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悪役令嬢の弟に転生しました リーマンの乙女ゲー攻略日誌  作者: くま太郎


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お口で勝利?

更新リクエストがありましたので、更新再開

静寂が辺りを包む。聞こえてくるのは風の音だけ、くしゃみ一つ漏らせぬ空気、そんな雰囲気だ。

(流石に皆緊張しているな)

 いつもはたおやなか笑みを浮かべている騎士達も緊張しているのか、口を真一文字に結んでいる。

 その目には闘志が宿っており、戦気が全身から溢れ出していた。

 後、十分もすればここは戦場になる予定……だ。

 ジェイド伯爵が逆恨みで、俺を襲いにくるのだ。

騎士はやる気満々だけど、大事な部下を、そんな阿保な理由で怪我させる気はない。


「こことここに穴を掘って。深さは一m位で。五十センチ位間を開けてもう一つ作って下さい……出た土は、そこに積み上げて下さい」

 建設課の職員に指示をだして迎撃戦の準備を整えていく……良く考えたら、元領主との戦いに駆り出しているんだよな。恨まれたりしないよね?


「トール様、次の指示をお願いします。役立たずと馬鹿にされた俺達を拾ってくれた恩返しをしないと」

「結婚も出来て、最高の親孝行が出来ましたよ」

 むしろやる気満々でした……そういえば二人とも、結婚したんだよな。親孝行か……前世の事を思うと耳が痛いです。

(クレオを実家に連れて行ったら……駄目だ。両親の胃に穴が開いてしまう)

 前世の俺は三十五歳。そいつが中学生のクレオを婚約者として連れて行ったら、犯罪者確定だ。

 それに本当の俺を見たら、クレオに振られると思う。


「この辺に目の細かい泥とかありませんかね?」

 本当は木の枝が欲しいんだけど、見渡す限りの荒れ地。枝どことか草すら見えない。向こうの視界の映らない様にするけど、人の命が懸かっているんだ。万全を期したい。


「あそこの川岸でとれる泥なら目が細かいですよ。運んできますね」

 建設課の職員が泥を芋虫ゴーレムに変化させて運んできてくれた。


「ストーンクリエイト。穴を塞げる大きさの型枠。ここに泥を入れて下さい……そして乾燥」

 ストーンクリエイトで作った型枠を消せば、泥で作ったなんちゃって天日干しレンガ風蓋の完成。木の枝とかで補強していないから強度はあってないような物だ。

コア伯爵到着までおおよそ十分。その間持てば良いのだ。

(念の為に地図アプリを確認しておくか……まじ?)

 地図アプリを起動すると、点滅するマークがマップ上を移動していた。


 新機能・殺意及び敵意別マーク実装のお知らせ(色が赤ければ赤い程、トール君を憎んでいて殺す気満々です ※魔物は非表示にしちゃいました ドキドキがあった方が楽しいですもんね by 優しいお師匠様)

 いや、魔物がどこから来るか分かった方が嬉しいんですが……これ学校や城で使ったら真っ赤にならないよね?

 そして貴族社会の悲しい現実が露わになりました。殆どのマークの赤さが薄いのだ。騎士や兵士はやる気ゼロ。まあ、どう考えても貧乏くじなんだし。

 そんな中血の様に赤黒いマークが三つあった。

表記を見ると、コア・ジェイド チャラ・ジェイド ペポー元伯爵の三人。完全に私怨だよね。


 ……あれをまともに見ても良いんだろうか?俺も貴族の端くれ……反面教師にしよう。


「あそこにいるのがトール・ルベール。悪逆非道、守銭奴、不細工の汚名をほしいままにしている下種だ。穢れだ。神聖なるジェイド領から、一刻も早く除去しなくてはならぬ。見たところピエールの騎士はいない。素人にゴーレム使いのなんたるかを見せてやれ」

 深紅の服に身を包んだコアが命を下す。しかし、騎士の反応は薄い。

 何しろこっちのゴーレムは戦闘準備万端。うかつに近づけば格好の的になってしまう。


「あの男は俺の運命の相手であるクレオを、婚約で縛るろくでなしだ。コア様にジェイド騎士団の実力を示すチャンスだ。俺に続け」

 純白の服を身にまとったチャラがゴーレムを動かすも、他の騎士の反応は鈍い。

怪我をしたくないし、卑怯者の汚名が嫌なんだと思う。それにチャラとペポーが前に出て死道を塞ぐ形になっているのも大きい。


「また小細工を弄しているのだろう。策ごと踏み潰してやる。腰抜け共は、そこで見ていろ。手柄は俺とチャラが独占する」

 ペポーの服は麻で出来たチェニック。爵位を失ったから、経済的にきついんだと思う。

 チャラとペポーの二人が、こっちに向かってくる。

(土壁を避けた。やはり、ご自慢のゴーレムは汚したくないんだな)

 落とし穴を掘った時に出た土を進路に積み上げておいたのだ。


「今だ。スートンクリエイト、高さ1m50センチ、長さご5mの壁」

 落とし穴の前に壁を出現させる。人は無理だけどゴーレムならなんとかまたげる高さだ。


「これがお前の策か?前に私をはめた策は、部下に教えてもらったんだろ?こんなもの簡単に乗り越えられるぜ」

 二体のゴーレム?壁を乗り越えて、地面に足がついた途端、ド派手に転んだ。

 人間なら反射的に手をつくんだろうけど、壁の向こうで操っていた事もあり動きが遅れたのだ。

 スートンクリエイトを解除して視界を良くする。

 真っ赤な顔でゴーレムを立ち上がらせるチャラとペポー。お仲間が失笑しているぞ。


「雷撃始めっ!」

 俺の合図に合わせて、座らせておいたゴーレムの手から雷撃がほとばしった。なんの事はない。雷撃の符を手に貼っておいただけ。

 でも、ルベール騎士団の魔力も合わさって巨大な雷撃が二体のゴーレムを襲った。雷撃の衝撃でゴーレムに僅かなヒビが入る。


「続いて、放水開始」

 膝立ちゴーレムの肩に乗せておいた筒から水が放たれる。これは魔法の水はなく、予め汲んでおいた川の水。それを魔法で筒から放水してもらったのだ。


「我が家のゴーレムがっ!」

 チャラの悲鳴が響き渡る。水の勢いに負けたゴーレムは、バランスを崩して後方に転倒。

 その衝撃で、ヒビが大きくなった。


「最後に氷結魔法をお願いします」

  圧巻とでも言うべきか。冷却符とルベール騎士団の魔力のコンボは凄まじく、二体のゴーレムを吹雪が襲う。


「皆トール様が愚弄された事に怒っているんですよ……しかし、これで向こうの動きが停まるのですか?」

 ニコラさんの話では、騎士団の皆が本気をだしてくれたそうだ。


「ジェイド領の騎士にとってゴーレムは家宝。命より大切な物らしいんですよ……今のうちにゴーレムの部品をばらまいて下さい」

 吹雪で視界が遮らているから、コア側からこっちの動きが見えない。


「う、嘘だろ?ゴーレムが……我が家の宝が……」

 ゴーレムの惨状を見て、チャラとペポーが泣き崩れた。

ネタバレをすると、ゴーレムの損傷は軽微。雷撃で出来たヒビに水が入りこむ。その水が凍ったので、表面が欠けただけだ。ただ、チャラ達から見れば俺がばらまいた部品が、自分のゴーレムの物に見えたのだ。

 すかさず地図を確認。

(王様達が来た。一気に決めるぞ)


「罠はまだある。ゴーレムを失いたくなければ、この場を去れ」

 嘘だ。もうネタ切れです。でも、はったりも大切だと思う。


「ひ、卑怯者め。我ら、ジェイド騎士団が、そんな脅しにのると思うか?」

 チャラが俺を睨んでくる。でも、君のお仲間は及び腰になっているぞ。


「ジェイド騎士団に問う。貴方達の主は、そこにいるコア・ジェイドか?違う筈だ。その前に貴方達はイルクージョンの民。真に使えるべきはイルクージョン王家だ。もう直ぐイルクージョン王とリヒト王子が親衛隊を率いて、ここに来る」

 場が一気に静まり返った。イルクージョンの民、特に騎士にとって王様やリヒト王子は、雲の上の存在。

 何より王家親衛隊の戦闘力は強大である。

(よし、王様達が来た。きちんと全員の耳にも届くな)


「輝かしいリヒト王子の初陣を、同士討ちの血で汚すと言うのか?恥を知れ!」

 俺の一喝で崩れ落ちる。ジェイド騎士団。どうだ、おべっかで勝ってやったぜ。

バレたら、クレオに愛想を尽かされるんだろうな。

それでも全員怪なく終われたからよしとしよう。

ほっと胸を撫でおろしていたら、王様と爺ちゃんが近づいてきた。


「言葉だけで、ジェイド騎士団の戦意を折ったか。トール、これからどうするのだ?」

片膝をついて、待っていると爺ちゃんが話し掛けてきた。俺は王様と直接話す資格を持っていない。だから、代わりに爺ちゃんが声を掛けてきたんだと思う。


「殺したら、お終いですので。何より殺された騎士の家族はピエール様を恨みます。何より大切な我が家の騎士が怪我したら、笑えません……俺はジェイドの城に行って書庫を改めたいのですが」

 きっとクラック帝国とアウトなやりとり残っている筈。隅から隅までプロがチェックしてやる。


「俺はこれから王やリヒト様と、ピエール殿に会いに行く。一番の立役者が来ないのか?」

 行けば褒めれるし感謝されると思う。


「そこは俺の仕事じゃないし……それにきちんと確認しないといけない事があるので。出来たら文章に明るい人が同行してくれたら助かるんだけど」

 多分やばい文章を巧妙に隠している筈。でも、元プロの目を誤魔化せると思うなよ。


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― 新着の感想 ―
ゴレームとゴーレムの違いがよくわからないです。 ジェイド領のものはゴレームなのかとも思ったのですが今回ではセリフ含めすべてゴーレムになってるのでそうでもないのでしょうか?
>多分やばい文章を巧妙に隠している筈。でも、元プロの目を これって、途中で途切れていませんか?
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