ブリーフィング
「今いる面子は全員そろったね?」
ヴァネッサの声に応じて、全員が頷く。
全員が座る椅子の前にある机はレンズが露出しており、そこから立体的な地形図と幾つかの画面が表示されている。
「揃っているようで何よりだよ。まあ、ヘンリクとトリシャは今出払ってるけどさ…まあいい、本題に入ろう。」
ヴァネッサが端末を操作すると、地形図の一部に赤い光点が幾つか表示された。
「何となく察しちゃいるとおもうが、レイダーの襲撃が発生してる。場所は商業区の南西部──先日襲撃のあった方角と一緒さね。」
「同じ箇所を攻めてくるか……規模はどの程度だ?」
副隊長のヴィンセントが画面の情報に目を通しながら尋ねる。
「規模は今回も小規模さ…ただ今回は別働隊がいやがる。しかもそいつ等、真逆の北東部から攻めて来てやがるのさ。」
つまりは2方向から同時に襲撃を掛けている、という事か…。
「今現在、商業区に駐留する駐屯部隊が迎撃に当たっちゃいるが…状況は芳しくない感じさ。」
「そりゃぁそーだな、アソコにあんのは旧型アナライザーと装甲車くらいのもんだろ?足止めは出来ても、時間稼ぎにしかならねぇよ。」
ジャックが腕を組みつつ呆れたように告げる。どうやら余り猶予は無いようだ。
「アタシらの任務は、襲撃して来たレイダーの殲滅だ。防衛は駐屯部隊に任せて、アタシらは打って出るよ。」
「戦力の配分はどうする?」
「オペレーターが居ないからねぇ、今回はアタシがオペレーターを務めるよ。それから隊を二つに分ける。ヴィンセント、アンジェ、メルトで1チーム、ジャック、モーリスで1チームだ。ヴィンセントのチームを
『メイス隊』、ジャックのチームを『カトラス隊』とする。コールサインはそっから取りな。」
メイス隊か、覚えておこう。
「ならば私はメイス1、アンジェはメイス2、メルト君はメイス3だ。覚えておいてくれ。」
「だったら俺はカトラス1だな。モーリス、お前がカトラス2でいいか?」
「あぁ、それで構わん!お前の動きに合わせるさ。」
「決まったようだね…それじゃ配置を決めるよ。メイス隊は南西部、カトラス隊は北東部に向かうんだ。襲撃して来るレイダー共をブチのめして来な。各方面の数はそれぞれ5、6匹ほどだって聞いちゃいるが、警戒は怠るんじゃないよ!それからメルト、とんでもない初陣にはなるけどね、あんまり気負うんじゃないよ!何かありゃヴィンセントやアンジェを頼りな!」
「了解した。」
「各方面にはサポート用のドローンを飛ばしておく。情報が入り次第伝えてやるよ。さてと──」
「遠路遥々来やがった侵略者共に、
手厚い歓迎かましてやろうじゃないか。」
「「「「「応っ!!!!!」」」」」
さあ行こう、歓迎の銃火器を持って。
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