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【完結】剣聖と聖女の娘はのんびりと(?)後宮暮らしを楽しむ  作者: O.T.I
剣聖の娘、騎士登用試験を受ける……?
31/149

お料理対決


 後宮審査会第二の課題。

 その実施場所として案内されたのは後宮の厨房だった。

 果たして、ここで行われる課題とはいったい何なのか?



 戸惑う令嬢たちをよそに、ドリスは説明を始めた。



「皆様方には何名かのグループになっていただき……お料理を一品作って頂きます」


 戸惑いの空気がどよめきに変わる。

 それも無理からぬ事だろう。


 彼女たちはみな貴族……それも名家の出だ(1名除く)。

 毎日の料理は専属の料理人が作るのが常であり、自らの厨房に立つことは無いのである。





「私達に使用人の真似事をさせるというの!!馬鹿にしているわ!!」


 その時、怒りをあらわにした令嬢の一人がドリスに食ってかかった。

 他にも何人か彼女に同調して詰め寄る。



「馬鹿になどしてはおりません。これはれっきとした審査なのです。ご了承頂けないようでしたら、残念ですがこれ以上はお引取り頂くことになります」


 怒れる貴族令嬢たちに詰め寄られても、萎縮することなくドリスは淡々と言う。

 使用人の立場では貴族に強く出られれば、そうそう抗うことなど出来そうもないが……彼女は中々の胆力を持っているようだ。



「くっ…………だけど、私……料理なんてした事ないわ!!」


「私もよ!!」


「こんな審査……意味がないわよ!!」


 審査終了をチラつかされて幾分かトーンは落ちたものの、尚も言い寄る令嬢たち。








 その様子を見て、ため息をつきながら小さな声で呟く者が。


「ふぅ…………彼女たちは、この試験の意図が分かって無いようね……」


「え?レジーナ様はお分かりに……?」


 呟いたのはレジーナ、それを聞いて問うたのはミレイユ。

 二人は王都の社交界で面識があり友人と言っても良い間柄だ。



「推測ではありますけど。後宮に住まうのが、どういう者なのか……それを考えれば自ずと答えはでます」


「えっとえっと……みんなで力を合わせて頑張ろう!!って事ですよね!!」


 二人が話しているところに、エステルも加わった。

 エステル的にはミレイユはもう友達だから。



「あ、あなた……人の話に勝手に入って……」


「あなたはエステルさんでしたわね。先程のダンスはとても見事でした」


 ミレイユは突然話に入ってきたエステルに文句を言おうとするが、レジーナは気にした様子もなくエステルに話しかけた。



「ありがとうございます!!え〜と、あなたは……」


「私はレジーナ・エルネアと申します」


「よろしくお願いします!……あれ?国と同じ名前……」


 いくら世の常識に疎いエステルであっても、流石にそれには気が付いた。


 この国の名はエルネア王国。

 その名と同じ家名、それはつまり……



「ええ、私はエルネア王家に縁のある者です。とは言っても……」


「レジーナ様は今この場にいる誰よりも高貴なお方なのよ。あなたが気軽に話しかけられるものではないのよ!」


「王家に縁の方……(え〜と、王様の親戚って事だよね、すごいんだぁ……)」


 取り敢えず、何だか凄く偉い人だと理解したエステル。


「それで……レジーナ様は、先程のお話はどうお考えでござるか?」


 ……そんな謎敬語 (?)が飛び出した。

 偉い人相手ということで、彼女なりに敬意を示したのだろうか?

 そして、その言葉は一体誰に教わったのか……



「ご、ござる……?慣れない話し方をするくらいなら、別に変えなくてもいいですよ。……先程の話なら、エステルさんが仰った通りです」


「え……?力を合わせて……という?」


 レジーナがエステルの先の言葉を肯定し、ミレイユがキョトンとした表情で言う。

 

「ええ。ほら、まだ説明の続きがあるみたいですよ」









「皆様がご心配されるのはもっともでございますが……ご安心ください。皆様のサポート要員として、王城の専属料理人を各チームにお付けいたします。ただし彼女たちは助言を行うのみ……あくまで手を動かすのは皆様方であることはご承知おきください」


 ドリスのその説明で、最後まで抗議していた令嬢たちも渋々ながら押し黙る。

 口調は丁寧だが、雰囲気から最後通告だと察したのだろう。

 それに、料理のプロがアドバイスしてくれるなら何とかなる……と思ったのもあるかもしれない。



「ご理解いただけたようで何よりです。……では、グループ分けを発表させていただきます」



 一悶着あったが、どうやら第二の課題がようやく始まるようだ。

 そして、ドリスが発表したグループ分け……エステルがどうなったかと言えば。



「よろしくお願いしますね、レジーナさん!ミレイユさん!!」


「ええ、よろしくね」


「……ふんっ!足を引っ張らないでよね!」


 先程から一緒に話をしていたレジーナとミレイユが同じグループとなるのだった。


 果たして彼女たちは、力を合わせて見事に課題を乗り切ることは出来るのだろうか?



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