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TS転生者の生存戦略〜Transsexual Reincarnation's Survival Strategy〜  作者: mitsuzo
第一章「孤児院の少女編」

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014「実食!」



「ポテトフライ⋯⋯か。ふむ、ではいただくとしよう」


 そうして、孤児院長がポテトフライを手に取って口に入れた。


「っ!? こ、これは⋯⋯!」

「だ、大丈夫ですか。孤児院長っ?!」


 世話人頭のマイルスさんが隣で思わず声を上げる。


「⋯⋯騒ぐな。大丈夫だ」


 そういって、孤児院長がマイルスさんを止めると、


 パク、パク⋯⋯パクパク⋯⋯⋯⋯パクパクパクパクパクパクパクパク。


 孤児院長が無言でポテトフライを一心不乱に口に放り込んでいく。


「あ、あの、孤児院長⋯⋯?」


 隣のマイルスさんが孤児院長の『奇行』にただただ呆然としているが孤児院長の奇行は止まらない。


 そして、本来《《5人分》》として用意していたポテトフライを、孤児院長が一人であっという間に食べ切ってしまった。


「ふぅ⋯⋯⋯⋯美味であった!」


 孤児院長の高らかな声が静まり返った食堂に響き渡った。



********************



 あの堅物で有名な孤児院長が豹変するほどの食べっぷりを見せられた子供達。


 しばし呆然としていたがしばらくすると「美味しそう⋯⋯」といった声や『ごくり⋯⋯』と喉を鳴らす者があちこちから現れた。するとシエラが、


「あ、あの、孤児院長⋯⋯」

「何だね?」

「これ⋯⋯私たちも食べていいですか?」

「ふむ。そうだな⋯⋯」


 孤児院長がしばし考え込む。そして、


「じゃがいもの毒が体内に入るとめまいや腹痛・下痢・嘔吐といった食中毒のような症状を引き起こすが、死に至るものではない。食べるのは自由だが仮に毒に侵されたとしてもアナスタシアのせいにするんじゃないぞ。いいな?」

「は、はい!」

「ふむ。それならば後は任せる。ちなみに私としては毒に侵される危険があったとしても食べるのを勧めるがな」

「え? それって⋯⋯」

「それほどの料理だということだ」

「っ?!」

「皆、体調が悪くなったら私に言うように。治癒ポーションは人数分ある。必要な者は私の部屋に取りに来るといい。では、私は先に部屋に戻る」


 そういって、孤児院長がスッと立ち上がり食堂を後にしようとした⋯⋯その時だった。


「アナスタシア!」

「は、はい!」

「このポテトフライというやつの商品化の話は《《また明日》》だ。それまでにマイルスからペンと用紙を受け取って資料をまとめておくように」

「え? それじゃあ⋯⋯」

「返事は!」

「は、はいぃぃ!!」

「よろしい」


 そういって、孤児院長は颯爽と食堂を後にした。



********************



 その後、孤児院のみんなでポテトフライを食べることとなった。ただ、最初は「ほ、本当に大丈夫?」と皆不安がっていたが、周りから「美味しい!」という声が上がると一人また一人と手を出した。


「うんまーい!」

「これすげえ美味しい!」

「止まらな〜い!!」


 それからは皆がこぞってポテトフライに手に取っていき、気づけばあっという間に全ての皿が空となった。


「ごちそうさまでした」


 食べ終わった俺はいつものように手を合わせてそう言うと、


「アナスタシア、今の何だ?」


 ラッセルが俺に聞いてきた。


「え? あ、えーと⋯⋯」


 一瞬、説明するか迷ったがまー大したことでもないので、


「じゃがいもを植えた人とか、収穫した人、料理をしてくれた人とこのポテトフライに関わった人たちに対して『作ってくれてありがとう』だったり、じゃがいもに対して『美味しく育ってくれてありがとう』みたいな気持ちを込めて『美味しくいただきました』っていう感謝の言葉を示したんだよ」


 とパパッと説明する。


「へー、それも病気が治ってから知ったことなのか?」

「え? あ⋯⋯うん、そう」

「いいなぁそれ。俺もやろ。ごちそうさまでしたー!」


 そういって、ラッセルが俺のマネをした。するとその話を聞いていた他の子達も、


「「「「「ごちそうさまでしたぁぁ!!!!」」」」」


 と楽しそうにマネをする。するとシエラが、


「そういえば食べる前は『いただきます』って言ったよね? あれも『ごちそうさまでした』と似たような感じなの?」

「そうだよ」

「ふ〜ん、そうなんだ。よーしじゃあみんなー! 次からは食べる前は『いただきます』、食べた後は『ごちそうさまでした』やるよー!」

「「「「「おおー!」」」」」


 なんかシエラが全員を巻き込んだ。


 まーでも皆笑顔で楽しそうだしいいのかな? うん、いいよね!


 食べ物への感謝は大事だよ〜。




 昼食の後は自由時間となるので、俺は部屋に戻って孤児院長が指示した『ポテトフライの商品化』についての資料作りをしようと思ったのだが、


「すごいね、アナスタシア! じゃがいもが食べられるってどうして知ってたの!」

「他にも何か知っていることってあるの?!」


 などなど、みんなからの質問タイムが始まり捕まってしまった。特に、


「ちょっとアナ! あんた変わり過ぎよ! 悔しいけど凄いからいろいろ教えなさいよね、フン!」


 と、こてこてのツンデレ化したヴィラから一番質問責めにあった。


 まーヴィラも含めて子供達や世話人の評判も良かったので少しほっとした。


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