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3話「殺戮者」

 レム子の魔力切れが起きたときは驚いたが、掌から魔力を送るイメージをしたら無事補充できたらしく直ぐに目を覚ました。その後は一応安静にしてもらうため休んでもらったが、男としての飽くなき探求心がその先を見たがっているのも事実だ。いずれはその探求も行おうと思う。

そんなこんなもあり、レム子には畑手つかずの畑仕事をメインにやってもらっている。畑の耕し方など最初こそぎこちなかったもののなれたら底なしの体力を見せ、みるみる畑を耕していった。魔力さえあれば疲れないというのはゴーレムたる所以だなと感じさせられた。

 レム子に畑を任せた後俺はラグナリアに再び赴き冒険者登録をしてきた。流石に無収入では邪神からもらったお金もそのうち底をついてしまうので稼ぎを得ようと思った次第だ。しかし冒険者といっても俺は戦闘など到底出来ない。というわけで今はさらなるゴーレムを作成中である。それも今度は戦闘に特化したやつを。レム子も戦えないわけではないがメイドのイメージで作ったので戦闘はあまり得意ではと本人も言っていた。因みにピックも戦闘は出来ない。


「レム子、そろそろ魔力入れるぞー」


「はーい」


 レム子の魔力切れが起こるのは大体3日程度だ。なので最後に魔力を入れた2日後には入れるようにしている。


「ありがとう!ご主人様!」


 元気な笑顔でお礼を言うレム子に対しよしよしと頭をなでると気持ちよさそうに眼を細める。今からでも体をまさぐりたいがピックの監視がある以上行為は致せない。ので、軽くお尻を撫でまわす程度に収めておく。「もぅ」という小さな講義にレム子もピックにばれないよう配慮しているのだろう。多分まんざらでもない。と思っている、と思いたい。

 早く家を改装して自分の部屋でも作らないとそのうち性欲が暴走してしまいそうだ。その為にはまず金を稼ぐことだな。やる事は山積である。





 そして数日が過ぎたころ、漸く二人目のゴーレムが完成した。戦闘特化型ゴーレム。名を『アヤカ』。長い黒髪を後ろに纏めたポニーテールで、すらっとしたしなやかな体に対して主張の激しい胸部に力を入れて作った。


「初めまして、マスター。私はあなたの盾であり剣です。何なりとご命令を」


「お、おう」


 いきなり忠誠心厚そうな感じで来られるとどう対処したらいいのか困ってしまう。まあ、美人に命令できて嬉しくない男はそういないだろう。


「先ずは君に名前を授けよう、名は『アヤカ』だ」


「......アヤカ......」


 沈黙が続く。あれ、もしかして気に入らなかったかな。どうしようセンスなかったか。言っちゃあれだがレム子よりはましだと思うんだけど。いや、レム子という名前もかわいいしレム子もかわいいんだけどそっちよりの名前のほうがよかったか?あやぽんとかの方がよかったのか?

 俺があれよあれよと考えているうちにアヤカはふるふると震えている。傅いているためあまりよく見えないがその顔から一筋の涙が零れ落ちて。


「このようなものに名を頂けるとは、感銘の至りでございます!この体、御身のために何なりとお使いください!!」


 なんかめっちゃ感動してた。





 時刻はまだ昼過ぎたところ。早速依頼を一つこなしてみよう。

 アヤカを連れて森に来た俺たちは標的となる魔物がいないか辺りを見渡す。


「今回の対象はグランドスパーダーという魔物だけど、それっぽいのが見当たらないな」


 スパイダーというぐらいだから蜘蛛の魔物なんだろう。日本では蜘蛛とは益虫としてみられていたためあまり殺したくはないがこのグランドスパイダーは平気で人も襲うらしい。それならば致し方ない。剣の錆にしてくれよう。切るの俺じゃないけど。

 

「マスター、お下がりください。敵です」


 まだ何も見えないがアヤカは何かを察知したらしく、迎撃態勢をとる。その数秒後黒い影が茂みから飛び出してくる。


「あれがグランドスパーダーか」


 大型犬ほどの体格を持った蜘蛛の魔物、グランドスパイダー。初めて見る魔物に体が竦んでしまう。日本に住んでいたころにはこんな恐怖味わうことなどなかった。熊とかに遭遇したら味わえてたかも知れないが......そこで自分がトラックに轢かれたことを思い出して苦笑する。あの頃は恐怖する余裕すらないくらいに疲弊していたのかと。それに比べれば今感じている恐怖はそれができるだけの体力的余裕があるということか。なんて皮肉だろうと思うが、次の一言で俺の恐怖は消えていった。


「マスター、直ぐに終わらせます」


 刹那、剣を鞘に納める音が響き、数舜遅れて蜘蛛の魔物の体が真っ二つに割れ、鮮血が飛び出す。


「この程度の魔物がマスターを脅かすなど万死に値します。この森の蜘蛛を一掃してまいりましょう」


 それからというもの出会う魔物すべてを人たちで葬っていくアヤカの様はまさしくイメージした通りの様だった。

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