十四話 洞窟探検その四
「『試練の洞窟』ってところで絶賛試練中なトナカイとリリーであった、なのよっ!」
「そなたらは定期的に説明口調になる呪いでもかかってるん? よいしょっ!」
「何となく言わないといけない気がしただけなのよ。気にしない方向でお願いするのよっと!」
「ーーっ!」
「なんのっ……くっ、ブレスを目隠しに使った!?」
「今のを避けるとはさすが私の偽物。でも、もう勝負はついた」
「なん……ぐあぁっ!? 避けたはずのブレ……ス……」
「一対一なら勝つのは難しかったと思うよ。念のためにとどめを刺しておくね?」
「ふふ……所詮私は試練。ここで敗れても、また蘇る。ただせめて、もうひとモフモフ、したかっ「せいっ」きゅぅ……」
「さ、トナカイ見学しよう」
「あっ、とっさに逸らしたリリゴンブレスが当たっちゃったんねぇ。すまないのよー」
「試練妹!? 飛んできたブレスを跳ね返して当てるとは……」
「むふー、リリゴンブレスの扱いは慣れてるのよー。リリーの戦いが終わったみたいだからこっちも終わらせるのよ」
「我を甘く見てもらったら困るのよっ! そんな簡単には終わらないのよ?」
「トナカイの本気を見せてあげるのよ」
「我はそなたの能力を「足元が「おててが「頭が「全部お留守なのよっ!」なのよっ」よっ」っ」おふぅぅっ!? な……何が起き……」
「頑張って早く動いただけなのよ」
「本気のトナカイは目で追えないからね」
「この程度の攻撃で、やられる我では……」
「そんなときはトナカイ七つ道具の出番なのよっ!」
「何なんそのロープ……っ!? 体に巻きついて取れないのよっ!」
「このロープは勝手に相手を拘束してくれるのよっ! ちなみにすんごく頑丈なのよー」
「創ったトナカイ本人でも抜けられなかったもんね」
「まさかこんな方法で無力化されるとは……」
「およ? 偽トナカイと偽リリーが消えたのよ」
「たぶん試練を突破したと見なされたんだね」
「それじゃ先へ進むのよー!」
「どんなお宝があるのか楽しみだね!」
トナカイとリリーの冒険はまだまだ続くのであった。
諸事情によりここで打ち切りとさせて頂きます。
物語を読んでくださった方々に感謝。