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ナースな魔術師  作者: 柚×花
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1 入団

3月3日内容を見直して大幅に変更しました。

今日は魔法師団入団式。

この世界では農家が畑仕事を始める春に一年が始まる。

学校の入学式や役人の入宮式、騎士団と魔法師団の入団式などもこの時期に行われる。


私はシェリル。ガロワ領の商人の娘だったが領主様のご厚意で上級学校を卒業し晴れて今年、魔法師団に入団することになった。


真新しい制服を着て、同じように今年、入団した新人たちと整列して壇上を見つめる。


壇上では、魔法師団長のディナン・ド・ヴィエール公爵がありがたいお話をしてくださっており、その横には副団長で私の後見人のクロード・ガロワ様が立っていた。


クロード様は今年から魔術師団の副団長になったばかりだ。


黒髪の容姿端麗なクロード様の仕事中のキリッとした表情は今まであまり見る機会がなかったので、私はすっかり見惚れてしまった。いつもは結構だらしないところがあるのに、そんな面影はどこにもない。


私たちと研究室にいる時は、訓練後の薄汚れた制服で気にしていないし、しゃべり方も崩れているし、魔術の研究をしているときには話しも聞いてないし、ご飯を食べるのも忘れている。


女心にも疎いし、気の利いた話題も出来なかったようで数年前に婚約者に振られたらしい。


だけど、今日のクロード様は隙の無い完璧なイケメンである。

魔術師としても国で一二を争う程の腕前で見た目も良い、地位だってあるし、婚約者も居なくなり今はフリーだ。


きっと明日からまた、お見合いの話がたくさん来て“めんどくさい”とか言いながら研究室に籠るんだろうな。


そんな想像をしていると、入団式の緊張もほぐれてきた。


今度はクロード様が魔術師団の仕事内容と研修について説明している。


魔術師団の仕事は多岐にわたる。それは教会での治療だったり、砦や道の修復などの土木工事だったり、城や役所で使う魔方陣の作成だったり、魔道具や魔方陣を扱う練習だったりする。


魔術はかける対象にイメージをしないと発動しないので、長時間発動させるものや識別するような魔術、その他特殊なものは魔術文字で魔方陣を書いて発動する。


この魔方陣がくせ者で、魔方陣があっても、起動するときに内容とイメージが合わないと発動しない。本来は魔方陣の文字を読んで発動していたからだ。


魔術文字は今はなくなってしまった国のもので、あまり広められていなかったから読める者は居なくなり、意味が分からず使えなくなってしまったものも多い。


一応、その研究も魔術師団の仕事だったが、魔術は増えるどころか減るばかり。研究費も出なくなり、専門の研究員も居なくなった。


今はクロード様と団長のディナン様が趣味で研究している程度になったしまった。


だから研究室への勧誘も忘れない。

時間外残業だからどれだけ希望者が現れるかは不明だけど。


最後に、この国の魔術師としての誇りを忘れないようにと言って締めくくる。


魔術師になるのはなかなか難しい。

一般の人でも魔術は使えるけど、効果は薄い。専門職になると専門の魔術は上手に使う。上級学校で魔術を専門に学び、訓練し、魔術全般を扱えるようになったものを魔術師と呼ぶのである。


私も今日から魔術師を名乗れるようになったのだ。


そう思うと誇らしい気持ちでいっぱいになった。


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