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森の精霊とドラゴン娘の日常  作者: となゆき
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十一話 洞窟探検その一

あてもなく彷徨うトナカイたちであった。

「トナカイ、そこに洞窟があるよ」

「うむ、この洞窟は『試練の洞窟』らしいのよ」

「おー、トナカイ物知りなんだね!」

「そこの立札に書いてあったのよ」

「えっ……ほんとだ。なになに? 『この洞窟では仲間の絆が試されるであろう』だって」

「そうなんねぇ」

「早速入ってみよう!」

「わかったのよー」



「入ってはみたものの……今のところ何もないね」

「うむ、一本道が続いてるのよー」

「何だか薄暗いね」

「うむ。普通の暗闇とかだったらトナカイあんまり関係ないんけど、何か魔力的な何かが働いてるからトナカイでも見通しが悪いのよー」

「この洞窟の効果なんだね。トナカイから離れないようにしないと!」

「あんまりくっつきすぎると歩きづらいのよー?」

「それもそうだね。じゃぁ上に乗ってるね」

「リリーが小さくなって、トナカイの頭の上でゴロゴロしだしたのよ」

「ゴロゴロじゃないよ! モフモフしてるだけだから!」

「むふー、そうだったんねぇ」




「だいぶ進んだのよー」

「視界がほぼゼロなのよ! 魔力の霧みたいなのが充満していて、壁伝いに歩くしかないのよーん」

「むふーっ、冒険っぽくなったのよっ!」

「およ? リリーの魔力を急に感じなくなったのよ」

「ということは、今トナカイの頭に乗ってるのは……」




「何にも見えなくなっちゃったねトナカイ」

「これはしっかりトナカイにモフ……つかまっていないといけないね!」

「うふふ……ん? 何だか違和感が」

「こ、これは……このモフモフ感はトナカイじゃない!」

「むふー、よくぞ見破ったのよ。我はこの洞窟の試練。この先へと進みたければ我を倒してみせよなのよー」

「口調がトナカイっぽいのか違うのか微妙」

「驚いたんねぇ。我はそなたの仲間を完全に再現しているのよ。仲間が強ければ強いほど、この試練は過酷なものになるのよー」

「……」

「およ? どしたんリリー?」

「違う」

「えっ?」

「こんなのトナカイじゃない!」

「いや、我は試練なので確かにトナカイという者では「完全に再現って言ったじゃん!」っ!?」

「トナモフマイスターの私から言わせてもらうと、あなたはトナカイと似ても似つかない模造品!」

「な、なんとっ!?」

「トナカイが最高級モフモフなら……あなたは中階層モフモフだよ!」

「!? 何だかよくわからない敗北感なのよ……」

「そんな模造品がトナカイを騙るなんて……許せない!」

「どの道戦うことには変わりないのよ……我を模造品と罵った報いを受けさせてあげるのよぉぉ!」





「まさかさっきまで頭の上にいたリリーがいなくなるとは、トナカイもびっくりなのよっ」

「よくぞ気づいた。私はこの洞窟の試練。この先へと進みたければ私を倒すがよい」

「トナカイと一緒じゃないときのリリーみたいな感じになってるのよ」

「驚いた? 私はあなたの仲間を完全に再現している。仲間が強ければ強いほど、この試練は過酷なものになるよ」

「ふむー、そうなんねぇ。でも、残念ながら完全再現って感じではないのよー」

「なっ!? ……そんなはずはない。今までどんな者も完全に再現してきた」

「そんじゃ、試してみるのよー」

「……両手を広げて何をしているの?」

「本物のリリーだったら、トナカイが両手を広げたら即座に飛んできてモフモフしだすのよっ」

「なるほど……こう?」

「んー、まだまだ全力さが足りないのよっ! もっとどん欲にモフモフを求める感じでいくのよっ!」

「こ、こうっ!? モフモフーっ!」

「まだまだなのよーっ!本物に近付けるよう特訓なのよっ!」

「わかった!」




 本来の目的を忘れて、リリー完全再現のため特訓する試練であった。

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