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朧火の意志  作者: 布都御魂
6/25

試作機

更新頻度遅くね?と、思ったそこの皆様!

すんません…。


モーリスを追って、俺はガレージに足を踏み入れた。


ガレージの中は広々としているものの、運搬用のクレーンや金属製の資材が積まれているせいか、ゲートに繋がる通路となる部分を除いて妙に圧迫感を感じてしまう。


ガレージに格納されているとある機体の前に、モーリスは待ち構えていた。


「うっし、来たな!!坊主が乗るのはコイツだっ!!!とくと見ろよっ!!!」


モーリスの喧しい声を余所目に、俺は目の前の機体を見上げる。


ネイビーに塗装されたその機体は、まだ使われていない為か新品同然の輝きを放っており、金属特有の光沢も相まってスタイリッシュな外観をしている。


横に並ぶSA-36と比べると、細かな箇所に違いは見られるものの、基本的な構成は同じであるようだ。


「コイツが坊主の乗る試作機、SB-1だ。高出力のブースターに加えて、従来型よりも脚部性能が12%も上がってるから、より高機動な動きを行える傑作だ。」


どうやら説明する時、モーリスは普段よりも真面目になるようで、顔つきが真剣な面持ちとなっている。


「高性能な機体はレイダーを相手取る上で必要不可欠だ…だが高性能っつー事はそれだけ乗りこなす上でそれに伴う技量が必要になって来る。普段使ってるやつからいきなりコイツに更新しても、普段の癖が出ちまって想定外の挙動をしちまうし、逆に新兵に使わせても、単純な技量がついてないもんでまともに動かせやしねぇ。だが、坊主は違う。」


モーリスは此方を見ながら、随分と自信ありげに言い切った。


「普段から従来型を使ってる訳でもねぇ、かといって技量がねぇ訳でもねぇ…。オンボロの旧型機での初戦でレイダー返り討ちにしてるしな。ってなりゃあ、これ以上の適任はいないって訳さ。」


……まぁ、言わんとする事は分からんでもない。


確かにこの体は、アナライザーを操縦する事に対し、ある程度の慣れがあるように感じられる。


旧型機を運用した際はFCS等が古い為か動きがモッサリとした感じだったが、もしコイツがあの時あったならば、想像上ではあるもののもう少し余裕を持って戦闘を行えただろう。


「そんな訳だ、坊主にはコイツを扱って貰わなきゃなんねぇ……さっそく、乗らねぇか?」


モーリスはいい笑顔で俺にそう言った。


俺の返答は勿論、


「望む所だ。」


俺は意気揚々と返事を返すのだった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


──SB-1・コックピット内


『坊主、聞こえるか!?』


「あぁ、聞こえるぞ。」


無線機からモーリスの声が聞こえてくる。


俺は白を基調としたパイロットスーツを身に着け、

コックピットのシートへと腰を下ろしている。


Q-65よりも真新しい機器が所狭しと並んでおり、

シートもより座り心地の良い物へと変わっている。


『よぉし!んじゃ、ガレージの外まで移動してみてくれ!!』


モーリスに了解の意を伝え、俺はシステムを立ち上げるべく、起動句を口にする。


「コネクション」


【メインシステム─起動─接続開始─接続完了─ユーザー認証──メルト─認証完了──ビジョンシステム─起動─FCS─起動──全システム─オールグリーン】


新型機というのもあり、Q-65に乗った時よりもシステムの動作が早い。


アナライザーの基本的な動作は、思考により行われる。こう動きたい、という思考をシステムが読み取る事で機体を動かすのだ。


ちなみにシステムにより動作を最適化される為、操縦者の負担は予想以上に小さいものとなる。


このシステムが更新されて行く事で改善されるのだが、Q-65は長らく更新が行われていなかった為に、非常にモッサリとした挙動となってしまっていた。


それと比べると、随分と動かし易いものだ。


そんな思考しつつ、俺は機体を動かし前に出る。


通路を進み、ガレージを出てゲートへと向かって行く。ゲートは既に開いており、俺は機体を外へと進めた。


ゲートを潜った先には、SA-36に乗ったモーリスが待っていた。


『よし、来たな!!そのまま付いて来てくれ!!』


そう言うとモーリスは、左折して奥へと進み、とある開けた場所へと移動した。


俺もそれに続いて移動し、モーリスの機体の近くへと足を進める。


「ここは…訓練場か?」


「その通りだ!!ここはアナライザー専用の訓練場でな、非番の日はよく此処で訓練してるって訳だ!」


奥には的となるブルズアイやレイダーを模した的、

そして横には立体機動の練習場なのか、不規則な地形や段差が広がっていた。


『坊主には此処でソイツに慣れて貰う!!俺も付いててやるから、思う存分訓練するといい!!』


「なるほど…了解した。」


訓練か、楽しみだ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


『それじゃあ訓練の前に、その機体の武装に付いて軽く説明するぞ。その機体には両脚部収納があってな、そこに近接戦闘用のダガーが格納されてる。それから肘の部分にある小型ブースター、コイツはバックブラスト噴出口だ。コイツを使って近接武器を扱う際の推進力にしても良いし、なんなら直接拳で殴っても良い。つってもまぁ、あんまりしないで欲しいけどな。手のマニピュレータ壊れるし……』


なるほど、近接戦闘用の装備って感じか。


まあ確かに、接近された時には銃よりも有用だろう。


『それ以外の武装は、俺達の乗るSA-36と共用だな。外付けの武装だから、ガレージの武器庫から持って来ないといけねぇ。今回は訓練場の武装を活用するが、出撃する時の武装を、いくつか紹介しておくぞ。』


『まず銃火器だ。大まかな区分としては汎用性の高いアサルトライフル、携行しやすくサブウェポンにも向くSMG(サブマシンガン)、弾幕を張るのに適したMG(マシンガン)、遠距離からの狙撃に向いたスナイパーライフル、携行性が高くリロード中の自衛手段ともなるハンドガンからなる。』


これらの武装はアナライザーが手に持って運用する火器である。分かりやすい例は、Q-65でも運用したアサルトライフルのストーナー63が良い例だろう。


従来より存在する銃火器をアナライザーに合わせて大型化したこれらを、生身で運用する時と同じ形で運用するのだ。


『今紹介した銃火器の他に、肩部に装着したりポッドを持ったりして運用するミサイル兵器や大口径の砲弾やグレネードをブッ放す大口径兵器、煙幕や電撃、ナパームや放水といった特殊な物を扱う特殊兵器も存在する。』


ちなみに放水兵器は、兵器というより消火活動に用いられるらしく、通常よりも広範囲を消火する際に扱うらしい。


『あとは、そうだな……。近接兵器でいうと、大昔の騎士が使うようなロングソードだったり、軍隊やゲリラなんかで使われるマチェットがあるな。それからダガーだったり、ハンドアックスだったり、近接兵器は多種多様にあるぞ。ま、自分に合ったのを使うといい。あとは攻撃を防ぐシールドだったり、固有武装くらいだな。』


「…固有武装?」


聞いた事の無い兵器だが、名前的に妙にロマンがありそうだ。


『ん?…あぁ、固有武装ってのは、個人が自作したり、開発部に申請して専用の武装を作ってもらう事で使用できるやつだな。ウチの隊は全員、一つは必ず持ってるぞ。かく言う俺も2つ持ってる。』


顔は見えないが、多分ニヤッとしてるんだろうな。

声のテンションが微妙に高い。


「なら、俺も作ってみるか。」


『それがいい。さて!!そろそろ訓練を始めるか!!』


「あぁ、望む所だ。」


訓練、こなしてやろうじゃないか。





お読み頂き、ありがとうございますm(_ _)m

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