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「ただいまー」
家に帰るなり、元気に叫んで中へ入っていくなな。
「誰もいないのに───にしても、結構まれてきたね、うちの住まい」
「うん♪最初はよく水に落ちた小池もなんとか助走つけてとびこえらえるようになったよ!」
振り返って、得意げにウィンクするなな。
「いや普通に避けて歩いてよ」
というか、それってことは、うちがいないとき───びしょ濡れではいって来た───わけないよね?
「そういえば、今日登校初日なのに、宿題っぽいの出されたでしょ?」となな。
「あーあの考えてこいってやつ?」
宿題:一週間後までに、軽くでいいので、一つ職業を考えて、参加してみてください(参加する前に学校へ連絡を!!)
条件:この街をよりよくできる仕事にする。ペアワーク可。自分で仕事を考えてくるの許可する。
「そうそう。それあとでみせてー。紙ひこうきにしてどこかに飛ばしちゃった」
「もーななはおバカさんなんだから」
「えっへへー」
ガラッと開けて、奥の部屋、その一。簡易な客間に、高そうな家具が壁際に並んで、真ん中には木目調の円テーブルが畳上に置かれていた。
その和を感じさせる中、視界に映ったのは、一人の少年。「んーみなねーおかえり」と手を振ってくる。
「えっと、そっちは……」
だ、誰かいるぅー!!
「言われてみれば、二人は意外と初対面だよね。紹介するね、この子は小草ろくおん君、うちの友達でなんと小学五年生!で、こっちは木目ななちゃん、うちに週五で過ごす、幼なじみだよー。実は、この春からもクラスメイトでもあるんだー。」「「よろしくね」」
うすい灰色の髪。寝癖か、スタイルか、一束だけハート型の髪がかわいい。男の子なのに、かわいい…。
そうだ、言い忘れていた。あたし、みなぎん家にとめてもらっていて、 週一でお姉ちゃん(今はあまりいない)家に帰っている。いそーろーって言うらしい。かっこいい。
理由は単純で、一人じゃ寂しいからだ。みなぎちゃんは「お爺ちゃん」がいるが、あたしの場合は、年に一度も帰ってきて紅から。
「それで、おぐさくん、なぜあたしん家に?」「『うちの』だけどね」
「僕が来たのは…『連続犯行』の犯人を探すためだよ」
「れ、連続犯行?被害者は出たの?」
「んー、まぁ、被害といえば、僕一人だけかな、そうだと願う」
「ごくり」
ろくおんはエプロンの内ポケットから、くしゃくしゃにされた紙を四、五枚取り出して、「でも、助かったことに、飛行機のテロリストさんがバカだから、名前聞いて回るだけで済んだよ」と言った。
くっきりと、大きな、丸字。
右上に「刻まれた」、不動の証拠。
『名前:木目なな』
「「……」」
ハハッと笑うなな。「誰だろうね、犯人」
「君しかいないよ」
「どうぞ白状を」
「アハハ…」
「さてと…」
小草ろくおんがパンパンと手を叩いた。
「───あの秘密を、明かそうか。お互いにね」