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『退魔鬼譚』 ~妖怪学校一の美少女と異世界帰りの勇者は怪異退治が任務である~  作者: 保志真佐
第一章 妖怪と退魔士

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12/50

010-2手紙

少し短いです。




 『仁へ


 拝啓


 異世界から帰ってきてから、いかがお過ごしでしょうか。

 そちらは無事に元の世界へ帰ってこれましたか。

 こちらは何の問題もなく帰ってこれました。


 あれ?

 やっぱり、この最初の挨拶可笑しいよね?


 一通り、時候の挨拶を調べたけど、異世界から帰った人向けの物が見つからなかったよ。

 当たり前か。


 それはそうと、俺は元の世界である長野県に帰ってこれたよ。

 王女様の言っていた通り、こっちに帰っても時間は経っていないし、俺の体も異世界に来る時の姿のままだった。


 そうだ。王女様と言えば、元の世界に帰る前に、俺たち勇者の力が元の世界でも使えると言っていたけど、本当に使えたよ。


 魔力も使えるし、スキルも支障なく使える。

 こんなの元の世界で使ったら、オリンピック金メダル採れちゃうな。


 いっそ、これからはオリンピック選手を目指して……………いや、それは流石に駄目か。


 こういう大事な事はもっと早くいって欲しかった。


 そうそう、何の問題もなく帰ってこれた行ったけど、少し語弊がある。


 俺は妖怪に会ったんだ。


 そう…あの妖怪。

 元の世界には、妖怪がいるんだよ。


 冗談を言っているみたいに聞こえるけど、本当に妖怪がいるんだよ。


 後、異世界の魔物みたいな妖獣って奴もいて、戦ったよ。

 こっちの世界でも戦うことになるとは。


 俺たちみたいな魔力を持った人とかじゃないと、妖怪や妖獣は基本的に見えないらしいけど。


 しかも、俺の通っている高校って、普通の高校ではなくて、妖怪が集まる妖怪学校だった。

 異世界に来る前の俺は周りに妖怪がいるのも知らずに、高校に通っていたことになる。


 しかも、俺が最初に会った妖怪が、妖怪学校一の美少女だったんだよな。

 しかも、鬼だった。


 雫と優香にも、手紙を出すけど、いずれ四人でまた集まりたい。


 それまで健康でいてくれ。


 斗真より』









 「ふぅ……」


 朝のホームルームの時間前に、手紙を書き終えた斗真は一息つく。


 これと似た内容の手紙を、雫と優香の分も書いて、家までの帰りでポストに入れねば。


 手紙を出すのは、異世界にいる時に、仁たちと取り決めたことだ。

 お互い、異世界に無事に帰ることが出来たのかを確認するためだ。


 異世界では、当然ながら電波などないので、スマホでの連絡交換が出来ない。


 仁たち三人の住所は、異世界にいる時に何度も聞いた。


 記憶した住所が間違っていないのなら、手紙は仁の家に届くはず。


 仁たちも元の世界に帰ってこれたのなら、いずれ向こうから手紙が来る。


 さて…次は、雫への手紙も書かないと。


 斗真は新しい便箋を取り出し、雫当てに手紙を書こうとした時、


 「何書いているの?」 

 「わ?!」


 唐突な声掛けに、斗真は驚きの声を上げる。


 斗真が声を掛けた方を見ると、緋色の髪が目に入る。


 さっき手紙で書いた妖怪学校の美少女である柊楓がいた。


 「手紙……書いてるの?」

 「あ……そ、そうだな。遠くにいる友達当てにな」

 「?………スマホの連絡じゃなくて、手紙なんだ。珍しいね」


 ここまで言って、楓はハッとした表情になる。


 「そう言えば、私たち連絡交換してなかったね」

 「そう言えば、確かに…そうだな」


 楓はスマホを取り出す。


 「私たちはバディだし、いつでも連絡を取れるようにした方が良いよね」


 そうして、楓はスマホの連絡先であるQRコードを見せる。


 斗真も自身のスマホを取り出し、QRコードを読み取る。


 これで、斗真のスマホに楓の連絡先が追加された。


 高校に入ってから、初めての連絡先の交換だ。


 しかも、女子の。

 それも、妖怪学校一の美少女の。


 ピロン。

 早速、楓から『よろしく』というメッセージが送られる。


 斗真も習って、『よろしく』と送る。


 ガラガラガラ。


 「よーし。朝のホームルームはじまるぞ」


 教室の扉を空けて、先生が入ってきた。


 楓は自分の席に戻る。


 斗真は一旦、便箋を仕舞う。

 雫と優香への手紙は昼休みに書くとするか。


 そう思ったが、最後に仁宛の手紙の最後に書き足す。




 『追伸


 俺は、さっき手紙で書いた妖怪学校一の美少女と友達になったんだ。


 しかも、一緒に妖獣や妖怪といった怪異に対処するための、退魔士になることになったんだ』




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