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モンスターと【聖女セリア】

「ギャアアアス!」


「クソッ」

「あ…あ…」


トカゲが俺(と戦意喪失した女生徒)に向かって強力な噛みつきを仕掛けてきたその時…




「聖なる光よ!撃ち抜けホーリーアロー!」

「ギッ!?」


「なに!?」




突如背後から現れた光の矢がトカゲを貫く。




「ガ…ガ…」




バタン!

そのままトカゲは心臓を撃ち抜かれ絶命した。




「助かった!?」

「あ…あ…」



戦意喪失の女生徒は状況が分からず更に混乱している。

その俺たちにかけよってくる女が一人。




「大丈夫でしたか!?」


「あ…ああ」

「聖女セリア様!?」



混乱していた女生徒は表情が明るくなり途端に大声をあげた。




「良かった…このグループの人たちに生き残りがいて」


「セリア様ー助かりました~」

「…」



俺はそんなやり取りよりも、死骸となったトカゲから目を離せずにいた。



(グロいな…心臓を一撃かよ)



聖女セリア

学園生活に無関心だった俺でも、名前は聞いたことがある。

なんでも入学してから、トップの成績を残し続けてきた。

そのため、聖女の生まれ変わりと回りから揶揄されている存在だ。

当然、俺からしたら何がトップの基準だとか聖女の生まれ変わりだとか、どうでもいいことだったが。




「しかし、このマヌケなトカゲ…」




モンスターにも2種類いる。

1つは己の意思のままに人々を襲う一般的なモンスター。

こいつらは自由に生きて自由に繁殖するいわば『動物のようなもの』だ。


そしてもう1つは…




「おそらくこのキラースネークは召喚モンスターです」

「召喚モンスター!?」


(そんな名前なんだ)



聖女セリアの言葉に女生徒は驚いたリアクションをとった。

俺は名前のほうにむしろ驚いていた。

トカゲかと思っていたが、どうやらヘビ系らしい。



「こうして召喚モンスターが存在するということは、誰かが何らかの目的で召喚したということです」

「そうなの!?セリア様」

「この卒業試験…何かがおかしい」



セリアはつぶやくように言った。

そのあと、疑念を払うように俺たちに笑顔を向けた。



「とにかく、この卒業試験で大事なのは『合格すること』。そして合格するには『生き残ること』。あなたたちは安全な場所へ避難していてください」

「セ…セリア様は!?」

「私は、他の生徒達を一人でも多く助けにいかねばなりません」

「そんな!?」



短時間で陣を組んだ生徒が全滅。

トカゲの脅威を目のあたりにしたのもあるのだろう。

女生徒は絶望とセリアの心配で再び暗い表情をした。


表情が豊かな女生徒だ。

リアクションもお決まりかつ激しい。

本人がバカなのと充実した学園生活を送っていた2点が背景として考えられる。

それだけに、今回の卒業試験のいきさつはショックを隠せないのだろう。


女生徒をフォローするわけではないが、重苦しい空気を払うように俺は言った。




「半分正解で半分間違いだ」

「あなたは…」

「カーズだ」



今さら自己紹介もどうかと思うが、親父からもらった名前をいうことに抵抗はない。



「『この卒業試験は何かがおかしい』、それは正解だ。だが、こんなトカゲが召喚…召魔であるはずがない。決してな」

「…」

「召喚は選ばれし者のみが扱える戦略レベルの魔法だ。ショボい魔法で絶命する時点で『ただのモンスター』と断定できる。たしかホーリーアローとかいったか」

「あなたセリア様のことバカにしてるのっ」



女生徒は俺に食ってかかった。

色々と忙しい女生徒だが、当のセリアはキョトンとしている。



「助けてもらったんだよ!?」

「ま…まあまあ」



俺としては、このイカレた卒業試験への対策を話すつもりだったが、女生徒はどうも学生生活のノリが抜けていないようだ。



(…い)

「!?」



その時、俺の頭の中に『声』が響いた。



(おい…いちおう…)

(?)

(死ぬぞ、そこの…ニセ聖女)

(な…に?)

(寿命が…『あと1秒』…になっている)

(!!)

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