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第39話 小幡VS竜也

久しぶりの2日連続更新です。OVL大賞応募に間に合わせるため何とかして25日までに10万文字書きます。

 小幡と竜也は対峙していた。

 俺と歌川はその2人の間に割って入るということができずただただ黙って見守るだけしかできなかった。


 「野村殿。由良殿に話しをしに行くのは本当か?」


 「ええ、そうです。今、この戦に勝つのには滝川方は兵力が劣っています。多くの兵力を必要としている今、由良殿に話しに行くのは必然のことだと思いますが」


 「それを儂の前で言うことの遠慮はなかったのか」


 「ないです」


 竜也のきっぱりとしたその発言にさらにこの場の空気が重くなる。

 大丈夫か。

 周りをよく見る。

 護衛として小幡の側にいる武士たちが明らかに腰に差している刀を抜こうとしていた様子が見てとれた。

 やばい。

 俺は思った。

 このままでは竜也が殺される。

 明らかに小幡は竜也に対して怒っている。立腹している。このまま竜也を亡き者にしようとしているのが目に見えている。


 「弥介!」


 「わかってます」


 俺はとっさに弥介の名前を呼ぶ。

 弥介も俺が意図したことが分かったみたいですぐさま竜也の側へと寄る。すると、竜也は弥介に対して言い放った。


 「来なくていい! これは俺と小幡殿の戦だ。関係ない奴は出てくるなっ!」


 「か、関係ないとはどういうことだよ!」


 竜也の発言を聞いて怒ったのは俺だった。

 俺達も関係者だろ。なのに、関係ないとはどういうことだ。どうしてそんなことを言われきゃいけないんだ。


 「落ち着いて、小田君。関係ないって言ったのは別に私達の事じゃないよ」


 「じゃあ、誰に対して言ったんだよっ!」


 俺は、声を荒げて歌川に言った。

 歌川はすると呆れた顔で俺に対してもっと落ち着きなさいとおでこにデコピンしてきた。


 「だから、落ち着きなさい。あなたが声を荒げたところで状況は全く変わらないのだから。野村君が言ったのは私達ではなく小幡の側にいる近習たちへの言葉よ。後、弥介にも言っているかな。だから、私達にはあまり関係のない言葉ね」


 「そうなのか?」


 「ええ、そうよ。まったく落ち着いて少しは考えてみなさいよ」


 「……ごめんなさい」


 自分が好きな相手に説教されるってとても悲しい気持ちになるんだな。

 歌川の言葉が非常に他の関係のない人に言われるよりもきつく感じられた。


 「控えてろ、お前ら!」


 「し、しかし……殿……」


 「いいから、控えてろ。そんな簡単な挑発に乗るとはそれでも小幡の武士か!」


 小幡の方も竜也の言葉の意図をしっかりと理解していたようだ。

 今にでも竜也に斬りかかろうとしていた武士たちに小幡が思いっきり説教をして止めにかかっていた。


 「承知しました」


 武士たちはおとなしく引き下がり、刀に手をかけていたが、その手をどけていた。

 とりあえずは、緊迫した空気をどうにか回避することができたみたいだ。


 「ふぅ~」


 俺は、どうにか一安心した。


 「小田君、野村君は小田君が思っている以上にきちんと考えている人よ。だから、あまり心配しないで大丈夫。信じて待ってましょう」


 「そうだな」


 俺は、そう答えたが内心は歌川に相当信頼されている竜也に対して嫉妬を抱いてしまったのだ。

 わかっている。

 俺は歌川が好きで、歌川は竜也のことが好きだってことも。

 だって、竜也のことを信頼している時に言った言葉や表情は完全に俺の前では見せてくれないようなものだったからだ。

 羨ましく思ってしまった。

 ここが平和な日本であったなら、俺は嫉妬したまま拗ねてしまい、もう知らないと言って竜也から距離を置こうと考えているところだった。しかし、今は戦国。そんなくだらないことを言っている暇はない。

 何としても小幡と説得を成功させてくれよ。竜也。


 「野村殿。そなたは想像以上に食わせ者だな」


 「それはそれは、小幡上総介殿にそのようなことを言われるとは光栄ですな」


 「心にないことをよくもぬけぬけと……まあ、いい。由良の名前は儂の前で出したことを後悔するんじゃないぞ」


 「ということは」


 「いいだろう。どうせ、小幡だけでは北条に勝つことなど不可能。そんなことをとっくの昔からわかりきったことよ。由良に助けを求めるのは理解できる話じゃ。だが、小幡の武士の力をなめるな。由良よりも強いということを見せつけてやる」


 「それは頼もしいことです」


 竜也はそう言うと、小幡に対して右手を差し出した。小幡も右手を差し出しお互いが握手をした。

 これでどうやら交渉は成立と見ていいだろう。

 小幡は、次は戦の本番に会おうと言ってそのまま本陣の奥へと帰って行ってしまった。

 竜也はそんな小幡を見送ると俺達の側に戻ってきた。


 「お疲れ、野村君」


 「ああ、ありがとな。歌川」


 「……竜也」


 「ん? どうして小田。そんな難しい表情をして……あっ、なるほどつまりは嫉妬だな」


 「なっ! な、何を根拠にそんなことを言ってるんだよ!」


 竜也に何か見透かされたみたいでかなり動揺してしまった。

 というよりも、完全に図星だった。さっきまで嫉妬していたことが本当にあっさりとバレてしまった。どうして竜也には俺の嫉妬がバレたんだ。

 竜也は、俺の耳元でぼそりとつぶやく。


 (「歌川には言わないからさ。おとなしくしなよ。それにまだまだ歌川に格好つけるチャンスはあるかもよ」)


 (「なに、バカなこと言ってるんだよ」)


 俺は怒って竜也を叩こうとするも、竜也は華麗に避ける。

 そして、俺に対して言う。


 「さーて、小田よ。こんなことをしている暇があったら、さっさと次の由良の説得にでも行こうぜ」


 俺は、竜也に対して腹が立ったが、現状考えると由良に説得に行くことが一番大事なことなので反論も出すことができなかった。


 「ぐぬぬ」


 そんな俺と竜也の会話を歌川は微笑んでみていたのだった。


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