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TS転生者の生存戦略〜Transsexual Reincarnation's Survival Strategy〜  作者: mitsuzo
第一章「孤児院の少女編」

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022「子供達の反応」



——リッツの場合


 数日前、アナスタシアが『魔素核(マナコア)喪失症』という一度罹ったら助からないという病気に罹った。世話人頭のマイルスさんや孤児院長、あと医者も「アナスタシアが治ることは難しいだろう」と言った。


 アナとは物心ついたときから一緒だった。俺は獣人の子供だから最初はみんなから話しかけられることがなくていつも一人ぼっちだったんだけど、そんな時にアナスタシアだけが俺に話しかけてくれた。


「その白と黒の髪⋯⋯かっこいいね」


 それをきっかけに俺とアナスタシアは友達になり一緒につるむようになった。


 ただ、しばらくすると俺は他の子達とも話せるようになって友達も増えていったけど、アナはその後もあまり俺以外と話すことはなくて、俺と一緒にいないときは一人でいることが多かった。


 今思えば、あれだけ人見知りなアナスタシアが俺に話しかけてくれたのは今でも不思議に思うけど、「なんであの時、声かけてくれたの?」なんて今さら聞けない。⋯⋯だって何か恥ずかしいし。


 そんな彼女が今は苦しそうにベッドで眠り続けている。彼女が倒れて今日で3日目だ。まだ起きないのかなと思っていると、医者がやって来てアナスタシアを診察し、そして⋯⋯、


「呼吸も浅いし、魔素核(マナコア)もどんどん小さくなっていっている。⋯⋯おそらく今夜が山だろう」


 俺は医者の言葉にがくりと肩を落とす。


 そして、その日の夕方——医者が「ご臨終です」と告げた。



 アナスタシアが死んだ。



 俺はその事実を受け入れられなかったが孤児院長から「リッツ⋯⋯食堂に戻って皆を集めるから手伝ってくれ」と言われたので、ふらつきながらも何とか立ち上がって一緒に外に出ていく。


 でも、その時ふとアナの部屋に忘れ物をしたことに気づいた俺は、孤児院長に断りを入れてアナの部屋に忘れ物を取りに戻った。



 そしたら⋯⋯目を開けた彼女がそこにいたんだ。



 俺はアナの姿を見て一瞬何が起こったのかわからずボーっとしていたが、アナが自分の股間をゴソゴソ触り出すといったとんでもないものを見せられハッと意識が戻った俺は、急いで孤児院長と医者を呼んだ。


 その後、医者や孤児院長が「アナスタシアは魔力を作れない体になった」と言って悲しんでいたが、俺はそんなことよりもアナが生き返ったことがただただ嬉しかった。



 でも、その生き返ったアナは⋯⋯まるで別人だった。



 というのも、これまで引っ込み思案だったのがまるで嘘であるかのように、アナは自分からめちゃめちゃ喋るようになっていた。


 さらには元気になって畑に行ったときなんかじゃがいもを見たら「じゃがいもは食べられる」とか言い出すし、習ったこともないはずのお金の計算ができちゃうし、喋るようになっただけじゃなく色々と前と比べて変わっていた。


 そんなアナに「なんでそんなこと知っているのか」と聞いたら「病気が治ったらわかるようになった」とか訳わからんこと言うし。


 でも、アナが元気になってしかも明るくなったのはすごく嬉しい。だって病気になる前のアナはいつも無表情で自分から話しかけるなんてことほとんどなかったから。


 ただ最近は口数が多くなってちょっとうるさ過ぎるからそこは治して欲しい。



********************



——ヴィラの場合


 最近、アナスタシアがおかしい。


 というかめちゃめちゃ性格が変わった。


 アナスタシアは私が孤児院(ここ)に来た時にはすでにいて、初めて彼女を見た時こんな可愛い子が孤児院にいることにとても驚いた。正直、《《貴族》》の子供じゃないかと思ったくらいだ。


 そんな可愛い子とお友達になりたいと思った私はアナスタシアに何度か話しかけたが、彼女はかなりの人見知りで何度話しかけても、その度にいつも目を合わさずおどおどしながら何も話そうとしなかった。


 しばらくは頑張ってお友達になろうと話しかけていたけど、アナスタシアの『私に構わないでオーラ』にいよいよ愛想が尽きて、それからはセーラとアイラと一緒になって彼女が傷つくようなことを言うようになった。


 それは「お友達になろう」と何度話しかけても相手にしてくれないアナスタシアへの『怒り』だったけど、それともう一つ⋯⋯《《リッツと仲良くしているのが》》もの凄く嫌だった。


 そんな時だった。アナスタシアが病気に罹ったと聞いたのは。


 しかもその病気が『魔素核(マナコア)喪失症』という不治の病だった。それを聞いた私はしばらく呆然としていたのを覚えている。



 アナスタシアが死ぬ? なんで?



 彼女が倒れたあと医務室で寝る彼女を見に行ったが、その顔は初めて会ったときに感じたあの美しい顔立ちそのままだった。


 でも顔色は物凄く悪く、それはもうすでに死んでしまっているのではなないかと思えるほどだった。


 そんなアナスタシアを見て耐えられなくなった私は部屋から飛び出し畑へと向かい、そこで一人涙をボロボロ流した。あんな痛々しい彼女をこれ以上まともに見れなかった私は、誰にも気づかれないところで一人涙を流すことしかできなかった。


 でも、それから3日経ったあと彼女は意識を取り戻した。


 お医者さんは「奇跡だ」と言っていた。


 それはそうよ。だって、それだけの病気だったのだから。


 アナスタシアが意識を取り戻したと聞いた私はこれまで嫌な思いをさせてしまったことを謝ろうと思っていたんだけど、実際に畑で彼女を見たら何て話しかけたらいいのかわからなくなってしまい、思わず、


「どんくさいあんたが畑仕事って⋯⋯。あ、もしかして私たちのことが嫌になって畑仕事に移ったのかしら?」


 などと、いつもみたいにいじわるな言い方をしてしまった。


 本当はアナスタシアにこれまでのことを謝りたかっただけなのに!


 そんな自分の発言に後悔していた⋯⋯その時だった。


「えっと〜⋯⋯どちら様ですか?」


 アナスタシアが私にキョトンとした顔でそんなことを言ってきた。その言葉を聞いた私は思わずカーッとなったが、すぐにリッツが「病気の影響でちょっと記憶が無いみたいなんだ」と説明した。


 その後、アナスタシアが「ヴィラ、記憶が無くてごめんなさい。アナスタシアです」と自己紹介してきた。それを聞いた私はアナスタシアを見て驚いた。


 なぜなら、彼女から以前のような『私に構わないでオーラ』など微塵もなく、むしろ「いろいろお話がしたい」という雰囲気さえ醸し出していたからだ。


 実際、その後アナスタシアはすごい話しかけてきた⋯⋯鬱陶しいくらいに。


 そんな彼女の大きな変化にずっと戸惑っていた私は、結局以前のままいじわるな物言いのまま変わっていない。だって、あんなに変わったアナスタシアを見てどうしたらいいかわかんなかったんだもの!


 しかもアナスタシアの変化はそれだけじゃなかった。いきなり「じゃがいもは芽さえ取れば食べられる」とか言い出したり、さらには習ってもいないお金の計算までやり出す始末。


 孤児院でお金の計算なんて習ったことないし、じゃがいもが食べられるなんて話も聞いたことがない。


 な、何なの? この子何なのよ、もうっ!



 でも、活き活きと話す彼女を見て私はちょっぴり嬉しかった。


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