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ナースな魔術師  作者: 柚×花
17/58

15 提案

※ここからは日本語でお楽しみください


「こんにちは、はじめまして。さっきも自己紹介したから知ってると思うけど、私がシェリルでこっちがレックス。

私たちたまたま同じ教会の学校に通った幼なじみなの。今は二人とも魔法師団に所属してるよ。

あなたたちの名前も聞いて良い?」

あえてフランクに話しかけてみる。

腹の探り会いは平民には向かない。

二人は顔を見合わせて

「えっと、何度か会ったことはあるけど…はじめましてかな?俺はセルジュ。」

「俺はダミアン。」

「で、日本語で話すなんて何を考えてるんだ?」セルジュがちょっと警戒して聞いてくる。

さっきからクリスティーナ様がちゃんと分かるように話せとか、知ってて許可したの?とか喚いてるからね。

王様が止めないから、気にしない気にしない。

「そっちの皇太子妃が煩いから邪魔されたくなくて。二人とは敵対したくないから警戒しなくて良いよ?

私、前は看護師だったから魔法は治療が得意。

あと、前の知識で保存食とか携帯食を実家が作ってる。二人は何が得意?」

「お前は?」セルジュがレックスに聞く。

「俺は前はシステムエンジニアだった。理系だったから科学は得意分野。子供の頃は、お前らと同じで地元でリバーシとかけん玉とか玩具のアイディアを売ってた。」

レックスが答えるとセルジュは表情を暗くして答えた。

「俺は歌手だった。芸術肌だから勉強は得意じゃなかったんだ。玩具の記憶はあって、俺は自分で作って売っていた。こっちの上級学校は行ってない。魔法も教わってないから基本しか使えない。」

「俺は自営業だ。取引は得意なんだが自分で作るのは苦手で商人にでもなろうと思っていた。上級学校に行きたかったんだが、クリスティーナ様に取り立てて貰ったから今の状況になってる。」

「あと、確認したいんだけど、さっきクリスティーナ様があなたたちのこと“神の使者”って言ってたけどあちらではそう言う認識なの?」

「そんなことはない。昔、教会の学校でそう呼ばれてただけだ。クリスティーナ様はその噂を聞いて側近にしてくださったんだろうと思う。そう呼ばれるほどのことも出来なかったし。もう久しく呼ばれてないから忘れていたくらいの話だよ。」

悪意のある台詞じゃなかったんだね。

「そっか。二人とも上級学校に行かずに側近の仕事って辛くない?行っても平民の私には貴族と話すのしんどいんだけど。」

「本音を言えばしんどい。」

「おいっ!」

ダミアンが答えるとセルジュが止めた。

「でも、クリスティーナ様の役には立ちたい。」

「二人は側近ってことは護衛がメインでしょ?でも上級学校に行ってないから騎士コースも取ってないし、魔術師でもない。クリスティーナさまの側にいるだけじゃ知識だって活かせない。

この間風と雷の魔法教えて貰ったでしょ?魔法って私たちの知ってることが元になってることも多いんだよ。

動かなくなった魔道具だって機械として見たことがあるものに近いんだから。動かない魔道具見せて貰える機会があったら、試してみて。知ってるものなら魔方陣が読めなくても動かせるかもしれないから。

今回魔法をリーゼス王国で広める役目を貰ったから、側近を止めて上級学校の魔術師コースだけでも行かせてもらえないかな?今なら交渉の余地があると思うんだけど。

そのあと、クリスティーナ様の側近に戻るのも、他の職に付いて支えるのも出きるんじゃない?」

「良いのか?そんな大事な情報流して。」ダミアンが心配してくれる。

「私たちはもともと情報を秘匿するつもりはないよ。二人とは仲良くしたいと思ってる。仲良くなれたら話してるうちに新しいアイディアも生まれるよ。

基礎を教えるのが面倒だから、理解してくれる教えやすいところから流したいし、人数が多い方が早く広められるもの。」

どうかな?と聞けば、二人は私の提案に惹かれたようだ。

だけど…とセルジュが言う。

「リーゼス王国で学校通わせてくれるかな?」

「その辺りは王様か宰相様に協力して貰おう。向こうに利しかないんだから上手いことしてくれるよ。」

「俺たちが役に立ったらクリスティーナ様の待遇も良くなるかな?」

ん?あれ?

「クリスティーナ様、虐げられてるの?」

「そうなるのかな、他国から嫁いだから王妃様と折り合いが悪くても味方が少ないんだよ。皇太子様は味方だけど、王妃様が第2王子のお妃様を可愛がるから余計に立場が難しくて。だから今回ちょっと強引だったんだ。

里帰りして弱音なんて吐けないし、ここで何か持って帰れれば強気に出れるからね。」

「そっか。じゃあ役に立てそうで良かったね。」

「そうだな。勝手に付いてきた魔導師が魔法を覚えられなかったのは良い気味だった。あとは情報も感謝してる。」

クリスティーナ様は静かになっていた。セルジュと話してるうちにダミアンが説明してくれたようだ。

目が合うとちょっと照れたのか目を逸らされた。

大人の癖に…ツンデレなんですね(笑)


※※※


その後私たちはクリスティーナ様から謝罪をされ驚き、セルジュとダミアンを魔術師コースに入れる為に王様と宰相様に協力を求め、王様は娘に、今後も協力を惜しまないからちゃんと手順を踏むようにと釘を刺していた。そして明日にはリーゼス王国に帰国することになった。


思ったよりも蟠りがなく極秘会談が終わりようやくほっと出来る日常が帰ってきたのである。


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