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答え合わせと【黒幕登場】

教官カルラの放った巨大な炎は俺に直撃した…が。



「なに!無傷!?」

「悪いな。属性魔法はすべて対策済みなんだ」



このような炎ごときが俺に通用するはずがない。

なぜなら俺は召喚騎士だ。


召喚騎士に最も必要とされる能力はとにかく『殺されないこと』。

ゆえに、暗殺者への対応はもとより、このような遠距離攻撃のキルに対しても当然対策済みだ。



「イチ生徒ごときがこんなこんな…!」

「カーズくん…一体なにもの!?」



教官は確殺だったであろう魔法を台無しにされショックが隠し切れない。

ティナも同様に俺に対して、謎が深まるばかりといった様子だ。


召喚騎士の存在を知らなかった以上、無理のない反応だが。




「俺の要求はたった1つ。今すぐこのイカレた学園を卒業させろ」

「なにっ!?」

「ついでにこのティナもだ」

「カーズくん!?」




殺そうとしたお詫びじゃないが。

ティナを口封じで殺せない以上、このようにある程度フォローに回ったほうが上策だろう。


実際、俺はこの学園の一年間で計画していた目的は果たした。

後は、『この学園に1年いた』という証明できるもの、つまりキャリアがあれば文句はない。



「け…権限がない」



教官は俺に畏怖を抱きながら言った。

なるほどこの教官、反応はわかりやすいようだ。


もののついでに、俺は『答えあわせ』も兼ねてティナに問いかけた。



「卒業したものはどうなるんだっけ、ティナ」

「卒業したら栄光の聖トリスアーナ騎士団の見習いになれるのよ」


「そんな騎士団は存在しない」

「えっ!?」



俺のまさかの回答にティナは驚きの声を上げた。



「そんな…じゃあティアラは!ケインは!」

「ハメられたな。1年かけて」

「!!」



ティナはショックの余り、その場に座り込んだ。

殺そうとした俺の言葉を信用するティナもどうかと思うが。


だが、確かな情報だ。

なぜなら、俺は召喚騎士だ。

そして、召喚騎士は戦略クラスの存在だ。

したがって、軍団の把握、帝国及び他国に登録されている騎士団や魔術団の存在を把握していないはずがない。



「ようするに、この学園は俺たちを殺すために入学させたんだよ。1年かけて、この卒業試験で」

「そんな…」


「…」



教官の反応を見るに俺の仮説は恐らく正解だ。


どうりであっけなく入学できたと思ったんだ。

というのも、入学時(今もだが)、俺自身は召喚騎士の身分を隠し得体のしれない存在だった。

真っ当な学園なら素性をしっかり調査をしたはずだ。



グサ!



「うわああああ…」

「カルラ教官!?」



その時、どこからか現れた光の刃が教官の胸を貫いた!

教官は断末魔をあげて徐々にミイラ化していく。


えもいえぬ匂いがあたりに充満する。




「この匂い…アンデットか!」

「いかにも」




その時、ゆっくりと1人の人間が姿を現した。




「哀れな魂を定着させ、やがて希望に満ちた光となりはじめる。ここまでで約1年じゃ」

「誰っ!?」

「そうして熟れ始めた魂が一番おいしい。死霊術の基本じゃよ」

「校長!?どうして!?」



ティナはまさかの人物の登場に驚きを隠せなかった。


いつも笑顔で温和な校長。

名前は…忘れた。

だが、このイカレたジジイが黒幕であることに間違いないはずだ。



「やはり死霊術だったか」

「おぬしは…誰じゃ?」


「悪いな。学園はサボり気味だったのでな。だが俺たちを殺さずに、1年生かしておく理由を考えたんだよ」

「というと?」

「死霊術はその実行媒体に人間の死体が必要だ。だが縁もゆかりもない肉体ではその効果は薄くなる」

「…」


「死霊術を使うことで、低級なモンスターも複数使役できるようだな」

「低級ではないっ」



いつも温和だった校長がモンスターのこととなると、声を荒げた。


実際、死霊術は低級なゾンビを使役したり、モンスターを使役したりするだけの醜い魔法だ。

当然召喚魔法には遠く及ばない。


一説によると、死霊術は召喚魔法を使えない者が嫉妬の余り生み出した、似せただけの苦肉の『まがい物』とまでいわれている。



「ついにここまできたんじゃ!」

「こ、校長…」



ティナは校長の豹変ぶりに驚きを隠せない。



「毎年、クズな生徒どもの魂を集めることで、ついにここまできたんじゃ!」

「ほう?」

「上級も最上級もおる!ワシの軍勢はもはや『国家レベル』じゃ!」



そういうと校長は黒いビンを取り出し床にたたきつけた。

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