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 ペンションのオーナーの爺さんが言うには、急な宿泊なもんで、夕食は用意できないとのこと。かまわない。温泉にも入りたかったので、「お薦め」を聞いてから町中に繰り出すことにした。


 草津山の温泉街はそう大きくはなく、宿からサンダルで十分も歩けば中央広場に到着してしまう。そこの、温泉の匂いと流れる音が歓迎してくれる「湯畑」を眺めたあと、近所の、お薦めの「紅白旗の湯」に入ることにした。


 湯屋は、小屋のような大きさ。されど古い、趣のある木造の建物だった。そしてその玄関前には、趣ぶち壊しの近代的なコインロッカーがあったのだった。まぁ、便利なんで、利用させてもらうんだけどね。

 実はこのロッカー、目の前が広場で――というか湯屋そのものが広場の中にあって(というか湯屋の前に広場ができたんだな?)、なんだかすぐ盗難にあいそうで不安を感じるのだが、草津山の湯治客に悪い人はいないと健気に信じることにする。ま、それはいいとして――。

 コインロッカーは料金200円なのだが、セットした瞬間、サイフが必要なことに気付いてしまったのだ。おいおい「入浴料金」が払えないじゃないか! なんちゅうドジ。いきなり解錠するはめになったのだった。

 サイフから千円札一枚(それで足りるだろ?)を取り出してから再度200円でセットする。これでよし。千円で足りなかったら笑い話だな、と(期待半分に)思いつつ、湯屋の中に入ると、そこで初めて知ったのだが、建物の中には、湯船と脱衣場しかなかったのだった。つまり、「無料」なんだぜベイビー。さすが草津山町は太っ腹である……。

 ああ400円! これはもう、入浴料と割り切るしかなったのでありました……。


 湯屋全体の広さは十畳程度だったろうか? 湯船は二つ。ちょうどいい温度のと、熱いのと。軽く試してみたけれど、熱い方は、縁に腰掛けて、足を浸けるのが精一杯。アッチッチアッチッチ! アツゥ~~! 入浴者五、六人おったけど、肩まで入るのに成功したのは、白髪まじりのオッチャンたった一人だけだったよ。

 俺は適温の湯にとっぷり浸かり、湯煙、高い天井を見上げて、月並みだが寛ぎのひとときを過ごしたのだった。


 入浴後、サッパリと気持ちよくなった俺は、広場外周の蕎麦屋で「天ぷら蕎麦」と「生ビイル」を注文した。

 蕎麦屋を出てからは、湯畑をまた眺めたりした。うん、ライトアップされて幻想的になってる。辺りは本格的に暗くなり始めているんだよ……。

 湯畑を眺められる所に「足洗湯」というのがあった。腰掛けて足だけ浸かる「あずまや」みたいなものだ。サンダルで来た気安さから、即、浸かってみることに。まあ俺も、それなりに楽しんだということだ。


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