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7 幽霊、出るらしいよ? 3

 

「いや秋月さん話聞いてた? あの部屋に住み着いてるのは女の幽霊だよ。あとBL幽霊ってなんだよ怖いよ」

「怖くないよ、BL幽霊はボーイズラブの幽霊」

「だから怖いんだよ。というかBLの幽霊ってAさんの見た髪の長い女とは何の関係も無いじゃないか」

「ある。これからあの部屋で起こったことを私が推理し、解き明かしてみせるわ」

「推理……?」

「恐らくあの部屋にはAさんが引っ越す前、二人の男が住んでいた」

「ただの願望じゃねえか」

「二人は愛し合っていたから、子供を作ろうという話になった。だけど、男同士ではどうやっても子供を作れない」

「まあ、そうだね」

「だから二人は互いの身体にシイタケの菌糸を塗りあった」

「何でだよ」

「自分たちで子供が作れないのなら、自分たちの身体に生えたシイタケを子供として可愛がろうと思ったのね」

「『思ったのね』じゃねえよ! 普段何考えてたらそんなこと思いつくんだよ!」

「やがて毛深い方の男の身体からシイタケとマツタケが生え始めた」

「何でキノコの生育に最適な環境が整ってんだよそいつの身体は!」

「だけど毛深くない方の男は激怒した。『俺はお前の身体にマツタケを植えた覚えは無い』と浮気を疑ったの」

「キノコの種類で浮気を疑うお前もどうだよ」

「だから二人は、自分たちと子どもたちの血の繋がりを調べるため、マツタケのDNA鑑定をすることにした」

「DNA調べるよりこいつらの尿を検査するべきだぞ」

「結果、マツタケは100%二人の子供だった」

「DNA一致したの!? じゃあこいつら松じゃん!!」

「二人は喜んでマツタケ鍋を囲んで食べた」

「おい待てそれ自分たちの子供じゃねえのか!!? どんな倫理観してんだこいつら!?」

「だけど毛深くない方のカニは、毛深い男を複雑そうな表情で眺めていた」

「このカニはどっから出てきたんだよ!」

「最初から居たよ。私の頭の片隅に」

「分かるか!」

「私は男と魚介類の絡むところを見ると興奮するの」

「普段どんな気持ちで魚食べてるのか教えてくれ」

「で、実は二人は互いに秘密にしていることがあったの」

「この状況から更に何か出てくるのか……」

「実はこの毛深い男、身体を覆う毛は全てまつ毛だったの」

「まつ毛の化け物じゃねえか!」


「そしてカニの方はマツタケ帝国のスパイだった。そう、二人は敵同士だったの」

「まつ毛とカニが敵対した歴史がの方が気になる!」

「そして気付いてしまった二人は泥沼の戦いを始める。ベッドの上でね」

「結局そうなるのかよ!」

「そして二人は味噌汁になったわ」

「何でだよ! もう本当に何が起こってるのか全然分からねえ! 怪奇現象どこ行ったんだよ!」

「慌てないで、点と点は確かに線で繋がっているわ」

「いや点じゃなくて汚点しかないんだが」 

「いいから、武岡くんの疑問に思ってることを聞いてちょうだい」

「じゃ、じゃあパン、パン、ていうラップ音はどう説明するの?」

「それは毛深い男のお尻を叩く音」

「嫌過ぎるわ! じゃ、じゃあAさんが見た髪の長い女っていうのは!?」

「それはシイタケ」

「シイタケ!?」

「シイタケも暗い所で見ると女の人に見えるものよ」

「いや強引過ぎるだろそれは! だってその女は喋ったんだよ?!」

「それはシイタケの声」

「シイタケ喋るの!? もうそっちのほうが怪奇現象じゃねえか!」

「これで、謎は全て解けたわね」

「いや謎は深まるばかりだよ!」



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