第6話 お金稼ぎ:前編
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冒険者ギルドを出た俺たちは、修羅姫に招待されていた宿屋に向かっていた。
「それにしても、この街は活気があるな。」
「そうですね、アスラの街は貿易が盛んですからね。」
「貿易か、何か面白いものがあるかもしれないな。ツバサ、少し見に行かない?」
「見に行くのはいいですけど。雪、忘れてないですか?私達お金ないです。」
「あっ」
そうだった、お金作らないと。
「ツバサ、お金ってこの世界ではどうやって作るの?」
「普通に働いてですけど・・・」
「ですよね~」
「まだ、昼前だし少しギルドの仕事やってみるか。」
「そうですね、お金欲しいです。」
「いい仕事あるかなぁー」
あっちの世界ではハローワークに行く無職の人達のように、俺達は冒険者ギルドに戻っていった。
冒険者ギルドに戻ってくると、受付には先ほどと同じようにキルカさんが立っていた。
「あら、お帰りなさい。雪さん、ツバサさん。どうかしたんですか?」
「キルカさんお願い事があるんですが」
「なんですか?」
「一番報酬金が高い、クエスト教えてください。」
目を輝かせながら俺は聞いた。
「わ、わかりました。少し待っていてください。」
そう言うとキルカさんは、少し引き攣った笑顔のままカウンターの奥に消えていった。
「雪、一番報酬金の高いクエストって危険じゃないですか?」
「どうして?」
ツバサが少し心配そうな顔で聞いてきた。
「この世界では危険なクエストには、それなりの準備が必要です。準備にはお金がかかります。
そして報酬金というものは準備にかかった費用が全て帰ってくるプラス見返り金です。」
「ふむふむ、んで?」
「要するに、危険なクエストほど報酬金が高くなるんです。」
「なるほどね。まぁ大丈夫だろう。」
「本当ですか?」
「まぁ、まかせてよ。」
「お待たせしました~」
キルカさんが一枚の紙を持ってやってきた。
「こちらが、現在報酬金が一番高いクエストになります。」
「ヒュドラ狩りですか。」
「はい。しかも、40頭です。」
「報酬金は?」
「1000万ゼニーです。」
「1000万っ!?」
「はい、街からの依頼クエストですからね。それと、40頭以降からは、一頭につき25万ゼニーです。」
流石貿易が盛んな街だな、報酬金の額が半端ない
「大変危険なクエストですが受けますか?」
「はいっ」
「本当に受けるんですか?」
「もちろんです。」
「わかりました。では、手続きをするのでギルドカードを貸してください。」
俺は、ギルドカードを渡すとキルカさんが手続きをしてくれた。
「では、行先のヒュドラの霊峰までの馬はギルドが手配します。それと、これは冒険者になった方にプレゼントしているものです。さっき渡しそびれてしまいました。受け取ってください。」
そう言うと、キルカさんは巻物(?)をくれた。
「これは?」
「アイテムボックスのスクロールです。」
「スクロールだと?」
スクロールとは、魔法が書かれている巻物のことだ。ドラキラではスクロールを使うと書かれている魔法を覚えることができる。ドラキラの世界ではスクロールはダンジョンボスからのドロップかドラキラオークションでおとすことができる。ただし、ボスからのドロップは危険が生じるし、確定でドロップするわけではない。
オークションでは、落とすためのお金が必要だし、オークションに出回っている可能性も低い。
要するにスクロールは大変貴重なアイテムなのだ。
「何故、貴重なスクロールがもらえるんですか?」
「それは、魔法学園グリモアが人工的にスクロールを生み出す技術を発明したからですよ。」
人工的にスクロールを開発する技術だと?そんなことありえるのか?
「まぁ、今のところ開発できるのはこのアイテムボックスだけなんですけどね。」
「それでもすごいじゃないですか。大切に使わせていただきます。」
そう言うと俺達はギルドが用意してくれた馬に乗ってヒュドラの霊峰に向かった。
ヒュドラの霊峰は風化した岩山だった。
あちこちに風穴があり、そこにモンスターが住み着いているらしい。
麓で馬を降りて俺達は霊峰の中に入っていった。
「なんというか、不気味なところですね。」
「そうだね、変な音が聞こえるし。」
「風音のことですか?」
「多分ね。場所が場所だから気味が悪いね。」
そんな会話をしてた時に奴が現れた。
体長およそ20メートルの三つの首を持つヒュドラだ。
「大きい!。勝てるのですか本当に?」
「まぁ見ててよ。」
俺は刀を構える。
ヒュドラはまだ俺に気づいていない。
そして次の瞬間、ヒュドラは倒れていた。
「ね、勝てたでしょ」
「雪、あなた今何をしたのですか?」
「何って、見ての通りヒュドラを切っただけだよ。」
「はぁ~、あなたの心配をしてた私が恥ずかしいです。」
「心配してくれてありがとう。」
その時、倒したヒュドラが光を発して弾けた。
そして、ヒュドラのいた場所に拳くらいの大きさの赤い宝石のようなものが落ちていた。
「ドロップアイテムですね。」
ヒュドラの瞳か。毒消しの素材で重宝するアイテムだ。それにしても、拳サイズは珍しい。
「このアイテムの収納に、さっそく使ってみませんか?」
「アイテムボックスをかい?」
「はいっ!。本でスクロールについてはよんだことはりますが、本物は初めてなので楽しみです。」
「んじゃ、使うよ。」
俺は、スクロールを取り出すとスクロール書かれてある文を読みだした。
「我の秘宝を託す。出でよ、宝物庫。」
し――—―ん。何も起こらない。
「あれ、おかしいな。」
すると、俺にメッセージが送られてきた。
貴方の宝物庫は別にあります。出現させますか?
YES/NO
どうやら俺の宝物庫はもうあるらしい。
俺はイエスを選ぶ。
ズドドドドッ、地面から5メートルくらいのライオンが描かれた黒い巨大な門が出現した。
「こっ、これは俺の、ドラキラの宝物庫?」
そう、出現したのは俺が装備などをしまう時に使っていたドラキラの宝物庫の門だった。
そして、門が開く。
中からは俺が宝物庫の中の世話役として俺がレベルをマックスにしていた守護者が出てきた。
「お久しぶりでございます。雪様。」
出迎えてくれたのは、着物姿の尾が9本ある黒い妖狐だった。