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獣人姫は逃げまくる ~箱入りな魔性獣人姫は初恋の人と初彼と幼馴染と義父に手籠めにされかかって逃げたけどそのうちの一人と番になりました~  作者: 鈴田在可
シドハッピーエンド 王の女

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3 女になる

シド視点→ヴィクトリア視点


R15注意、強姦注意

 ヴィクトリアを抱えたシドは、首都からわりと離れた場所にある山間の村に来ていた。


 銃騎士隊の連中は既に撒いている。というか、何故か奴らは途中で明らかにシドを追うのを諦めた様子だった。


 自分を処刑寸前まで追い詰めた者たちには、それなりの報復をしたい気持ちもあったが、シドにとっては、「この先また会うことがあれば殺してやってもいい」という程度の、どうでも良いことに変わりつつあった。


 シドには、あの処刑に関わった者たちを殺したり首都を滅ぼすことよりも先に、とても大事なやるべきことがあった。


 腕の中に抱え直したヴィクトリアは眠っている、というか、処刑場から離れた早い段階で、急所に手刀を打ち込み気絶させておいた。


 シドは自身を守ったあの氷を出現させたのは、あの場ではヴィクトリア以外有り得ないと思っていた。


 ヴィクトリアはジュリアスとか言ったあの妙な術を使う者たちと同じ力があるようだった。()()()()()()シドとは違い、未だにレイン(他の男)への『番の呪い』に惑わされているヴィクトリアを、単に普通に襲えば抵抗されるのは目に見えていた。


 夜這いが失敗したあの夜のようにまた氷漬けにされて逃げられそうだと思ったので、とりあえず気絶させておき、目が覚める前に早々にブチ✕すしかないと思っていた。


 シドは服を突き破りそうなほどの気持ちを抱えていた。


 ヴィクトリアはここ数日、シド以外の他の男どもに自由に身体を触られていたようだった。

 ヴィクトリアが自ら望んだものもあり、それはシドへの裏切り行為に他ならず、早急に自分が誰のものなのかわからせてやる必要があった。


 とはいえ、長年待ち望んでいた祝福の音を得られたシドは、これまでの人生の中でも最大級に気分が良く、お仕置きをして相思相愛の番同士になった後は、最愛の女ヴィクトリアを甘やかしてやりたい気持ちも多分にあった。


 ヴィクトリアを抱えたままのシドは、質の良い温泉が湧いている秘境的なその村に入ると、すぐに村長の家へと迷わずに向かった。


 シドは数日に渡る「狩り」の遠征の帰りなどに、他の獣人たちを引き連れてこの村に滞在したことがあった。誰も殺さない代わりに寝る場所や食事を提供しろと脅せば、村人たちは恐怖に慄きながらもその通りにしていた。


 何度か銃騎士隊に通報されそうになることもあったが、その度に見せしめのように村の者たちを痛めつければ、彼らは次第に反抗する気も完全に失せた様子で、シドの言いなりになっていた。


 シドはそのような便利な場所を全国に何ヶ所か押さえているが、それらの選ばれた場所の共通点は温泉が湧いていることで、すべては風呂好きのヴィクトリアのためだった。


 ヴィクトリアの趣味が「入浴」になってから、シドはいずれ混浴を果たすべく、泉質の良い温泉地を次々と掌握し支配下に置くようになっていった。


「メシはあとでいい。とにかく風呂だ。すぐに入れるように一瞬で準備しろ。


 俺とヴィクトリアの初めてを飾るに相応しい部屋の準備も忘れるな。抜かりがあれば関わった者たち全員を殺すからな」


 シドがいつものように、自分こそがこの村の長であるかのような尊大さを持って威圧的に命じれば、壮年の村長とその側近たちは平身低頭し、シドたちに最大限のおもてなしをするようにと使いを走らせていた。











******






 これまで感じたことがないくらいの感覚に、全身が震えていた。


 ヴィクトリアはどこかぼんやりとした意識の中にいた。


 徐々に像を結び始める視界の中では、鮮血のように真っ赤な髪色をした男が、赤い瞳でこちらを見ていた。


「い、や……」


 ヴィクトリアは咄嗟に拒絶の言葉を吐くべく喉を震わせたが、掠れたような声しか出なかった。


 身体を捩って男から逃げようとしたが、易々と押さえ込まれてしまう。


「お前に拒否権なんかあるか。お前がこの世に存在した時から、お前はずっと俺のものだったんだ。


 お前は一生、俺だけに泣かされて生きるんだよ」


 目に涙が滲み始め、再び嫌だと言おうとしたが、言葉にはならなかった。


 ヴィクトリアは喜びと悲しみが綯い交ぜになった、よくわからない感覚に支配された。


「やめ、て…… 助けて……レイン……」


 ヴィクトリアは愛するレイン以外との触れ合いに、酷い苦痛を感じて死にたいくらいだったが、身体は真逆の反応をしていた。


 どうすれば良いのかわからず気持ちの置き所がなくなってしまったヴィクトリアは、ポロポロと涙を溢す。


「その男のことは忘れろ」


 レインを愛しているはずなのに、その心とは裏腹に身体はシドを求めていた。矛盾した状態に混乱したヴィクトリアは、嗚咽を漏らし涙を流しながら叫んだ。


「嫌っ!」


「嫌なわけがあるか。こんなに俺を欲しがっているのに、嫌なわけがないだろう」


 ヴィクトリアは渦に呑まれそうになり、シドの存在を嬉しく感じ始めている自分に気が付いた。しかし、ヴィクトリアはそれを否定するように首を振った。


「違うの! 違うっ!」


「何も違わない。お前は俺の女になるんだ」


 ヴィクトリアは青くなった。


「や、やめて!」


 ヴィクトリアは藻掻くが、シドに組み伏せられた状態で全く身動きが取れない。


「受け取れ。俺の愛だ」


「駄目! 待って!」


「もう待たない」






 ヴィクトリアはシドと一つになった。


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