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10000円企画を提案された件

転生したら、人間のままでゴリラ扱いされていました。


しかも、動物園で。


これは、異世界ハーレム転生を夢見た青年・植松健人(24)が、

なぜか人間の姿のまま、ゴリラ舎で飼育されているという理不尽すぎる人生の続きを描いた物語です。


言葉は通じない。

服も着られない。

檻の中では、ウホウホ唸るしかない――。


なのに心だけは、ちゃんと人間。

恋も、恥じらいも、プライドもある。


目の前にいるのは、真面目でちょっと天然な飼育員の佐々木あかり。

彼女の笑顔、優しさ、時おり見せる無防備さに、ゴリラのフリをしながらも、どんどん惹かれていく。


だが健人にとっての最大の壁は、

恋でも、檻でもなく――「どう見ても人間なのに誰にも気づかれない」という世界のバグそのものだった。


なぜ俺は、人間に見えているのに“ゴリラ”なのか?

なぜ佐々木は、俺にバナナを与えながら笑っているのか?

そしてなぜ、そんな彼女がますます愛おしく思えてしまうのか――?


これは、人間の姿でゴリラ扱いされた男の、

恋と尊厳とトイレとドラミングの物語。


それでは、はじまりはじまり。

ウホウホしいけど、きっとまっすぐなラブストーリー。

 ある日のこと。

 佐々木がスマホ片手に、目を輝かせて俺の檻の前にやってきた。


「健人、AIがまたすっごい動画企画を考えてくれたよ! 次はね、大食い勝負がバズるんだって!」


 いや、前回の炎上系で火を起こしたばっかなんだけど? またAIに踊らされるの?


「でね、やっぱ大食いって言ったら“山盛り”が大事じゃん? だから、いっぱい買わなきゃと思って――」


 そう言って、佐々木は大きなリュックをドサッと地面に下ろした。


「私ね……2時間かけて、激安スーパーまで行ってきたんだよ! ナッツとバナナ、10,000円分買ってきた!」


 ……おい、待て。


「え? すごくない? 普通に近くのスーパーだったら5,000円分くらいしか買えなかったと思う!」


「いや努力の方向性!!」俺は思わずドラミングしそうになった腕をぐっと抑える。


 なぜそこまでして節約した!? というか、10,000円分てどういう量だよ。


 彼女が見せてきた買い物袋には、バナナの房が何十本も詰まり、ナッツの袋もごっそりある。

 一瞬、ゾウの群れ用かと錯覚するほどのバナナとナッツの山だった。


「……で、大食い勝負って、誰とやるんだ?」

 俺はようやく本題を確認する。


 佐々木はニコニコしながら、檻の向こう側を指差した。


「リスくんだよっ!」


 ……はい?


「いや待て、リス!?」

 そこにいたのは、ちょこちょこと愛らしく動き回る小さなシマリス。

 両手でナッツを抱えながら、まるで“ちょっとだけ食べます”みたいなテンポで齧っている。


「こっち、中身は人間の俺なんだけど!? 量的にハンデとか考えてる!?」


「いやでも、リスくんの方が大食いの才能あるかもよ? 見て! ほっぺた、もうパンパン!」


「それ、詰めてるだけで食べてないからな!? お弁当箱じゃねえんだぞその顔は!!」


 ちなみに俺の目の前には、山積みのバナナとナッツがズラリ。

 大食いチャレンジらしくテーブルまで用意されていたが、まったくテンションが上がらない。


「AIに聞いたら、リスって動画映えするって言ってたし……」


「誰が企画会議で“リスと大食い”を通すんだよ!? 視聴者の脳がバグるわ!」


 結局――動画はなぜか10万再生を突破した。

 再生速度を4倍にした編集で、リスがちょこちょこ食べてるだけの映像がバズったらしい。


 その横で黙々とバナナを食べる俺の姿には、「哀愁ある」「悲壮感がすごい」とコメントがついた。


「ね、バズったね!」

 佐々木は満足そうにニッコリ笑う。


「……次のコラボ相手は、もうちょっとやる気あるやつにしてくれよな」


 俺がそう呟くと、佐々木はまたAIに相談しに行った

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