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「バナナで隠すな!ピュアさが漏れてるぞ!」 ギャルにモテても、ゴリラじゃ意味がない件について

転生したら、人間のままでゴリラ扱いされていました。


しかも、動物園で。


これは、異世界ハーレム転生を夢見た青年・植松健人(24)が、

なぜか人間の姿のまま、ゴリラ舎で飼育されているという理不尽すぎる人生の続きを描いた物語です。


言葉は通じない。

服も着られない。

檻の中では、ウホウホ唸るしかない――。


なのに心だけは、ちゃんと人間。

恋も、恥じらいも、プライドもある。


目の前にいるのは、真面目でちょっと天然な飼育員の佐々木あかり。

彼女の笑顔、優しさ、時おり見せる無防備さに、ゴリラのフリをしながらも、どんどん惹かれていく。


だが健人にとっての最大の壁は、

恋でも、檻でもなく――「どう見ても人間なのに誰にも気づかれない」という世界のバグそのものだった。


なぜ俺は、人間に見えているのに“ゴリラ”なのか?

なぜ佐々木は、俺にバナナを与えながら笑っているのか?

そしてなぜ、そんな彼女がますます愛おしく思えてしまうのか――?


これは、人間の姿でゴリラ扱いされた男の、

恋と尊厳とトイレとドラミングの物語。


それでは、はじまりはじまり。

ウホウホしいけど、きっとまっすぐなラブストーリー。

その日、事件は起きた。


 午後のゴリラ舎。のんびり毛づくろいしていた俺の前に、

 **“タイプすぎるギャル”**が現れた。


 金髪ロング、でかめのカラコン、へそ出しパーカー。

 さらに隣の友達はミニスカ+ヒール。

 どこからどう見ても陽キャ×2。


「見て~! このゴリラ、なんか人間っぽくない?」


「え、わかる~♡ てか、目がうるうるしてんだけど♡」


 ウホホォォ……(やばい……好きになりそう……)


 やめろ、そんな無防備な視線で見つめないでくれ。

 俺の中の“ピュアな男子魂”がオーバーヒートする!!



 とにかく、何かがおかしい。


 この空気……この羞恥心……。


 ふと自分の姿を見ると――


 全裸だった。


 あたりまえだ。ゴリラなんだから。


 でも今は違う。今は**“好きな子の前で全裸”**という

 人類が生み出したあらゆる羞恥の頂点に俺は立っていた。



 俺は、咄嗟にバナナを手に取り――

 股間の前にそっと添えた。


 


 


 ………


 


 


 逆に目立った。



「えっ!? 今バナナで隠した!?!?」「なにその仕草、かわいすぎる♡」


「ピュアすぎる~~♡ やばっ♡」


 違う!! 可愛くない!!

 こっちは羞恥を乗り越えるために必死なんだ!!!



【羞恥その1:撮影】


 ギャル「ちょっと写真撮っていい?」


 撮られてる。

 “バナナで前を隠すポーズのゴリラ”が、SNSにアップロードされようとしている。


 顔をそらしたら、


「やばっ♡ 恥ずかしがってる~♡ ほんとピュアくん~♡」


 なんで名前まで決まってんだよ!!!



【羞恥その2:ハート要求】


 ギャル「ピュアく~ん♡ ハート作って~♡」


 俺「ウホウホウホ……(やめろ…そんな無茶ぶり……)」


 でも結局、両手でハートを作ってしまった俺。

 その瞬間、俺の中の尊厳がゴリラ並みに毛深く泣いた。



 とどめはコレだ。


 袋から出しかけていたバナナが――

 スルン、と股間の前に落下。


 綺麗な軌道で、真ん前にピタリと落ちる。


「きゃっ♡ バナナ、狙った!?」


「やばい! フィットしてるんだけど! 伝説のポジションじゃん!!」


 違う!! 意図してない!! 自然現象!!天災!!!



 俺は静かに、柵の奥へ戻った。


 バナナを置き、壁を向いてうずくまりながらこう呟いた。


「俺、今日なにしてたっけ……」


 そして、自分にこうツッコんだ。


 


 


 「いや、バナナで隠すな!! それで“ピュアさ”爆発すんなよ俺ぇぇぇ!!!」

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