愛のラップでウホが止まらねぇ！！
転生したら、人間のままでゴリラ扱いされていました。
しかも、動物園で。
これは、異世界ハーレム転生を夢見た青年・植松健人（24）が、
なぜか人間の姿のまま、ゴリラ舎で飼育されているという理不尽すぎる人生の続きを描いた物語です。
言葉は通じない。
服も着られない。
檻の中では、ウホウホ唸るしかない――。
なのに心だけは、ちゃんと人間。
恋も、恥じらいも、プライドもある。
目の前にいるのは、真面目でちょっと天然な飼育員の佐々木あかり。
彼女の笑顔、優しさ、時おり見せる無防備さに、ゴリラのフリをしながらも、どんどん惹かれていく。
だが健人にとっての最大の壁は、
恋でも、檻でもなく――「どう見ても人間なのに誰にも気づかれない」という世界のバグそのものだった。
なぜ俺は、人間に見えているのに“ゴリラ”なのか？
なぜ佐々木は、俺にバナナを与えながら笑っているのか？
そしてなぜ、そんな彼女がますます愛おしく思えてしまうのか――？
これは、人間の姿でゴリラ扱いされた男の、
恋と尊厳とトイレとドラミングの物語。
それでは、はじまりはじまり。
ウホウホしいけど、きっとまっすぐなラブストーリー。
朝のゴリラ舎。
餌を配る佐々木が、何気なくつぶやいた。
「そういえば昨日、チンパンジー舎で“ラップごっこ”やってたんだって？ ケンちゃんもできるの？」
健人「……ウホッ！？（今“ラップ”って言った！？）」
そのとき、横から低く渋い声が響く。
ジャクソン「ウホ……（ラップ。それは鼓動と愛の融合）」
健人「うるせぇよ雰囲気王子！！」
⸻
◆即興開催：バナナを賭けたラップバトル
ジャクソン「ウホウホ……ウホ（テーマは“佐々木への愛”。勝負だ）」
健人「ウホォ……！（受けて立つウホ！！）」
佐々木「……ケンちゃんとジャクソンが“ウホ”だけでめっちゃ向き合ってる……もしかして……ラップバトル？」
健人（あってるけど、なんで分かるんだ……！？）
⸻
◆Round1：ジャクソンのターン
ジャクソン「Yo……ウホウホッ……ウホホウホウホ……」
→手持ちのバナナをターンテーブル風に回す
→金ペンで色紙にサイン（どこから出した）
健人「毎回小道具仕込んでくんのやめろォォ！！ てかどこからァァァ！！？」
⸻
◆Round2：健人のターン
健人「Yo！ ウホッ！ ウホホォ！！ ウホォ！！（佐々木！！聞け！！俺の気持ちウホ！！）」
→全身でリズムを刻みつつ、砂を蹴ってスモーク演出
→ラストはドラミングで締める！
佐々木「……すごい迫力……だけど、全部“ウホ”にしか聞こえない……」
健人（そうなんだよォォォ！！ マジで意味込めたのにぃぃ！！）
⸻
◆その時、チンパンジーたちが乱入！！
「ウキャキャキャッ！！」
健人「この声は──！！」
昨日、健人とサイファーを交わしたチンパンジー集団が、
サングラスにスピーカーを背負って乱入！
チンパンA「ウキャアア！！（Yo！ ケン！ まだやってんのかァ！？）」
チンパンB「ウキャキャッ！（マイク貸せェェ！！）」
→DJチンパンがスピーカーON、ビートスタート！
健人「いや来るんかい！ いや来てくれてありがとう！ いやどっち！？」
⸻
◆フリースタイルバトル開戦
ジャクソン「ウホォォ……（俺の愛は風のように甘く──）」
健人「ウホウホ！！（俺の想いは叫びより熱い！！）」
チンパンA「ウキャァ！！（とにかく乗っとけェ！！）」
→飼育員・観客・園児までノリノリで手拍子！
佐々木「……なにこれ、すっごい盛り上がってる……全部“ウホ”なのに……」
健人（俺だけが“言葉の壁”で戦ってるのおかしくない！？）
⸻
◆バトル終了──友情が生まれる瞬間
すべてを出し切った二人のゴリラは、ゆっくりと向かい合い――
無言のまま、力強く握手。
ギュッ。
ゴリラとゴリラが、拳で語り合った熱い瞬間。
健人（……戦った相手だけが分かる、リズムと魂の交差……）
健人「って、俺なんでゴリラと友情育んでんだああああああああ！！！！」
檻に響く、渾身の自滅ツッコミ。
ジャクソン「ウホ（いいバトルだった）」
チンパンたち「ウキャキャ！（またやろうぜェェ！！）」
佐々木「ふたりとも、すっごい“ウホ”だったよ。最高にウホウホしてた」
健人（もうダメだ……全員“ウホ”語しか話してないのに、なぜか通じ合ってる感じだけ残る……！）
