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000異世界から帰還

今日から、前々にずっと描きたかった妖怪を交えた異能バトルものを投稿します。


面白いと思ってくれたら、ブックマークを付けてくれると超嬉しいです。





 星原斗真(ほしはらとうま)は、何処にでもいる至って普通の高校生……………………では無い。


 「皆様、本当に帰ってしまうのですか?」


 斗真の目の前にいる長い金色の髪を腰まで伸ばし、豪華なドレスに身を包んだ美女が、そう言った。


 彼女は、正真正銘の王女様である。


 ここは、ヨーロッパの城にあるような玉座の間。


 周囲には、王女以外…玉座に座った王様に、多くの騎士たちや使用人たち。


 「悪いな。俺にも、元の世界に友達や家族がいるからな」


 如何にもクラスの陽キャリーダーっぽい赤髪の好青年、御剣仁(みつるぎじん)が、明確な意思を目に宿し、そう言った。


 そのリーダーシップに担うように元の世界では、生徒会長をやっていた。


 「そうね。ここの生活も楽しかったけど、やっぱり元の世界が恋しいわ」


 スラっとした細身と女性にしては高い身長に、クールビューティな見た目の青髪の少女、神宮雫(じんぐうしずく)が、きっぱりと言う。


 冷静沈着な思考と高い頭脳を持ち、元の世界では財閥の令嬢らしい。


 「う~ん…私、どっちでもいい。けど、皆んな元の世界に帰りたいなら。私も帰りたいかな~」


 猫を彷彿とさせる大きな目と緑色の髪に、猫背が特徴の小柄な少女、四ノ宮優香(しのみやゆうか)が、眠そうな様子で言う。


 気だるげな見た目に似合わず、元の世界では神社の巫女をやっているようだ。


 元の世界で平凡な高校生だった斗真とは、大違いのキャラ設定の三人。


 どうして、この三人に反して、自分のような凡人を異世界に呼んだのか、斗真は甚だ疑問であった。




 ここまで聞いて、説明が何が何だか分からない人もいるだろう。


 だから、簡単に説明すると………斗真、仁、雫、優香の四人は、ある日突然、異世界に転移され、”勇者”となったのだ。


 高校に入学したばかりの頃、平凡な高校一年生だった斗真が、学校の帰り道に謎の光に包まれ、気づいたら、この玉座の間にいた。


 斗真と他の三人を転移させたのは、目の前の王女の魔法。


 王女の話によると、この国は『魔族』と言う人間に対する敵対種族がいる僻地と隣接しており、このままでは魔族によって国が滅んでしまう。


 魔族は普通の人では太刀打ちが出来ない程、とても強い。


 だから、打開策として別の世界から人を転移させ、勇者として戦わせるという訳だ。


 まさに、異世界転移というラノベ的展開だ。


 しかも、異世界に来た斗真たちは、ラノベよろしく「勇者の力」を持っていた。


 その力を使って、斗真たちは魔族たちと戦ったわけだ。


 詳細は省くが、いろんな事があった。


 本当に魔族たちは強かった。

 だけど、なんやかんやあって、斗真たちは力をつけ、ついには魔族たちを倒すことが出来た。


 そして、魔族討伐に、三年も掛かってしまった。


 今…斗真たちは王女の魔法で、また元の世界に帰ろうとするところだ。


 王女は出来れば、斗真たちに対して、この世界に留まってほしいみたいだった。


 しかし、仁が言った通り、斗真にも元の世界に友達…………そんなにいないけど、家族はいる。


 だから、元の世界には帰りたい。


 「斗真様も、やっぱり帰りたいのですか?」


 唐突に、王女が斗真に聞く。


 その顔には、少なからず期待の感情が含まれていた。


 「え?あ……はい。俺も元の世界には帰りたいです」

 「…………そうですか。残念です」


 斗真の返答に、王女はとても悲しい顔をする。

 それを見て、斗真も悲しかった。


 実を言うと、斗真は異世界に残りたい気持ちが少なからずあった。


 もし、斗真に家族がいなかったら、残りたいほどには。


 王女は溜息は吐きつつ、魔法の準備をする。


 暫くすると、斗真たちの足元に光が生じる。


 この世界に来たと同じように転移の魔法で、元の世界へ変えるのだ。


 「勇者たちよ!大儀であった!そなた等の功績は後世に語り継がせよう!」


 王様が気迫の籠った声で、見送る。


 「仁様!行かないで!」

 「私、やっぱり仁様に付いていきたい!」

 「駄目よ!仁様には、雫様と優香様と言う恋人がいらっしゃるのだから」


 使用人たちが口々に、仁に別れの言葉を言う。


 「雫様、俺は貴方の事、好きでした!」

 「そもそも俺は最初から優香様だったな」

 「いやいや、お前ら!雫様と優香様には、仁様がいるだろ!」


 兵士たちも口々に、雫と優香に別れの言葉を言う。


 兵士たちの言う通り、雫と優香は仁の恋人であり、両手に花と言う奴である。


 「以前も言いましたが、皆様が元の世界に帰った時は、この世界に来た当初の見た目と年齢に戻っています」


 うん、これは普通に助かる。


 転移された時は十五歳だったが、魔族と戦うため、訓練をして、魔族を倒した時には異世界転移をしてから、三年も経ってしまったから。


 このまま帰っても、元の世界でも三年間失踪扱いになるのではと思ったが、その心配は無かった。


 どういう原理か分からないが、今から元の世界に戻っても、転移した時の時間に戻れるそうだ。


 「それでは、皆さま。どうか、お元気で」


 王女は最後には笑顔を浮かべ、斗真たちを見送る。


 「ああ!王女も元気でな!」

 「お世話になりました」

 「バイバ~イ」


 仁、雫、優香が手を振る。


 斗真も習って、手を振った。

 段々と、光が斗真たちを包み込んでいく。


 「斗真様、お元気で!!」

 「王女も元気で!」


 最後に、王女は俺に別れの言葉を言ってくれた。

 俺も王女に、手を思いっきり振る。


 残り数秒で転移する時に、王女が思い出したように、飛んでもないことを言った。


 「あ!皆様、言い忘れていました!「勇者の力」は元の世界に行っても使えます。くれぐれの悪いことには使わないように。まぁ…皆様なら、悪いことになんて使わないでしょう。それに使えると言っても、元の世界に帰った瞬間は余り使えません。でも、時間が経てば、十分に使えるようになります」


 なんか…どう考えても、もっと早くに言うべきことをサラッと言った。


 「「「「え?」」」」


 当然、斗真たちは異口同音で、口を大きく開け、素っ頓狂な顔のまま転移した。


 こうして、斗真たちは勇者として異世界に召喚され、仲間と協力をして、魔族たちを倒した。


 ファンタジーの世界と別れ、元の世界に帰ったのだ。


 めでたし、めでたし。









 ………………とは、ならなかった。


 この時の斗真は知らなかった。


 元の世界も、”妖怪”が存在するファンタジーに溢れた世界であることを。


 また直ぐに「勇者の力」を使うことになることを、まだ知らなかった。


 そして、まさか元の世界で妖怪学校一の美少女と怪異退治をすることになるなんて。


 この時の斗真は知る由も無かった。




是非、高評価お願いします。


次話は21時ごろに投稿します。

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