第87話 清須デート3
長束正家と別れてから俺と佳奈美の2人は再び清須城下でぶらりデートを再開した。
俺らが向かったのは、宿ではなくお茶屋であった。
お金はあるかと聞かれたら実はある。滝川一益から癪だがいくらかもらっている。
「団子1つ」
「あ、私も」
俺らは、店先の椅子に座り注文していた。
「団子でいいのか?」
「団子でいいと言われても、この時代にパンケーキとかパフェとかないでしょ。だったら、団子しか甘いものはないから仕方ないじゃない」
「まあ、そうだな……」
現代で本当にいい場所だったな。そう思った。ああ、現代に戻っておいしいものをたくさん食べたい。
パフェ。パンケーキ。ケーキ。ああ、洋菓子が食べたい。心から思った。
「今、洋菓子食べたいと思っていたでしょ」
「……ナンノコトダカ?」
「ほら、変な片言になった。忠志君って結構顔に出やすいよ」
俺ってそんなに顔に出るのか。
「ほら、今顔に出るのか、とか思っていた米」
……どうしてバレているのだか。
これじゃ、ポーカーとかで勝てないな。
「団子2つでーす」
「ほらほら、どうでもいいこと考えていないで、団子食べよう」
どうもすべてバレているようだ。
俺は、佳奈美にかなわないことを悟りおとなしく団子を食べることにした。
◇◇◇
俺らは団子を食べ、お茶を飲みまったりした。
時間にして30分ぐらいいただろうか。団子1個とお茶1杯でここまで粘る客というのはお店側にしてはかなり迷惑だろうと思うのでそろそろお店を出ることにした。
「さて、出ますか?」
「そうだね。そろそろ私達の泊まる宿を探さないとね」
「まだ、宿見つかっていなかったのか?」
俺と佳奈美の会話に混ざってきた人物がいた。
竜也だ。
「竜也、もう用は済んだのか?」
「ああ、済んだ。ただ、俺の宿は決まっているから2人の宿を探す手伝いをすることにするよ」
「何で、上から目線何だか」
俺は愚痴を言う。
「まあまあ」
それを佳奈美がなだめてくれる。
「ところでだ。滝川一益はしばらく清須にいるそうだが、俺らは京に行くか?」
「あー。そうだな」
俺らが滝川一益に付いてきた理由として京に行き農作物を探す事があった。滝川一益に付いて行ったのは道中が被るからというのがあった。かぶるのは清須まで。こっから先は俺達だけで旅をしないといけない。
「京に私は行っておきたいね」
「どうして?」
佳奈美は京行きに積極的だった。
竜也が佳奈美に質問する。
「だって、京に行けばきっといろんな有名な武将に会えるはずだよ」
目がかなりキラキラしていた。
あー、戦国武将が好きな人はそんなことを考えるのか。俺は、自分が好きな時代すなわち近代史で考えてみると同じようなことをしていたはずなので佳奈美の考えには理解した。
「俺も京に行くことが目的だったし、京には行きたいな」
「……悪いが、俺は行けない。それは理解してくれるか」
竜也は京に行かないことを決めた。
理由は、何となくわかっている。
「ああ、いいぜ。竜也は滝川一益に付くんだろ。だから、清須を離れるわけにはいかない。そういうことだろ?」
「忠志にしてはちゃんと理解しているじゃないか。まあ、そういうことだ」
……忠志にしてはちゃんと理解しているじゃないか、か。その言葉にはかなり腹立つ。何だろうか。竜也って基本的に俺のことをバカにしているよな、な。さすがに俺もこのような言葉を言われたら怒ってもいいよな、な。
「竜也君、その言い方はさすがにひどいと思うよ。忠志君だってなんだかんだ言って頭いいんだから」
……佳奈美、それフォローしているようで俺をバカにしている言葉でもあるんだぞ。その言葉も我慢する。
ちなみにだが。佳奈美が言っていたことは嘘ではない。俺は戦国の知識がない。それは自分でも認めている。自分に知識がないことを認める。うん。無知の知だな。ソクラテスの。いや、そんなことはどうでもいい。
俺の頭がいいというのはどういうことだと言うと、竜也や佳奈美にはかなわないがこれでも学年でトップ10の成績を持っている。
日本史は、高校日本史の知識であれば90点台は取れるし、数学も国語も英語も80点台の成績は取れる。定期テストでは。模試とかでも8割強は取れている。だから、そんな頭が悪いということはない。
学年トップの竜也と学年トップ5の佳奈美と比べなければだが。
あの2人の頭が良すぎて俺がかすんでしまう。頭いい者同士で集まっているので俺の成績が一番下になる。何とも悲しいことだ。
「2人で京に行けるのか?」
竜也が聞いてくる。
「ああ」
「自信満々に答えるな。確かに大河ドラマとかでは女性が諸国を歩き回るようなことをしている。だが、実際にはそれはかなり困難だぞ。山賊がいたり落ち武者狩りがいたりと危険がいっぱいだ。そんな危険がたくさんある中、お前は佳奈美を守れる自信があるのか?」
「そ、それは……」
自信があると言いたい。だが、現実的に考えてみるとそんなことは不可能だ。俺は、剣術ができない。火縄銃も使えない。策略も立てられない。
そう考えると、ああああああああ。不安でいっぱいになる。
「まあ、自信があると言われてもね。困るからね。私は、京に行くには他の人に協力を得るべきかなと考えているわ」
「他の人?」
佳奈美の言葉に竜也は誰にするんだと詰問する。
「それは……柴田勝家よ」
佳奈美が言った人物に俺と竜也は驚愕するのだった。
次回は来週21日18時です。




