閑話 ~神の教え~
今から少し前の時代にその国は存在した。それまで魔法という不思議で便利なものが無かったこの世界に、少ない人口で高度な文明を短期間のうちに作り上げ魔法をもたらした国があった。
神の国のものたちは穏和で、まわりの国のものたちにも便利な魔法を教え、生活を豊かにしてくれた。
それは多分神が戯れに私たちに試練としてもたらしたものだったのであろう。
我々はその試練に気付かず、欲を出しそれを自分達だけのものにしようと考えた。そして、その文明を我が物にしようと、あろうことか神の国からもたらされた魔法を使い、神の国の人口が少ないことをいいことに、どの国もその神の国を支配しようと攻め立てた。
小さかった神の国は、まわりのすべての国々から攻められたが、攻めてきたすべての国々に甚大な被害を与え滅びた。
捕虜となった神の国の人々はこう言った。
「魔法は生活を豊かにするものだったのに、その使い方を間違え戦争を起こした。我々は正しく使うことができないこの世界に魔法を残さないことに決めた。魔法はどの星でも世界を壊すことしかできないのだ。この世界がいつまで持つのか…。魔法が無い世界になれば平和が訪れるのかもしれない。それを確認できないことが残念でなら無い。」と。
神は戦争の無い平和な世界をお望みだったのだ。
魔法は生活を豊かにするものだったのだ。
我々はこの世界を壊さないために、神の望む平和な世界を作らねばならない。
人々は助け合い、努力し、世界を守らねばならない。
我々の努力が認められたとき、神はもう一度我々に魔法をもたらしてくださるだろう。