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時計を見ると午後四時過ぎ。八月の空はまだまだ明るいけれど、そろそろ寝床を考えないといけない時分だ。
最初、車中泊でいいやと思っていたんだが、地図を見るに、ここ「妻合村」から「草津山温泉」に伸びる県道があるじゃないか。
音に聞く、草津山温泉……。
夏でも涼しい高原の温泉郷……う~む。う~~む。ううう~~む……。もう、超強力な引力である! まさにブラックホール。
今からでは宿を取れないかもしれない。が車中泊するにせよ、名湯に浸かるだけでもしたいではないか?
決定。愛車カロリンターをそちらに走らすことにしたのだった。
「草津山町」に到着。うわ、涼しい! さすがな高原っぷりというもの。俺は実は、草津山温泉は初めてなんである。年甲斐もなくワクワクしてしまう。
町の入り口に、「旅館案内もやっている米屋」を発見。車を停める。ダメモトの気持ちで店に入ったところ、出てきた小母さん、電話を掛けまくって、「ペンション」なら一室あいてると言う。
8500円。
ちと割高だが、それでオッケーを出すことに。こんな時間で「お一人サマ」だからしょうがないよな。むしろラッキー。その場でクーポンを発券してもらい、現金と引き替える。ペンションにはそのクーポン券を差し出す、というシステムらしい。観光絵地図をもらい、ペンションの場所を教えてもらい、道を確かめながら車をのろのろと走らせ、五分後に到着したのだった。
他の宿泊客は小学生の野球チームのようで、いや、賑やかでした。いいぞいいぞ、存分に楽しみ給へ(笑)。
通された部屋は和室。グッドグッド。今夜は大の字で眠れそうだ。