表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TS転生者の生存戦略〜Transsexual Reincarnation's Survival Strategy〜  作者: mitsuzo
第一章「孤児院の少女編」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/51

023「世話人頭マイルスの考察(1)」



——世話人頭:マイルス・????


「なんか⋯⋯すごく疲れた1日だったぁぁ!」


 俺は自室に入るとすぐにベッドへ飛び込んだ。


「まったく⋯⋯あまりに濃い1日だったわ」


 それはアナスタシアが奇跡的に生き返ったあの日の夜に、孤児院長⋯⋯《《クロ》》から「アナスタシアを監視してくれ」と頼まれたのが始まりだった。


 今朝、俺のところにリッツと一緒にアナスタシアがやってくると「薬草採取に行きたい」と言ってきた。リッツは薬草採取をよくやる子だからわかるが、アナスタシアが「薬草採取に行きたい」と言ってきたのはかなり意外だった。


 というのも、これまでアナは「体力が無いから」ということで、彼女の仕事は孤児院での炊事洗濯といった家事手伝いがほとんどだったからだ。


 しかもかなりの引っ込み思案であまり外に出たがらない子だったので、自分から「外に出たい」というのは良い傾向だと思ったので俺はすぐに了承し、リッツとアナの3人で薬草採取の現場である森に行くこととなった。


 いつものように孤児院から出て街を通って南門へ移動していると突然、


「これが《《イセカイの街並み》》!」


 と、アナスタシアが興奮した様子でそう叫んだ。


 イセカイ⋯⋯? 何だ、イセカイって?


 その言葉について考えているとふと視線を感じた。それはアナからの視線だった。


 何となく⋯⋯だが、今アナに見られていることに気づかれるのはマズイと思った俺は咄嗟にごまかした。すると、アナは俺が「気づいていない」と思ったのかホッと息を吐き安堵の表情を浮かべる。


 それはつまり、アナが俺を意図的にごまかしたということ。ごまかしたということは、この『イセカイ』という言葉が俺に知られるのがマズイということなのだろう。


 それにしても、この『イセカイ』という言葉は一体何なのだろう?


 最初、孤児院長からアナスタシアの監視を頼まれた時、正直半信半疑だったが⋯⋯なるほど、確かにアナスタシアには《《何か》》あるのかもしれないとこの時から思うようになった。


 その時はまだアナスタシアへの認識はその程度だったが、しかしまさかこの後すぐにアナスタシアの異常さがあれよあれよと出てくるなど、この時の俺には知る由もなかった。



********************



 孤児院に戻ると畑に向かったアナスタシアが、ちょうど収穫途中のじゃがいもを見て突然「じゃがいもは食べられる」などと言い出した。


 じゃがいもは家畜の餌だし、そもそも毒があるから食べられないというのが常識だが、なのに彼女は「じゃがいもは食べられる」と《《さも当たり前》》のように断言する。


 さらにアナは「毒があるのはじゃがいもの芽の部分で、それを取り除けば食べられるし美味しい」とまで言い出した。それもさっきと同じく、さも当たり前のように⋯⋯だ。


 それだけではない。彼女は『じゃがいもの収穫量』を聞くと、一瞬でじゃがいもの年間・月間の利益率を計算した。⋯⋯算盤を使わずに《《暗算》》で。


 孤児院で計算など教えたことはない。それどころか世話人でも文字の読み書きまではできても計算までできる者はそう多くないし、まして彼女のような一瞬で答えを弾き出すレベルの計算術など、世話人はおろか私でさえも持ち合わせていない。⋯⋯おそらく孤児院長でも無理じゃないかと思う。


 誰もが知らない知識、一瞬で暗算する高度な計算術⋯⋯この時点でもうアナスタシアが只者じゃないことはわかった。


 だが、アナの異常性はこれだけでは終わらなかった。



********************



 その後、彼女はクロに事情聴取ということで『孤児院長室』へと連れて行かれた。


 何の話をしたのかすごく気にはなったが、まーあとからクロから情報共有はあるだろうと思った俺は、とりあえず食堂にいる子供達に昼食の準備をするよう指示する。


 そうして食堂で子供達と一緒に昼食の準備をしていると孤児院長室から二人が出てきた⋯⋯⋯⋯と思いきや、


「これからじゃがいも料理の試食会を行う。アナスタシアは料理を用意するように」


 と、クロがいきなりそんなことを皆に言い出した。


 は? じゃがいも料理の試食会? 


 一体何があった?!


 子供達はもちろん俺や世話人らも唖然としている中、アナスタシアがシエラとヴィラを連れて厨房へと入っていく。


 てか、じゃがいも料理ぃぃ?! そ、そんなの食べて大丈夫なのか!


 たぶん俺以外の全員がそう思っていただろうその時、厨房の方から香ばしい食欲を(そそ)る匂いがしてきた。え? これじゃがいも料理の匂いなの? すげえ良い匂いなんだけど?


 そうして出てきたじゃがいも料理。アナスタシアはこれを『ポテトフライ』と呼んだ。


 そして、そのポテトフライをクロが恐る恐る口にした。すると一度大きく目を見開いたクロはその後その『ポテトフライ』を無言でバクバク一心不乱に食べていく。


 こんな我を忘れて料理を口にするクロを見るのは初めてだった。


 その後、大皿にあったかなりの量のポテトフライをすべて食べ切ったクロは満足そうに「美味であった!」と一言告げるとアナスタシアに「明日までにポテトフライの商品化についての資料をまとめるように」と言ってさっさと部屋に戻っていった。


 クロがアナスタシアのじゃがいも料理を手放しで認めた瞬間だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ