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第84話 着清須


 美濃入り、信濃や上野にいたころに比べて心にゆとりが出てきた俺らであった。

 たわいのない会話をしながら滝川一益の軍について清須へと向かっていった。

 美濃国は長い。それは現代の岐阜県を思い浮かべてくれれば分かると思う。もちろん、今の岐阜県は美濃国だけでなく北部が飛騨国と旧律令制の2か国で構成されているのでこの時代の人の感覚よりは広くはなっている。


 「今、どこ?」


 「うーん、大垣?」


 「よくわからないなあ」


 俺らは全員今どこにいるのかわかっていなかった。

 美濃に入ってから何日経ったのか。

 寝ているのか起きているのかよくわかっていない俺はいつしか日にちをかぞえることをしなくなっていた。そのため、曜日感覚が完全になくなっていた。


 「菊川にでも聞く?」


 佳奈美が提案する。


 「まあ、それが一番か」


 俺もその話に同意する。


 「それが一番なのかもしれないが、それはもういいかもしれない」


 「え?」


 俺は竜也がどうしてそんなことを言ったのかわからなかった。

 が、佳奈美はどうして竜也がそんなことを言ったのか理解できたようだ。


 「もう清須なのね」


 「ああ、曜日感覚がなくなっていたが知らないうちに清須にたどり着いていたようだ」


 どうやら清須に俺らは着いていたようだ。

 すごい。

 どれだけ歩いていたんだろ。

 俺は自分の意識が完全になくなっていたのかと疑うぐらいの速さだった。


 「どうして清須と分かったんだ?」


 「ああ、あの城がおそらく清洲城だろ」


 確かに目の前に城がある。

 それを清州城といってもいいのか。

 城なんて全国にたくさんあるのだからわかるはずがない。もちろん、特徴的な城であればわかる。世界遺産になっている姫路城だったらまっしろい壁だからわかる。

 備中松山城みたいな天空の城も特徴的だ。

 でも、清州城に特徴なんてあるのだろうか。俺はよく知らない。


 「でも、どうして清須ってわかるんだ?」


 疑問を言う。


 「ああ、どうしてか。それならば城というよりも滝川一益の反応かな。このあたりに来てから急にそわそわしているし、織田家の家臣らしき人物らに手あたり次第声をかけている。おそらく清州会議で決まったことなどを聞いているのだろう」


 「確かに浮足たっていたね」


 俺もそう思った。

 滝川一益がさっきからいろんな人と話をしている。

 あまり人と話していなかった滝川一益にしては珍しいことであると思っていた。


 「つまり、ここが清須だろう」


 「おい、菊川」


 俺は近くに偶然いた菊川に話しかける。


 「何でしょう?」


 「ここの場所はどこだ?」


 ここで清須以外が出てきたら面白いな。

 そんな悪いことも少し思ってしまった。


 「ああ、ここは清須。信長様の元々の本拠地だった町ですよ」


 「ですよねえー」


 うん。ダメだった。

 竜也の言っていることが正しかったようだ。

 ここで間違いが出たら面白かったのに。

 なんてことだ。


 「じゃあ、ようやく清須に着いたのか!」


 「やったね!」


 俺と佳奈美は喜ぶ。

 ようやく長い旅に終わりが見えた。

 もちろん、この先京に行く予定なのでまだまだ旅は続く。

 しかし、ここで一回休むことができる。それゆえ俺の心は休めるなあと思った。


 「とりあえず、しばらくは清須の城下に留まることになるだろう。ここでしばしの休息にしよう」


 竜也は休むことを提案、俺もそれに同意する。


 「ああ、休むことにしよう」


 「それがいいね」


 俺らは滝川一益といったん離れて宿を探すことにしたのだった。


 戦国群馬は、毎週土曜日18時に更新しています。

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