二話 湖の底の穴
思わぬ爆発をなんとか凌いだトナカイとリリーは、更地になった大地で佇むのであった。
「トナカーイ!」
「どしたーんリリー?」
「あれ見て!」
「うむ……ぽっかり穴が空いてるのよー?」
「でしょー。 あれ、さっき爆発した四角い何かを引っこ抜いた跡だよ!」
「そうなんねぇ……あれ、リリー?」
「なーに?」
「あの四角い何かって、湖の底に落ちてたん違うん?」
「落ちてたよ?」
「さっき、引っこ抜いたって……」
「うん、落ちてたのを持ち上げたらスポッて抜けたんだよ!」
「この跡を見る感じだと、結構深く刺さってたみたいなのよ?」
「んー、大体八割くらい埋まってたかも」
「それ、落ちてたんじゃなくて、設置してたん違うん?」
「「……」」
「トナカイ」
「うむ?」
「手を前に出して?」
「うむ? ほい、こんな感じでええのん?」
「そこから下にあるものは、落ちてるって言うんだよトナカイ」
「流石に強引すぎるのよ!?」
「やっぱりだめかぁ」
「うむ、だめなのよー!」
「今後前向きに反省させていただく」
「よろしく頼むのよー」
「……およ? リリー、どしたーん」
「この穴、ちょうどトナカイがお腹まで入るサイズだよね」
「うむ、ちょうどいいくらいの穴なのよー」
「……えいっ!」
「おふっ!? ちょっ、リリー! 押したら穴に落ちちゃうのよっ」
「ふふっ、油断する方が悪いんだよーっ! ていていっ!」
「あっ、あぁっーー! ……なーんちゃってほいっ」
「あっ……急に避けるのはずるいぁっ!?」
「およっ」
「ぁぁぁ……」
「……底が抜けたのよ」
「まさか底が抜けるなんて……結構深かったね」
「リリー、大丈夫なーん?」
「大丈夫だよトナカイー! 穴の底は結構広いよ!」
「そうなーん? トナカイも今降りるのよー」
「わかっ……ちょっと待ったー! せいっ……いいよー!」
「今すんごい音したけど、どしたーん?」
「な、なんでもないよーう! 降りてきてどうぞー!」
「うむ、ほいっ……おふっ!?」
「うふふ、かかったねトナカイ! さっきのお返しで落とし穴を「もきょっ!? あぁぁ……」底が、抜けたね」
「リリー、地上に帰ったら反省のポーズ一時間なのよ」
「ごめんなさい……まさかここまで地盤が緩いとは。それはともかく、何だかダンジョンみたいな場所だねっ!」
「うむ、とりあえず地上を目指すのよー」
「わかった!」
「しばらく落ちた場所から、適当にのびてる道を進んでるのよーん」
「まだまだ道は続いてるね」
「うむ、しかも暗くてジメジメしてるのよー」
「そうだねー。あとで水浴びしたい」
「うむ、お風呂創って入るのよー」
「わーい! 元の姿で入れるサイズでよろしくトナカイ!」
「むふー、まっかせるのよー!」
ちなみにリリーの元の姿は、数十メートルもある巨大なドラゴン(雌)である。
もう一つちなみに、前回の爆発によって湖の水は奇麗にけしとんでいた。




