1.降り掛かる火の粉は払うまで
────人類は過ちを繰り返す。
数々の思想が交錯し、己の正義を肯定する為に争う。
ある者は言った。「人間は愚かだ」と。
ある者は言った。「人間は高潔だ」と。
そしてある者は言った………
「人間の在り方を決めるのもまた、人間である」と。
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西暦2047年3月16日。
世界各地に、小さな歪みが生まれた。
その歪みはやがて亀裂となり、
異空間へと繋がるゲートとなった。
アメリカ、中国、イギリスといった先進国は
直ぐ様調査隊を派遣した。
見知らぬ異空間、そこには広大な土地が広がっていた。
調査隊は測量や採掘を行い、遂にある物を発見した。
新たなる資源となる鉱石。
調査隊所属の科学者バートン・ブラウンは、
エメラルドグリーンに発光するその鉱石を、
「アザーライト」と名付けた。
アザーライトは各地の異空間で発掘され、
様々な国が発掘する為に工作隊を送り込んだ。
そんな異空間の事を人々は口々に「アザー」と呼んだ。
実にシンプルである。
だがシンプルである故に、その名は瞬く間に浸透した。
そして世界にその名が浸透し始めたある日、
オーストラリアに出現したアザーで、
とある事件が起こった。
派遣された工作隊が何者かに襲撃を受けたのだ。
工作隊に生存者は居らず、
アザーライト採掘プラントも半壊した。
この襲撃の犯人が分からないまま1ヶ月が過ぎ、
ようやく調査に踏み切ったオーストラリア調査部隊が
発掘プラントの監視カメラの映像を持ち帰る事に成功。
その映像に映っていたのは、
─────人型の機械であった。
いわゆるロボットと言われたりするあの人型の機械が、
発掘プラントへのレーザー砲撃を行っていた。
空想の産物と言われた人型兵器。
それを目にした各国はその脅威に戦々恐々としつつも、
──────その圧倒的な力に憧れを抱いた。
早速各国の技術者が集まり、
様々な試作を経て一つの形へと集約された。
太古の考えに習い、
目には目を、歯には歯を、
────人型兵器には、人型兵器を。
作り上げられた人型兵器は、
襲撃者と比べると随分と無骨だった。
それでも尚、人々は歓喜した。
─────この手で、あの脅威に立ち向かえるのだと。
人々の考えは一つだった。
──────降り掛かる火の粉は払うまで。
あれから数年の時が経った。
今では建造技術が発達し、
より洗練されたデザインが多く見られる様になった。
用いられる燃料も変わり、ガソリンを用いた時代から、
アザーライトから精製した
「アザーリキッド」へと変化した。
ガソリン等に比べ、
少量で莫大なエネルギーを保有するそれは、
人型兵器の燃料としての傑作燃料であった。
そして組み上げられた人型兵器は、
「アナライザー」と名付けられた。
建造に携わった技術者の一人が名付けたこの名前は、
今や世界中に浸透した名前であると同時に、
これから起こる数々の戦争の名前としても、
その名を冠し続けるのであった。
作品を読んで頂きありがとうございます。
布都御魂と申します!
初投稿作品という事もあり、至らぬ所も多いと思いますが、暖かい目で見て頂けると幸いです。
本作品では兵器等の要素が出てきますが、作者の知識の範囲内(またはネット知識)での執筆となっておりますので、間違っている!と思ってもこういう物だと思って頂けるとありがたいです。(余りにも違う場合にはレビューにご記入下さい。)
レビュー等、して頂ければ作者冥利に尽きます。
少しでも楽しんで頂ければ幸いです。
更新頻度は不定期となります。予めご了承下さい。