表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/105

第74話 ご本人

 「待ってください。話だけを聞いてください。私達を斬るのであれば話を聞いてからでも遅くはありません」


 佳奈美は諏訪頼忠に対して落ち着くように、そして俺達の話を聞いてもらえるように説得をする。

 冷静に言葉を選んで話をする。


 「ふん。話聞いてか。内容次第では容赦はしないぞ」


 諏訪頼忠はかなり怒り心頭であったがどうにか話だけは聞いてもらえるようだった。

 俺はかなり緊張していた。死ぬかもしれないという恐怖があった。

 佳奈美も堂々としているように見えたが体が震えていたので実は見栄を張っていただけだったようだ。お互いやっぱり死にたくはないという思いが強かった。


 「ふぅう」


 俺は、緊張が解けて思いっきり息を吐く。吸う。


 「私達は織田家家臣滝川一益の使いよ。そこまではさっき話したわよね」


 佳奈美が再び緊迫な空気の中で俺らの目的を話し始める。


 「諏訪氏を滅ぼしたのは織田家ですが、今織田信長は本能寺にて家臣明智光秀に攻められ自害なされました。そこで諏訪氏を復興させたいと考えております」


 俺らの目的である諏訪氏の復興を伝える。

 単刀直入にだ。

 長ったらしく説明するよりも単純明快の方が分かりやすくていい。


 「諏訪氏を復興させたい、か。それでだ。私の領地はどうなる。復興ということは領地をもらえるということだ。その領地次第ではこの話は破綻にするぞ」


 武士にとって大事なものは領地である。

 そして、何よりも先祖伝来の領地というものは命の次に大事なもの、いや命よりも大事なものである。一生懸命の言葉の由来は鎌倉武士が自分の領地のために戦う一所懸命から来ていると言われている。

 諏訪頼忠もやはり領地がどうなるのか。それが一番気になるところだったらしい。


 「領地については何とも言えませんが、少なくとも旧領の安堵だけは保証します。そして、私の提案としては諏訪頼忠様には信濃一国を治めてもらいたく思っております」


 え、えええ。 

 いいのか。佳奈美。そんな約束をしてしまっても。俺らの話の中で出てきたのは諏訪氏には諏訪周辺の旧領を復帰させるという話だったはずだ。それを信濃一国まで言ってしまっていいのか。そんな約束守れるはずがない。

 俺はそう思う。もし、無理だった時のことを考えると。俺の顔は真っ青になっていた。血の気が抜けていた。


 「ふん。本当に諏訪を取り返すことはできるんだな」


 「ええ、それはお約束します」


 「信濃一国はどういうことだ?」


 そう、佳奈美は諏訪氏の旧領だけでなく諏訪一国を提案してきたのだ。これは普通に考えて無理な話だと思う。


 「私としては諏訪氏に一国を治めてもらいたく思っています。まだ、滝川様には伝えていませんが、このままだと信濃国は上杉もしくは徳川の支配下にはいります。そうなるのでしたら、信濃の名門である諏訪樣に治めてもらう方が筋があるかと」


 「……なるほど。だが、それは確約しかねることだろ?」


 「ええ、信濃一国までは確約はしかねます」

 

 「だったら、主に聞いて来い。ここにいる娘の夏姫を連れて行って夏姫に諏訪氏の復興についての話を滝川一益本人から聞き出しまた戻ってくるのだ」


 無理難題に近い気がするけど佳奈美はその話を受けた。

 俺らはまず滝川一益が陣を敷いている本陣へと戻ったのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ