潜入
少し短めです。
【メインシステム─起動─接続開始─接続完了─ユーザー認証──メルト─認証完了──ビジョンシステム─起動─FCS─起動──全システム─オールグリーン】
コックピットの中に、機械的な音声が鳴り響く。
ブリーフィングを終えた俺達は各自準備を済ませてガレージへと移動、各々の搭乗するアナライザーや兵器の出撃準備に取り掛かっている。
今回の作戦は前回の輸送任務と違い、完全武装での出撃となる。本作戦が侵攻戦というのもあり、作戦エリアでは満足な補給が受けられない事も考慮し、弾薬や各種兵装の増設を行っている。
俺のアナライザーはいつも通りの装備に加え、追加弾薬と閉所での取り回しを考慮したマチェット、面制圧を想定したショットガンを増設している。
先の戦いで使用したブレードメイスは、何度も始まりの使徒との戦闘でガタがきていた為、整備に回している所だ。まあ今回の戦闘は射撃がメインとなるしな、マチェットで十分だろう。
ショットガンの方はジャックが1から製作した試作ショットガンである『リーベ』を使用する事にした。このショットガンはリボルバー式のショットガンとなっており、弾倉に6発の散弾を装填できる仕様になっている。マガジン式と違いリロードに時間は掛かるが、そこはスピードローダーを用いる事でリロード時間の短縮を図っている。
ライフルと違って射程距離は短いが、敵に接近された際には猛威を奮ってくれるだろう。
人間相手には過剰な装備にも見えるが、人体実験によって創り出されたあの化け物が他にも居ないとは限らないし、今回の作戦領域にある廃工場では旧型のアナライザーを製造する区画もあるらしい為、敵さんがソレを鹵獲している可能性も十分ある。
そんなこんなで準備を整えつつ、機体をカタパルトの方向へと歩みを進める。
「坊主!!準備はいいか!?」
カタパルトのコンソールがある場所から、整備スタッフのランドルフさんが問い掛けてくる。
「あぁ、何時でも行けるぞ。」
「よぉし!!そんじゃあ……行ってこい!!!」
ゲートの上にあるランプが青色に点灯し、出撃開始を告げる。ジャックは既に出撃している…急ぐとしよう。
「ランス2、出撃する。」
カタパルトに押し出され、俺は大空へと飛び立った。
〜〜〜〜〜〜〜〜
裏門からジャックと共に教団本部へと浸透し、敵さんの注意を此方へと引きつける準備を整える。
これはその為の潜入だ、気を引き締めなければ。
『ランス2、合図と同時に裏門を警備する門番を狙撃しロ。』
「了解。」
物陰からAKᎷを構え、遠隔スコープを覗き込みつつ合図を待つ。
『3、2、1──Fire』
サプレッサーの無い、決して慎ましいとは言えない銃声であったが、警備の薄い裏門の警備を黙らせるには十分であった。
門番がその場に血だまりを作ったのを確認し、AKᎷを降ろす。
『上出来ダナ──さて、突入するとしようかね。』
今回の作戦は突入まで隠密行動を厳とし、そこから先は陽動を行う手筈となる。ヴァネッサは可能なら隠密行動して欲しいと言っていたが、ぶっちゃけアナライザーで隠密行動しながら戦闘するのは無理があるし、今しがたの銃声も聞かれている事だろう。
案の定、門番の哀れな死体を発見した聖職者が、警戒の鐘を鳴らし始めた。
「ランス1、行こう。」
『おうヨ。』
各自AKᎷを構えつつ、裏門へと高速接近する。
流石にいきなり目の前にアナライザーが来るのは想定していなかったのか、聖職者達は慌てふためいた様子で逃げ惑っている。
『逃がすかっ!!』
ジャックが殲滅を開始したと同時に俺も引き金を引いた。人体など端から想定していない獰猛な大口径弾薬が聖職者達──違うな、聖職者共を木っ端微塵に引き裂く。
許しを乞う連中もいるが……構うものか。
犠牲となった罪の無い人々の痛みを、思い知れ。
愚かなクソ野郎には、無残な死が相応しい。
「死ね、クソッタレ共。」
AKᎷのリロードの合間にも、ショットガンを用いて殲滅を継続する。
ジャックも少なからず憤っているのか、いつもより容赦無く銃弾を叩き込んでいる。
また外壁の端の方で、何やら投石機の様な兵器で此方を迎撃しようとしているのが見えるが、狙撃ポイントで待機していたエストック隊の狙撃で容赦無く鎮圧された様だ。
というか釣り鐘のある塔はそこそこ離れているのだが、あの距離から命中するのか……。
と、その時、通信有りの表情がモニターの左上に表示される。
『───ランス隊、こちらサーベル1。応答せよ。』
サーベル1……ヘンリクか。
『こちらランス1、どうぞ。』
『正門にある投石機及び付近の見張りの殲滅を完了した。──そちらの作戦行動が終了次第、此方へ合流せよ。』
『了解、後程合流する。──話は聞いてたな?』
「あぁ、さっさと切り上げて合流しよう。」
付近に散らばる見張りの殲滅を粛々と済ませ、俺達はヘンリク達サーベル隊の待つ正門側へと、駆け出すのだった。




