読写経』に間違いはなかった。
ということで、次は『自分の名前』や『身の回りにある物』といった単語の暗記も『音読写経』するよう指示する。
2時間目の『計算の授業』では、
「くしち63、くは72、くく81⋯⋯完璧!」
「イエーイ。俺の勝ちー!」
「ちくしょう! 1問間違ってたー!」
と、ヴィラは『掛け算九九』の暗記に成功し、他の『1桁100マス計算組』の子達も早々に計算に慣れたようで子供達同士で『1桁100マス計算RTA』を行っていた。
そんな他の子たちが『1桁100マス計算RTA』を嬉々としてやっているのを見たヴィラが、
「私にも100マス計算教えなさいよ!」
と鬼の形相で催促してきた。怖ぇ〜。
ちなみに、ヴィラ以外の子たちには『掛け算九九の暗記』をするよう指示。
他に『数字書けない班』にいた孤児院最年少である5歳のファラとミネアも、この1週間で数字の暗記ができたようなので『1桁100マス計算』と2桁の数字も同時に教えていった。
——2週間後
文字の読み書きについては、ひたすら『身の回りにある物』の暗記を継続。文字の読み書きに関してはほとんどが暗記になってくるので、みんなには『音読写経』を徹底させる。
しかし、子供達のほとんどは言葉の暗記が苦痛になっているようで特に、
「暗記嫌だ〜!」
「暗記嫌だ〜!」
と双子のセーラとアイラが酷かった。
とはいえ、文字の読み書きについては子供達に頑張ってもらうしかないので「ポテトフライが売れたら給料がもらえる」という以前話したにんじんについての話をして何とかモチベーションを上げさせた。⋯⋯しかし、
「単語暗記についての子供達のモチベーション維持か。これは早急に何とかしないと⋯⋯」
文字の読み書きについては少し停滞気味になってきているが、しかし『計算の授業』はかなり順調だった。
まず『数字書ける班・書けない班』含め全員が『1桁100マス計算』ができるようになったので、『数字書けない班』には『掛け算九九の暗記』を指示し、『数字書ける班』にはこれまでと同じく『1桁100マス計算』と『掛け算九九の暗記』を指示。尚、『1桁100マス計算』はスピードも意識して解くよう指示した。
「もし来週までに『数字書けない班』が掛け算九九の暗記ができたら、次はいよいよ『筆算』だな」
筆算とはいわば『計算過程の可視化』——なので筆算の仕組みが理解できれば『四則演算』全てを網羅できるはず。
「商売を始めれば、いずれ大きな数字を扱うようになる。その際『筆算』できるか、できないかの差は大きいだろう」
俺は、皆が来週までに『1桁100マス計算』『掛け算九九暗記』が身についていることを前提に、子供達への『筆算』についてのレクチャーを何度もシミュレートした。




