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神々の加護で生産革命 ~異世界の片隅でまったりスローライフしてたら、なぜか多彩な人材が集まって最強国家ができてました~  作者: 風来山
第三章「世界の命運は」

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127.大地に根を張る

 神々の戦い、世界の命運を決める世界最終戦争(ラグナロク)を前にして、タダシ王国では、海岸線の防衛とともに大事な国家事業があった。

 タダシの側に立っている神々の大神殿を建てることだ。


 世界最終戦争(ラグナロク)が神々の戦争であるため、本拠地に信仰力を集める大神殿を建てるのは大事なことだ。

 すでにタダシ王国の王都の周りには、魔族の神ディアベル様の大神殿と、創造神アリアの大神殿が建っている。


 どうせなら美観も考えて、王都の周りを囲むように残りの農業の神クロノス様、鍛冶の神バルカン様、癒やしの神エリシア様、知恵の女神ミヤ様、英雄の神ヘルケバリツ様、魔物の神オード様の大神殿を建造していった。

 王都から見回すと、その壮麗さは素晴らしい物がある。


 そうして、今回もタダシ王国の民が総出で集まって豪華な料理を捧げた。

 今は厳かな神々への祈りも終わり、大神殿と同じ高さの様々なフルーツで飾り付けた巨大ケーキが運ばれて大きな盛り上がりを見せているところだ。


 戦乱で不安になっている今だからこそ、タダシ王国の民はこの大祭に心を癒やされ、夢中になっている。

 今は神々が降臨し、タダシの妻や子供達に新たな祝福が授けられるところだ。


 タダシも当然、その場でともに祈りを捧げようとおもったのだが、サキュバスシスターバンクシアに話があると呼ばれて王城まで来ている。

 もちろん、この大事業を見事に成し遂げてくれたサキュバスシスターバンクシアを褒めてやらなきゃなと思っている。


 思っているのだが……。


「……タダシ様。何を身構えてらっしゃるんですか?」

「いや、大仕事を終えたご褒美とか言って、シアに精気を吸われる展開かなと思って」


 相手は、欲望底なしのサキュバスだ。

 そんなバンクシアを(めと)ってしまったのだから、タダシもいきなり喰い付かれるくらいはしょうがないかなとも思っている。


 しかし、バンクシアはペロッと赤い唇を舐めると、自らのお腹をゆっくりとさすって妖艶に微笑む。


「うふふっ、そういうのもいいかもしれませんが、今は吸精の必要はありません。だって、私のお腹にはもうタダシ様の御子がいますから」

「そういえばそうだったな」


 ちょっと前に、魔族の神ディアベル様にフジカとバンクシアは、もうタダシの子を身ごもっていると宣託されたのだ。

 今は自分の信者である魔族の民のために敵側に付かざるを得なくなっているディアベル様だが、タダシ達が魔族を救えばきっとまた力を貸してくれるに違いない。


「実は、私のお腹の中の御子に、ディアベル様の強い神力を感じるのです」

「もしかして、生まれる前の子供にも加護って与えられるものなのか?」


 バンクシアは、静かに頭を振る。


「それは、聖職者たる私にもわかりかねます。本来加護というものは、十五歳になって成人してから私達のような地上に置ける神々の代理によって与えられるものなのです」

「うちの子はすぐもらったけどな」


 タダシがそう言うと、バンクシアは呆れたように言う。


「だから、それですよ。その常識を覆せたのは、神々に愛されるタダシ様の御子だからなんです。ディアベル様も、置き土産として私のお腹の子に加護を残していってくれたのかもしれません」

「俺の子供達にも、みんなに星を十個配るって話だしなあ」


 特別な転生者であるタダシの子であれば、赤子であってもそれができると言われたのだ。

 今、タダシの子供達は母親に抱かれて、それぞれの神殿で神々の加護を限界まで受けているところである。


 タダシの妻達もみんな呼ばれているのは加護を追加するためと思ったのだが。

 もしかしたら、母親のお腹の中にいる胎児にすら加護の星を付けることが可能なのかもしれない。


「ところでタダシ様、魔王レナ様に戦争が終わったら結婚しようって言うのは不吉だって言われたそうですね」

「シアは耳ざといな……。冗談だよ、冗談」


 つい先程、魔王国に応援に行った時に魔王であるレナにそう言われて、死亡フラグだからやめなさいとツッコんだのだ。

 まあ、死亡フラグなんておまじないのような物で、ほんとにそんなジンクスがあるわけもないけど。


「いえ、さすがはタダシ様! 大変良いお話だと思います。やはり、戦争前に結婚は済ませておくべきですよね。善は急げとそう申します」

「待て……」


「フフッ、なにか?」

「いや、俺の勘違いであればいいんだけどさ」


 なんだか、胸がざわつく。

 このパターンは、またシスターバンクシアがろくでもないことを企んでるような気がする。


 そんな勢いで、まだこの世界での成年にも満たないレナと結婚させられるのは困ってしまうぞ。

 そう疑うタダシの顔を見て、シスターバンクシアは含みのある笑顔で言う。


「私は、こう見えて聖職者ですから、いまだこの地に暗黒神ヤルダバオトの邪悪な力が強いのを感じます」


 急に真面目な話だ。

 まったくシスターバンクシアのペースにはついていけないなとため息を吐き、タダシは腕組みして答える。


「ふーむ。こうして大神殿を建てて、神々が降臨してもなお封印は完全ではないと言うことか」


 シスターバンクシアはその言葉に答えず、指先で天と地を指して歌うようにつぶやく。


「創造神アリア様を始めとした神々は、天上におわします。しかし、暗黒神ヤルダバオトはこの地中に存在します」

「うーん」


 より近い位置にある方が、神力を発揮できるということかな。


「だからこそ、この地上で神々の化身として力を振るわれるタダシ様が、よりこの世界とのつながりを深める必要があります」


 シスターバンクシアがそう言った瞬間、王城に神々が入ってきた。

 タダシの子を二人抱いて、よしよしとあやしながら農業の神クロノスが言う。


「タダシは何をしておるんじゃ。お前の子に加護を与える儀式だったというのに」


 マールの子ミライと、ベリーの子ミズホが、農業の神クロノス様の担当であった。

 二人の赤子の手には☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(テンスター)が輝いている。


 他の神々達も、みんなタダシの子を抱いて全力の祝福を終えたところだ。

 タダシがちょっと話をしていたのだと、そう言う前にシスターバンクシアがすかさず言う。


「タダシ様の新しい結婚の話をしていたのです」

「ほう、それはめでたいの」


 突然の言葉に、タダシは言葉を失う。

 シスターバンクシアは、大きな声で「来なさい!」と叫んだ。


 そこに現れたのは、ノエラ隊長以下島獣人が百人、海エルフが百人。

 タダシがこの間任命した親衛隊だった。


 シスターバンクシアは、今にも吹き出しそうな笑顔で言う。


「タダシ様が、このノエラ達にご褒美を与えると言われたそうではないですか」

「えっ、それはそうだが……」


「タダシ様ができることなら、何でもすると」

「ああー!」


 何でもするなどと、安易に言うものではなかった。

 農業の神クロノス様も言う。


「タダシの嫁が増えるのは良いことじゃ。ワシは、豊穣と繁栄の神でもあるから新たな結婚を寿(ことほ)ごう」


 シスターバンクシアも歌うように言う。


「タダシ様と、この地の者と結びつきが強くなれば強くなるほどに、私達はともに身も心も強くなれましょう」


 シスターバンクシアと、農業の神クロノス様がともにゴーサインを出している。

 タダシは、ノエラ隊長に聞く。


「お前達は、本当に俺と結婚したいのか?」

「はい! 生涯お側に(はべ)って良いとタダシ様にお許しいただけましたから」


 そういう意味で言ったのではなかった。

 しかし、そう言うノエラ隊長にしなだりかけられて、これはしてやられたとタダシも笑うしかない。


 前々から、魔族の女官達が百人以上嫁入りしているのだから、カンバル諸島の島獣人や海エルフも公平に機会を与えて結婚すべきだという意見は聞いていたのだ。

 上手くかわしていたつもりだったのだが、神々やシスターバンクシアにまで用意周到に根回しされていてはもうかわしきれない。


「わかった、結婚しよう」

「はい! 私達を一生タダシ様のお側に置いてください!」


 戦争前に結婚は、縁起がいいとタダシ自身がそう言ったのだ。

 ワッと集まってきたノエラ達を、タダシはまるでこの世界全てを抱きしめてるように受け止める。


「まあ、なんとかなるよなあ」


 守るべき者が増えれば増えるほどに、自分は強くなれるとそうタダシは感じていた。

 ともかく、こうしてノエラ達との結婚式がすぐさま執り行われて、この土壇場にタダシの後宮はさらに二百人も加増するのだった。

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2巻ももうすぐ出ますので、引き続き応援よろしくおねがいします!


カクヨムの方は第四部も引き続いて一話先行でがんばってますので、これからも応援に来てくださると嬉しいです。

毎週日曜日更新、どうぞよろしくおねがいします。

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