第1話 プロローグ
カクヨムでも連載している作品をなろう用に加筆修正したものです。
この1話は加筆修正しています。
「俺は神様なんかじゃない。いい加減に分かってくれよ」
大声で俺の目の前にいる複数名の男女に対して怒鳴りつける。
俺は今キレている。頭に血が上っている。理由は簡単だ。みんながみんな、俺の話を聞いてくれないからだ。別に普段はそんなにキレるような人間じゃないんだぞ。ただ、人間というのは限度が来てしまったらもう怒りは収まらないらしい。もう怒りが収まることを知らずに無限にこみあがってくる。
「神様、神様じゃあ! ははあー」
『ははあー』
白いひげを口の周りにたくさん生やしたジジイ(村長とさっき自分で名乗っていた)が深々しい土下座をする。土下座というかよくニュースとかで見る神様に祈りをするときに地面に顔と手を付けている光景だ。これはどこかの儀式の現場なのか。残念ながらそのようなことはない。
儀式の時の土下座のような祈りを生で見ることとなった。自分がやる側ではなく自分が神様としてむしろまつられる側であった。
何とも微妙なものだ。
というよりも俺は腹が立っているんだ。
俺の話を聞くことなんかせずにずっと俺を崇めたたえている。
俺、神様になったんだぜ! とか、言うようなキャラじゃないからな。そもそも、ここは一体どこなんだよ。
俺はこの光景に慣れることもできずについ、ぼやいてしまう。怒りが若干収まる。それもそのはず俺が今いるのは21世紀日本にはないようなジャングルのような深い森だ。
「どうしてこんなことになった……」
またしてもぼやいてしまう。
そして、俺は頭に手を当ててこのような光景になった経緯を思い出す──