幸せな時間
最終回、短めです
ヴィクトリアは気分転換に森までやって来ていた。
森の中は木漏れ陽が射し込み、爽やかな空気に包まれていて、外で読書をするにはうってつけの場所だった。
読書に没頭していたヴィクトリアは、足音に気付いて顔を上げ、そよ風でなびく銀色の髪を払った。
「ヴィ 」
最愛の番に呼びかけられたヴィクトリアも、幸福感に包まれた満面の笑みを浮かべて、彼の名を呼んだ。
「 」
彼の腕の中には、最近歩けるようになり「ママ」と少し喋り始めた、目に入れても痛くないくらいに可愛すぎる、彼との初めての子供がいる。
ヴィクトリアは毎日それなりに忙しく、「子供は俺が見てる」と彼に気分転換を進められて、しばし一人だけの時間を過ごしていた。
子供を胸に抱いた彼がヴィクトリアの隣に座った。
彼が手の中の本を覗き込んできたので、ヴィクトリアも一緒に見ようと肩を寄せる。
その本はヴィクトリアが何度も読み返しているお気に入りの恋愛小説で、本の内容について熱く語るヴィクトリアを、彼は愛情の込もった優しい眼差しで見つめている。
本を眺めていたはずの彼が、途中でヴィクトリアの口元に顔を寄せてきた。子供は既に彼の腕の中で健やかな寝息を立てている。
ヴィクトリアは彼の口付けに応えた。
最愛の番や我が子と過ごす時間は、とても愛おしく、尊いものである。
ずっと欲しかった幸せを得られたヴィクトリアは、最愛の人と共に、甘く幸せな時間を過ごした。
【了】
完結です。途中で中断も挟みつつ約四年、完結できました。ありがとうございました。
共通エピローグはそれぞれのヒーローで脳内変換してお読みいただければと思います。(「ヴィ 」の所は、幼馴染だけ呼び方違うので苦肉の策です^^;)
シドエンドの補足と後書きと、全体のまとめ後書きを活動報告へ上げています。
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お読みくださりありがとうございました。