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TS転生者の生存戦略〜Transsexual Reincarnation's Survival Strategy〜  作者: mitsuzo
第一章「孤児院の少女編」

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011「孤児院長との面談」



「一体、何の騒ぎかね⋯⋯」


 セーラとアイラが最速RTAで孤児院長を連れてきた。


「ん? アナスタシアか? 何があった?」


 孤児院長が俺を見つけるとギロっと睨んできた。ひぃぃ⋯⋯何も悪いことはしていないのになんかすごい怖いんですけどぉ!


「孤児院長。実は⋯⋯」


 と、ヴィラが優等生よろしく孤児院長に俺が「習ってもいないのに計算ができる」だの「計算が早い」だのツラツラ並び立て、最後は(とど)めとばかりに、


「孤児院で計算なんて習ったことないのにあんなにスラスラと、しかも大人以上に早く計算できるなんて絶対おかしいです! 本人は病気が治ったら計算ができるようになったと言ってたけど、おかしいですよねぇ!」


 と一気に捲し立てると、ヴィラが俺に得意げな眼差し⋯⋯いわゆる『どや顔』を向けた。俺は「絶対、孤児院長に追及される⋯⋯」と恐れ(おのの)きながらめっちゃ身構えた。しかし、


「孤児院⋯⋯長?」


 見ると、孤児院長は目を大きく見開きながらその場で固まっていた。


「孤児院長? おーい⋯⋯」


 俺は孤児院長の目の前に手をフリフリさせてからかってみた。


「やめなさい、馬鹿者」

「あいた!」


 そしたら、コツンとゲンコツをもらった(やぶへび)。


「い、痛いじゃないですか! 私は孤児院長が立ったまま気を失ったのかと思って目を覚まさせようとしただけなのに⋯⋯」

「嘘をつくな。君は今単純に私をからかっただけだろうが。あと、そんなニヤけた顔で言われても説得力皆無だ。馬鹿者」

「⋯⋯あ」


 どうやら顔がニヤけていたらしい(ばれてーら)。


「孤児院長!」


 すると、ここでお茶を濁されたのが嫌だったのかヴィラがまあまあの剣幕で孤児院長に声を上げる。


「わかっている、ヴィラ。それに皆の者もアナスタシアの変化が気になっておるのだな」


 孤児院長の言葉に全員が首肯する。


「正直、私も詳しくはわからないが⋯⋯しかし、わかっていることは確かに病気から回復した後の変化なので、アナスタシアの言う通りなのかもしれない」

「⋯⋯なっ?!」


 孤児院長が俺の言葉を肯定するようなことを言ったのでショックを受けるヴィラ。


 え? マジ? 俺もビックリなんだけど!


「そ、そんなことがあり得るんですか?! 孤児院(ここ)では計算はおろか文字の読み書きすら習ったことないんですよ?」


 そこで孤児院長に意見を言ったのはシエラ。


「そ、そうです! しかも、それだけじゃない。めちゃめちゃ計算も早かったです!」


 とはボンズ。他にもリッツや他の子達も同じようなことを孤児院長の進言した。しかし、


「うむ。今のところ答えがわからない以上、アナスタシアの言葉を信じざるを得ないだろう」


 おお! 圧倒的不利だと思っていたのに⋯⋯これは勝つる!


「それに、アナスタシアの変化は決して悪いことではない。むしろ良い変化だと私は思う」


 キタキタキター! 勝利目前⋯⋯!


「⋯⋯だが、本人からもう少し詳しく事情を聞く必要もあるだろう」


 あれ? 流れ変わったな(一級フラグ建築士)。


「アナスタシア。畑の片付けが終わったらすぐに孤児院長室に来るように」

「そ、そんなぁぁ!!!!」


 そういうと孤児院長はスタスタスタと行ってしまった。


 俺の最大限の『異議あり!』は孤児院長に一切届きませんでした。



********************



 あの後、ヴィラがドヤ顔で「私の勝ちね」と訳のわからない勝利宣言をした。別に何の勝負もしてないし、勝ち負けもないのだが、だが⋯⋯めっちゃむかつく!


 コノウラミ ハラサデオクベキカ。


 ヴィラへの倍返しが確定した瞬間であった。


 さて、そんなこんなで俺は収穫の片付けを終えた後、指示通りすぐに孤児院長室へと向かった。


 コンコン⋯⋯。


「アナスタシアです」

「入りたまえ」

「失礼致します」


 孤児院長室はみすぼらしい孤児院とは違って誰が見ても良い物だとわかる調度品が並んでいた。俺はそれらをまじまじと見ていると、


「何か気になるものでもあるのか?」


 孤児院長がふと俺にそんな質問をしてきた。


「あ、いえ、見事な《《調度品》》だなぁと思って」

「!⋯⋯そうか」

「?」


 孤児院長の質問に答えると一瞬驚いた顔をした。え? 何でそんな驚いた顔を⋯⋯⋯⋯はっ!


「あ、あの! べ、べべ、別に盗もうだなんて思ってないですからね!」


 俺は孤児院長が「どの調度品を盗もうかと物色している」と疑っていると思ったのですぐに弁解する。


「別にそんなことは思っていない」


 めっちゃ嫌な顔された。


 なんでぇぇ!


「こちらに来て座りなさい」


 そう言って、孤児院長がソファに座るよう指示する。俺が指示通りソファに座ると孤児院長は俺の正面で腰を下ろした。め、面と向かわれてるぅ〜!


「さて、早速さっきの話だがアナスタシア、君は計算ができるのか?」

「⋯⋯はい」

「どうして計算ができる? 孤児院では計算も読み書きさえもほとんど教えていないのに」

「⋯⋯」


 俺は考える。孤児院長とはいえ、さっき使った『病気を理由とした拡大解釈』は通用するはず。なんせ、こればかりは未知な部分が多いからだ。だから俺は孤児院長にもう一度同じ内容を話す。


「そ、そのぅ、病気が治ったらそういうことがわかるようになったとしか⋯⋯」

「病気が治ってから⋯⋯か」

「は、はい。私もよくわからないのです」

「ふむ。たしかに魔素核(マナコア)喪失症は未知な部分が多い。実際生存者も少ないぶん生き返った者たちのその後の変化はまるで記録がないので、君のそのような現象もひょっとしたらあったのかもしれんな」


 お? どうやら納得しているっぽい。


「ところで、他にも気になったことがあるのだが⋯⋯」

「はい。何でしょう?」


 孤児院長を「うまくごまかせた」と油断していたその時だった。


「君はなぜじゃがいもが食用だとわかったのだ?」

「っ?!」


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