お弁当②
「さて、お弁当食べようか!」
「うん、そうだね」
「……あれ?」
「どうしたの?天瀬さん」
なぜか嫌の予感がする…
「ないの…」
「え?」
「お箸が1つしかないの…」
「えぇ…じゃあ僕は食べないからいいよ…」
「そんなのだめだよ!」
「じゃあどうするのさ…」
「一緒のお箸を使えばいいじゃないですか!?」
「いやだだよ…」
グルグルグル〜
「でも体は正直だよ?」
「うぅ…わかったよ…」
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「は、はい、あ〜ん…」
男子が女子にされて嬉しいことのトップ3に入る「あ〜ん」が今まさに行われようとしている。
「ね、ねえ天瀬さん、僕は自分で食べれるよ?」
「天童くん、あ〜ん!」
「はぁ…わかったよ」
パクっと卵焼きを食べた、前はおいしかったのに今は恥ずかしさのあまり味がしない。
「どうしたの?」
「いや、天童くんが食べてくれると思わなかったから…」
「じゃあやらないでよ…」
「じゃあ次は天童くんが食べさせてよ!」
えぇ…そんなに明るい目で見ないでよ…そんな目で見られたら断れないじゃないか…
僕は無言で可愛いタコさんウィンナーを差し出す。天瀬さんはそれをパクりと食べた。
「お、おいしいね!?」
(やばいやばい……天童くんに食べさせてもらった!は、はずかしいよぉ〜!味なんてわかるわけないじゃん!)
「そ、そうだね!?」
(なにこれ、やる方もすっごい恥ずかしいじゃん!天瀬さんさっき普通にやってたよ
ね!?)
2人はこの後も無言で交互に食べさせあいながら、昼休みを終えた。
このあとしばらくするまで、顔を合わせることができなかったのはいうまでもないだろう
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