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『退魔鬼譚』 ~妖怪学校一の美少女と異世界帰りの勇者は怪異退治が任務である~  作者: 保志真佐
第三章 河童と土蜘蛛

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032-2仁からの手紙




 斗真は早速、郵便受けに入っていた仁からの手紙を家の中で読むのが待てず、開いて読むことにする。


 手紙には、仁らしい綺麗でありつつも、習字のような癖のある字が書かれてあった。

 仁の地元である京都らしい字である。




 『斗真へ


 拝啓


 異世界から帰ってきてから、いかがお過ごしでしょうか。

 こちらは無事に元の世界へ帰ってこれました。


 斗真の手紙、ちゃんと届いていたぞ


 こっちも手紙を出すのが遅れて悪いな。

 ちょっと、こっちも色々事情が重なって、すぐに手紙が出せなかった』




 始めは、手紙の挨拶である拝啓であり、斗真の手紙の件が書かれてあった。


 「良かった!しっかりと手紙が届いていたか」


 斗真たちは、もし元の世界に戻ってきた際は、すぐに自身の安否の確かめ合うために、異世界で覚えた互いの住所当てに手紙を出すことを決めていた。


 仁からの手紙には、斗真の手紙が来たと書いてあるので、仁の家の住所は間違っていなかったようだ。


 斗真は、さらに手紙を読み進める。




 『正直、元世界に帰った時は、異世界での三年間は全部俺の妄想だったんじゃないかって…思ったよ。


 だって、普通に考えて、異世界で魔族と戦って来たなんて、ありきたりなラノベの物語だったし。


 でも、斗真からの手紙が届いたお陰だ。

 ああ…妄想なんかじゃなかったんだなって、確信できた。


 改めて、俺達本当に、異世界に行ってたんだな』




 「そうだな。妄想なんかじゃない。異世界の出来事は、本当にいろいろあった。俺にとって掛け替えのない思い出だよ」


 仁の手紙を読んで、斗真は異世界での事を脳裏に浮かべる。


 ここ最近は、妖怪や退魔士のことで一杯で、異世界の事を忘れかけていたが、異世界での記憶は斗真にとって、人生で最も大切なものであると断言できる。


 始めは、異世界に突如として召喚され、四苦八苦していた自分。

 本当に自分に魔族が討伐できるのか、不安で仕方なかった。


 元の世界では、陰キャであったが故に、自分に対して自信が無かったのだ。


 でも、そんな斗真を仁、そして雫と優香は優しく支えてくれた。

 斗真にとっては、仁たちは異世界のみならず、人生で初めての”心からの友達”である。


 友達を作れただけでも、異世界に来た甲斐があった。


 そして、斗真のバディであった王女様のティアナは、斗真にとっては()()()()である。


 出来れば、異世界に残りたいくらい大切な人である。


 ティアナ………今頃、異世界では、どうしているかな。


 ぶっちゃけ、自身の事なんて、忘れて欲しいし、誰か別の人と結婚して、幸せになっていて欲しい。


 だけど、そう思うと、胸に針が刺さったように、チクリと痛みが走る。

 そして、自然と、斗真の目尻に涙を浮かぶ。


 「いけない。いけない。いけない」


 斗真は頭を大きく左右に振る。

 そして、慌てて涙を拭く。


 これ以上、ティアナのことを考えたら、胸が張り裂けそうになる。


 斗真は、ティアナのことを考えないように、また手紙の続きを読む。




 『そう!そう!そう!聞いてくれよ、斗真!

 俺は妖怪に会ったんだ!


 それも一杯。

 元の世界に帰ってきて、俺…たくさんの妖怪に会ったんだ


 しかも、俺…異世界にいた魔物みたいな"妖獣"と言われてる奴にも戦ったぞ!


 元の世界に帰ってきても、魔力とスキルは使えるんだよな。

 ティアナの言う通りだったな。


 というか、元の世界に帰ってきても、勇者の力を使えるなら、もっと早く言って欲しかったぞ。』




 さらっと書かれた情報に、斗真は目を見開く。


 「妖怪!仁もやっぱり妖怪が見えるんだ!てか、ちゃっかり、俺と同じで妖獣と戦ってる!」


 斗真は元の世界に帰ってきて、早々妖怪である鬼族である楓に出会って、魔物に似た緑鬼という妖獣に遭遇し、戦った。


 異世界に召喚される前は妖怪なんて見えなかったが、異世界から帰ってきた途端、見えるようになった。


 楓から聞かされたのは、斗真がいる元の世界には、妖怪というお伽話で聞くような存在がいるという事。


 そして、異世界での魔物に値する妖獣と呼ばれる存在は、楓のような戦闘力の高い妖怪が退魔士として、退治している事を聞かされた。


 その後、なんやかんだで斗真も楓と一緒に退魔士をやる事になった。


 楓は斗真みたいな人でありながら、魔力(妖気)を者を妖人と言った。


 異世界から元の世界に帰る直前に、ティアナは元の世界に帰っても斗真たち勇者は、魔力とスキルが使えると言ったが、恐らく斗真自身が妖怪や妖獣が見えるようになったのは、それが関係している。


 だから、自身だけで無く、元の世界に帰ってきた仁と雫と優香も、同じく妖怪や妖獣が見えるようになっているのでは…と思ったが、どうやら少なくとも、仁は見えているようだ。




 『それと俺も、退魔士って奴に会ったよ。


 天狗だったな、天狗。

 テレビで見る、翼の生えた長鼻の人間。


 その退魔士の天狗曰く、俺がいる京都には、何か退魔士が多いみたい。


 そう言えば、斗真からの手紙でも、斗真が退魔士になったとか書いてたよな?

 何でも、学校一の美少女と一緒に退魔士になったとかで。


 すげえな、斗真』




 手紙には、仁が京都の向こうで退魔士に会ったと書いてある。


 こっちの場合、鬼族である楓が退魔士だが、京都では天狗が退魔士をやっているのか。


 思い出したが、退魔士の支部は日本の至る所にあるが、本部自体は京都府にあると、妖狐の琴葉は言っていたな。




 『手紙だとまだまだ伝え足りないことだらけだな。


 また四人で集まりたいな。

 兎も角、俺は今、元気でやってるよ


 仁より』




 手紙は、そこで終わりだった。


 「仁、元気そうでよかった」


 斗真は手紙を読み終え、ほっと息をつく。


 手紙からは仁らしい活発な印象が伝わってくる。

 元の世界に戻ってきても、仁は元気みたいだ。


 うん、いつかは仁の故郷の京都に行ってみたいな。

 仁に、また会いたい。


 そうして、斗真は仁からの手紙を折りたたもうとすると、


 「………ん?」


 まだ手紙の下に、字が書かれていることに気づく。


 斗真は、また手紙に目を通す。

 そこには、




 『追伸


 斗真とは、まだ話したりないことだらけだ。


 斗真と直接、話たい。

 だから、手紙を送ったついでに、斗真がいる長野県に遊びに行こうと思う。


 もしかしたら、その手紙が着く、その日に内に、俺も着いているかも』




 仁からの手紙は、それで本当終わりだった。


 「……………………へ?」


 斗真は口をポカンと半開きにする。


 暫くして、慌てて手紙を読み直す。

 何回読んでも、仁が自身を訪ねるために、長野県を訪れると書いてある。


 急すぎて、一回目に読んだときに思考が一瞬停止した。


 その時だった。


 「よお!!もしかして、斗真か?!」


 斗真の背中に、懐かしい声が掛けられる。


 斗真は急いで振り向く。


 そこには、


 「仁!!」


 如何にもクラスの陽キャリーダーっぽい赤髪の好青年……………………御剣仁(みつるぎじん)が、屈託のない笑顔で、斗真に手を振っていた。


 斗真は感動で目尻に涙が浮かびそうになった。

 時間にしては、半月ほどぶりだが、異世界で共に魔族と戦った戦友にして、心からの友達がそこにいた。

 友との再会がこんなに嬉しいとは。


 斗真は仁に駆け出すのだった。




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